銀行の志望動機ってどうやって書けばいい?銀行に応じた文例とエントリーシートのチェック方法を紹介!

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「就活生が選ぶ人気業界ランキング」では、公的機関や士業、メディア・広告関係が人気ですが、銀行や証券といった金融関係も人気が高い職業です。

金融機関に就職したい理由には、「世間体の良さ」です。銀行に就職できたのには、良い大学を卒業した「優秀なイメージ」が大きいからです。次の理由は「安定性」です。近年では銀行同士の吸収や合併は珍しいことではありませんが、それは悪いことばかりではなく互いの強みを活かしてさらに顧客満足度の高い金融商品を作り出せるメリットでもあります。

個人的に銀行と取引をする人は、お得な金融商品の利用や貯蓄、住宅ローンの借り入れなどの目的がありますが、対企業の場合はどうでしょうか。金融機関と企業の関係を知っていれば、金融機関で働くビジョンがより明確になります。まず、金融機関と企業の関わりについて確認していきましょう。

金融業界の種類とその特徴

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金融機関は「銀行」ひとつではありません。「メガバン」と呼ばれる大手銀行や地方に本店を置く地方銀行、JA、そして信用金庫や信用組合が一般的な「金融機関」です。

社会におけるそれぞれの働きと、仕組みを整理してみましょう。

都市銀行

大都市に本店があり、日本全国に支店を展開している銀行です。日本国内のみならず、海外に拠点を設置している場合もあります。

大都市に本店を持つ銀行は都市銀行と呼ばれますが、中でも巨大な資本を持つ銀行を「メガバンク」と呼ばれ、日本では現在3つのメガバンクがあります。

地方銀行

本店が都道府県単位で設置され、その近隣都市を営業エリアとします。この形態の強みは「地域密着型」のサービス展開ができることです。

小さな支店や出張所を、住宅地の多い駅に設置しているのが特徴です。

信用金庫

地方銀行とほぼ同じ規模で展開しています。信用金庫は「地元の企業活動を支援するため」に存在していると言っても過言ではありません。

近くにある小・中学校の給食費の引き落とし口座として取りまとめをしたり、地域の人や企業からの「ちょっと相談」にきめ細かく対応できる体制がとられています。

「エリアの広さ」と「目的」に違いがある

これらの違いは「エリアの広さ」と「エリア内に関わる深さ」です。エリアの広さはメガバンクがトップですが、関わる深さでは地方銀行と信用金庫が優位です。

地方銀行は「会社」で、信用金庫は「非営利団体」で成り立ちが違います。地方銀行は株式会社ですので「株主」の存在があります。一方、信用金庫(以下「信金」)は非営利団体ですので株主は存在しません。

つまり、企業活動の結果である「利益」の還元先は地方銀行の場合は「株主」ですが、信金の場合は、「その支店が直轄している地域」に還元されます。業務の内容は基本的には同じですが、組織の持つ目的と役割が違うと考えておきましょう。

志望動機は「段階的に」組み立てて作る!

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メガバンクの就職面接で、「地域密着型の・・・」とか「地域のみなさまに愛される・・・」などという志望動機では不合格です。

先に説明したとおり、ひとくちに「金融機関」と言っても働きがそれぞれ異なるため、それぞれの営業目的に合った説得力のある志望動機であることが望まれます。

1.なぜ”金融機関”で働きたいのか

最初は「なぜ金融機関で働きたいと思ったのか」を明確に伝える必要があります。営業職や窓口業務であれば、金融機関でなくてもその職業は他の業界にも存在します。

なぜ金融機関を選んだのか、を金融機関の特性とからめて表しましょう。

2.なぜ金融機関の中から”銀行”を選ぶのか

次に、たとえば地方銀行を選んだ場合「さまざまな金融機関からどうして“地方銀行”を選んだのか」が問われます。これは各金融機関の特色を正しく理解していなければ説明できません。

例えば「得意な英語を活かせると思い地方銀行を志望しました」と言ったとします。英会話の能力は、地方銀行よりもメガバンクの方が広いフィールドを持っていますので、少し的外れになります。

しかし、その地方銀行の地域が海外へ展開している顧客が多く存在する場合には、英会話の能力はたしかな強みになります。「なぜ英会話をここでPRしたのか、それは・・・」と結論付けられるような志望動機にしておきましょう。

 3.なぜ”その銀行”で働きたいのか

最後は、「数ある銀行からなぜその銀行を選んだのか」に進みます。同じ銀行でもどうして当行を選んだのか、最も面接官が聞きたいことではないでしょうか。

しかしここに至るまでの「どうして金融業界を選んで、どうして信用金庫ではなく銀行を選んだのか」を正しく答えられていなければ、矛盾が生じます。1つ1つ丁寧に、段階を踏んで面接官を納得させられる志望動機を組み立てておきましょう。

4.注意すべきポイント

「地域密着型」の地銀や信金を志望した場合に、注意しておきたいことがあります。同じ地域の中に「地銀」と「信金」などが複数存在していることは少なくありません。

「地域密着型の金融機関を志望されたことは分かりました。しかし、お隣に○○信金さんがあります。なぜうちの銀行を選んだのですか?」と質問される可能性があります。このような質問に備えて、他の地銀や信金などと比較しておくことも必要です。

地銀と信金には、強みの違いがあるように「自分がどのように金融機関に人間として貢献したいのか」を明確にしておきましょう。極端な例ですが、何社もの金融機関に応募する場合は、各金融機関の特色に合わせた志望動機をそれぞれ考えて用意しておくべきです。

エントリーシートに書いておくべきポイントとは?

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文章での志望動機、面接での志望動機どちらにも「必要なキーワード」があります。

限られた文字数や面接時間の中では、以下のポイントを必ず入れておきましょう。

エントリーシートで問われる「志望動機」とは

エントリーシートは、まだ会社員として勤務したことがない、ビジネス未経験の学生に対し、「企業を喜ばせる、美しい動機」を求めるものではありません。どれだけその企業に関心が深いか、どれだけその企業のことを熱心に調べたか、自分の可能性をどこまで信じているかという「熱意」が最も求められます。

選考の結果、内定の勝因となるものは「自分自身のPR」ではなく、金融業界研究のレポートであるかのような「研究熱心さをPR」したものが多いです。その軸がズレないようにエントリーシートを作成していきましょう。

  • 業界研究を行った上で、自分がどのような価値観をもって、どのような魅力をその業界に感じているか。
  • 企業ごとの企業研究を行った上で、その企業が同業他社とどのように違っていると考えているか。
  • その企業でどのように働いていきたいか。5年、10年後の自分の姿はどのように想像できるか。

これらをベースにして、例文を参考に言葉の肉付けをしていきましょう。

例文1.なぜ金融業界を志望するのか?

「お客さまとの信頼関係で成り立つ仕事がしたい。」

「人間力を武器として、物体が存在しない“金融商品”を売るという業務に魅かれた。」

「自分の金融知識が、その会社の経営面で大きなカギを握るという、他では経験できない責任と、“やりがい”を感じられるから。」

無形のモノを商品とするのが、金融業界です。加えて、世界の中の日本の位置づけを観察できる「大局を見る目」が必要とされます。日本の産業や、景気が世界各国と比較できる感覚を、学生時代にどれだけ身につけられたか、金融機関をどれだけ理解できているか、魅力を感じているのか、を表しましょう。

例文2.なぜ金融機関を志望するのか?

「サービス展開が幅広く個人・法人のお客さまに合った商品を提供できるから。」

「お金は人生において重要なことでありながら、上手く取り扱うにはプロの知識を必要とするシーンが多くあり、お客さまにとって身近な存在になれる。」

「金融機関は、メーカーのような技術力ではなく、提案力や信頼などその人自身で勝負する職業である為、自分自身が人間的に成長できる。」

金融業界の売り物に、書籍や消耗品などといった「モノ」は存在しません。商品を売り込むためのサンプルもありません。その上、人々の生活に直結する「お金」を守り、増やす目的を叶えるのが仕事ですから、キレイごとを並べるだけの「コミュニケーションの能力が高い」だけでは成り立たない職業です。

例文3.なぜメガバンクを志望するのか?

「銀行の扱うサービスは人であり、様々な職業や企業にアプローチでき、それらを応用し多くの経験が積め人間的にも成長できると考えます。また貴行の強みとして、銀行・証券等の枠組みを越えた多様な金融知識を得られ、金融業界での成長の環境が整っていると思いました。お客様のニーズにきめ細かい多くの提案ができることが強みだと感じております。」

メガバンクは、一部の地域にとどまらず、日本全国・世界にも拠点を展開しています。近年グローバル化・技術の発展のスピードの速さに合わせて柔軟に対応できるのは、企業基盤と総資産を持つメガバンしかありません。

例文4.なぜ地方銀行を志望するのか?

「大学入学時から、近年多様化する経済活動に欠かすことが出来ないものは、金融知識であると考えておりました。地方銀行の仕事は、法人や個人の立場に立ち、それぞれに合ったプランを一緒に考え、提供していくことだと思います。

大学時代に塾の講師をしており生徒と共に考え、正解を導き出すというものと似ていると感じ、金融機関へ就職したいと思うようになりました。今日地方銀行が目指すべき方向性に向かい、中小企業向けの貸出を多数開発、提供して中小企業を成長させてこられた貴行の将来性に魅力を感じたため、志望いたしました。」

地方銀行(以下「地銀」)の志望動機に、もっとも有用・重要になる要素は「地域へ持っている自分の思いの強さ」です。地域活性化を目的としている金融機関ですから、「地元企業を応援しよう!」という思いが最も求められます。

給与の引き落とし口座としても、信金より設定しやすい利点がありますので、混みあうメガバンクよりも集客性に優れていると言えます。企業の経営者側の視線にたった視線も反映されています。

例文5.なぜ信用金庫を志望するのか?

「私はこの○○市で生まれ育ちましたので、将来はこの○○市の地域貢献に役立つ仕事がしたいと考えていました。この○○市には、多くの中小企業があり、○○市は産業の活躍が期待され、これから○○市には新しい企業が増えると見込まれています。

既存の企業をはじめ、これから新しく生まれる企業を支える金融機関の仕事に興味を持ちました。信用金庫を選んだ理由は、どの金融機関よりも企業に密着できるという特徴が挙げられます。」

「地元愛」が求められることは、地銀と同じです。地銀との違いは、取引先企業の規模です。地銀の主な取引先が「中堅企業」であれば、信金は個人商店のような「中小企業」とも取引が行えます。ひいては地銀より地元に密着しやすい・根付きやすいという強みがあります。

 志望動機の”最後”はこれで締めよう!

「セミナーや面接など参加するたびに、お話してくださった先輩方のお人柄のあたたかさや、仕事へのやりがいを感じ、ぜひみなさんと一緒に働きたいと思う気持ちが強まった。」

このように、「先輩たちに魅力を感じた」ことも付け加えましょう。

なぜなら、金融機関の仕事は「人間力」で勝負するのですから、「人とのかかわり方」をなくしては成り立ちません。お世話になった人への恩返しをしたい、この人のために頑張りたい気持ちを必ず添えてください。

 エントリーシート作成のチェックポイント

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エントリーシートの時点で選考から落とされてしまうのには、それなりの原因があります。先でも述べたように、「どれだけその企業に興味を持ち、調べたか」が全てのカギを握っているのです。以下の5つのポイントをチェックしてみましょう。

  • 数ある金融業界の中から、どうしてこの業種、この企業を選択したのかが明確に分かるものになっているか
  • 自分が持つ”未来のビジョン”と志望企業の求めるビジョン・業務内容がマッチしていると相手に感じさせるものになっているか
  • 自分の主観が説明に入っているか
  • 自分の熱意が伝わるような文章であるか
  • 会社案内や、ホームページ上の情報だけに頼っていないか

その企業の情報をもっと、集めよう!

チェックポイントの5つめ「会社案内や、ホームページ上の情報だけに頼っていないか」ですが、広く公開されている情報は誰しもが入手し得る情報です。「その企業のことを、とことん調べた」というにはやや情報不足です。

メガバン面接官の中には「会社案内やホームページにも記載されていないような内容をエントリーシートに書いている人は合格にしてしまう!」と言う人も実際に存在しています。

お客様向けパンフレットを集めて、比較する

金融機関であれば、窓口などに置いてあるパンフレットは、各自が展開しているサービスがお客様向けに、わかりやすく作成されています。このようなパンフレットを集め、あらゆる金融機関と比較してみましょう。

使われているフレーズやイメージキャラクターからも、企業の持つ独自のカラーが手に取るように分かります。

地方銀行や信用金庫志望なら、自宅周辺を散策しましょう

地方銀行や信用金庫は、一駅ごとに拠点を置いています。自分の住んでいる駅周辺の拠点や、周りにある企業を観察しておきましょう。「その地域の地理に詳しい行員」は地銀や信金にとっては大きなメリットです。

場合によっては、面接時に「あなたの住んでいる町に、当行の店舗はありますか?」などと質問されることもあります。

お客様の目線で、金融機関を観察してみましょう

簡単なことのようですが、就職してからではなかなか難しいのが「お客様目線」に立つことです。その企業の好感が持てる部分をお客様目線で観察し、それを志望動機の要素に取り入れたことも成功事例の1つです。

どの店舗も、駅から徒歩○分以内にあるとか、すべての店舗にバリアフリー対策が施されているなどで構いません。

金融機関と自分の出身地や趣味をリンクさせてみましょう

地方銀行や信用金庫の場合は、その地方出身の女優や俳優をイメージキャラクターにしていることが多いです。

金融機関が協賛しているスポーツチームなど、自分の出身地ではなくても共通するポイントを探してみましょう。

まとめ

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日常生活に欠かすことができない金融機関ですが、実際の仕事内容は、業界分析をしっかりと行わないと全体の姿を見ることはできません。十分な調査をせず、一般的な企業と同じような志望動機では、「他の業種にも、あなたがしたい仕事はたくさんありますよ?」と面接官から一蹴されてしまいます。

金融機関の役割と、その独特の業界理念を理解しておかなければ、志望動機は「通り一遍等」なものに仕上がってしまいます。金融機関の仕組みを正しく・広く理解していることが第一歩なのです。

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