会社に行っても何もすることがない…という状態を「社内ニート」と呼ぶそうです。一見羨ましくも思えますが、周りは忙しい状態なのに自分だけ時間を持て余しているというのはとても辛い時間なのです。
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社内ニートってご存知ですか?
「社内失業」「オフィスニート」などと、よく聞かれますが、近年では「社内ニート」という言葉が使われるのが多くなってきたようです。どういうことかと言うと、社内で仕事をすることが無く、一日中何もしない状態の人をいいます。ぼーっとしていたり、ネットサーフィンなどで時間をつぶしたりしている人のことが多いです。
やる気のある人が「社内ニート」になった時は辛い気持ちでいることが多く、なんとかしたいと思ってもがいている人が殆どだと思います。
以前よく聞いたと思いますが「窓際族」はどちらかというと定年が近い人に名前だけの役職を与えて、実際はする仕事がない…という状況だったのですが、「社内ニート」は20~30代の若い世代が中心となっています。
本来ならば、仕事を頑張ってキャリアを積む時期にすることが無いなんて、これからの人生を考えた上でも焦り・不安を感じています。こういうニートな人達が増えているそうなのです。
社内ニートの1日の過ごし方
社内ニートの人達は日々どのように過ごしているのか、ご紹介しましょう。
午前中
1)出勤してすぐにメールチェック。
自分宛のメールはほとんどありません。周知メールをフォルダに移したり、プリントしてファイルに保存したりと、意味のない作業を繰り返します。
2)昨日(以前)に作業したものを再度チェック。なんなら、もう一度一からやり直すというワザも使います。
3)ネットサーフィンでブログのネタ探しをしたり、趣味のサイトをみたりして時間をつぶします。
4)昼食
午後
5)メールチェック。
もちろん自分宛のメールはありません。過去のメールを読み直してみたりして、メールがたくさんあるように装うのは上手です。
6)眠気が襲ってくる時間帯なので、トイレにいったり他の部署・近くのコンビニに足を運んだりして眠気を誤摩化します。
7)席にもどってからはまた前日などの作業の確認・ネットサーフィン等々で時間をつぶします。
8)退社前に再度メールチェックして、自分宛のメールが来ていない事を再確認する。
9)退社する。
このような勤務状況が基本で、時々同僚の仕事の手伝いをしたり、短時間の作業を依頼されることはあっても、自分の担当や責任を持つ仕事をまかされることは無いようです。
社内ニートの人はエア作業が得意!?
先に紹介したような1日を過ごしている社内ニートな人達ですが、毎日ともなるとどうしても時間をもてあましてしまいます。
そんなとき、周りからはいかにも仕事をしているかのように装うのがとても上手いのです。
書類を何種類も用意し、ネットも自分の周りに人の気配がしたら、サッと閲覧ページが見えない様にするなど、一見さぼっているように見えないように常に努力しているのです。
そして意外ですが、時間だけは有り余っていますので、会社の社内規則なども熟読しているため、皆よりも詳しいことが多く、重宝される時もあります。たとえば、出張の規定などは決まり事も多く、出張費を清算する際もめんどくさいと思う人が多い作業ですが、何度も読んでいるためにイレギュラーな場合の請求方法にも的確なアドバイスをくれたりと、役に立つこともあるようです。
企業側の問題
社内ニートがなぜこんなに増えているのか?というのには、2000年頃によく行われた「早期退職制度」が影響しているようです。
リストラは会社の余剰人員整理の為に行われた制度ですが、その制度に応募した人は実際には残って欲しい社員転職に困らない人が多く、残った社員は会社の戦力になるという人達では無かったというのです。その後リーマンショックなどで業績が悪化して、また余剰人員が出るという悪循環になってしまったのです。
その上、会社に残った社員は優秀な社員が少ない為に、新人たちを育てるということが出来ないため、「仕事は任せることが出来ない」「仕事を教える時間もない」為に仕事を覚えることが無いままに今にいたっているということになっています。そういう状況下で社員がニートになってしまったのは仕方なかったということなのでしょう。
本人の資質の問題
ニートになってしまった原因が企業の影響を受けたとしても、本人の資質のせいだともいわれます。それはどういうことでしょう?一例をご紹介しますので、ご自分に当てはまるか考えてみて下さい。
仕事の精度がよくない
手が空いているようなので仕事を依頼しても、そんなに難しい作業でもないのに、誤字脱字や集計ミス、宛先間違いなど、仕事としての精度が悪いというのがあげられます。そうなるともう一度自分で細かくチェックし直さないといけなくなり、「それならば自分でやったほうが早い」という事になり次からは頼まれなくなります。
期日を守らない
精度が悪いというのにも繋がりますが、仕事というのは期日が必ずあります。依頼された仕事はそれ自体で完結するものが少なくありません。次の作業の為の資料であったり、それを一緒にまとめたりと流れの中のひとつになっていることが多いのです。
ですので期日より早くできれば、それに合わせて別の作業も進められるので効率よく進められる事もあるのですが、期日より遅れてしまうと他の作業も進まなくなり、後の業務をする人に迷惑がかかってしまいます。
どんなに良くできた仕事でも期日に間に合わなければ「0」と一緒です。次から頼もうと思う人は少なくなるでしょう。
同僚を助けない(仕事を頼むと嫌そうにする)
自分はネットサーフィンをするくらい時間を持て余しているのに、周りがドタバタと忙そうにしていても、「雑用は自分の仕事ではないから」というスタンスで一切手伝おうともしません。コピーを頼まれても、「今はやる事があるから」と断ってしまう等のように大変そうな人を助ける気がなければ、周りからも孤立していきますね。
言われたこと以上の事をしようとしない
仕事を依頼されても、めんどくさいのか最低限のことしかしない人がいます。この作業の次にどういうことをするのか?と想像していない証拠です。コピーを頼まれてもどれが原本か分からなくなったり、綴じ方もいい加減だったりと、頼んだ人が後からやり直す手間が増えるような仕上げでは困りますね。
仕事をしているフリは上手い・残業だけはする
本人はエア作業が上手いつもりかもしれませんが、そもそも何も頼まれていないのですから、周囲の人は時間を持て余しているのは分かっているのです。なので、どれだけ忙しそうに振る舞っていても、バレバレなので、周りからは良くは思われていません。周囲も大人ですから表立っては本人に直接注意はしないので、見て見ぬフリをしているのです。そして仕事をしていない引け目もあるのでしょうが、毎日定時に退社するのが申し訳なく思うのか、残業までしている場合もあるようです。
一人が好き
そもそもそんなに人とコミニュケーションをとったりすることが好きではない為、黙々と一人で作業をすることが好きなようです。特に注意をされないのであれば、自分から仕事をもらいにいったり、進んでお手伝いをする必要も無いと思っているのかもしれません。
どうして解雇されないの?
解雇は労働者の生活する上での収入を失わせることになりますので、労働基準法により労働者を守るように定められています。
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となる」という風に理由ないものは解雇はできません。
それも、きちんと社内規則に提示しておき、注意をして、何度かの指導の上でないと解雇は難しいのです。なので、「ヒマそうだから…」「仕事をしないから…」というだけでは解雇は難しいのが現実です。
社内ニートから卒業する方法
強い意志をもつ
社内ニートのご紹介をしてきましたが、脱出したい!卒業したい!と思っている人も多くいると思います。そんな人達へ方法を紹介しましょう。
仕事がないことをアピールする
周りは貴方がヒマそうにしているのは分かっています。しかしアピールしてくれないと「仕事を依頼していいのか」「他の誰かから頼まれた仕事をしているのではないか?」と思って中々頼みづらいのです。
現状を打破するには、「仕事を下さい」「手が空いているので何かすることはないですか?」人の作業で流れが分かっているのならば、「次は○○をするのですね。私がお手伝いします」等々、自分から声をかけましょう。
自分は仕事が無いのだと周りにアピールしましょう。そうすれば、少しづつですが声をかける人が現れます。その時は細かいミスをしない様に注意して仕上げましょう。
無駄だと思われる仕事でも嫌がらずに受ける
一見めんどくさい事や、誰がやってもいいような仕事は誰もやりたがりません。しかし、誰かがやらないといけないことならそれは「業務のひとつ」なのです。嫌がらずに丁寧にすることを心がけましょう。そしてその作業の集計をとるようにしましょう。
元々がめんどくさい作業なのですから、集計によって改善する目安がみつかるかもしれません。「毎日やること」から「1週間毎でもいい」とか、「もっと安いものでも代用が効く」など、会社にとってプラスになることがみつかるかもしれません。人の評価とはそういうことから変わってくることもあるのですよ。
この期間は準備期間として勉強する
区切りをつけて、自分のために勉強する時だと定めてみましょう。といっても何かのテキストを開いて勉強するのではなく、周りの人の仕事の進め方、資料作成方法を盗んで覚えるのです。
昔は先輩の仕事は教えてもらうより盗んで覚えるほうが多かったとも言います。「仕事が出来る」といわれる人を見本にして自分なら同じことができるか?自分ならどうするか?自分なら…と考えて予習しておきましょう。電話での話し方も人の話し方は充分に勉強になるものです。
会社にこだわりがないのならば転職する
自分から声をかけ、アピールしても仕事が廻ってこないようならば、同じ業界に転職するという方法もあります。ただ、次の職場では経験者としての能力を期待されますので、何もできない…というならば辛い結果が待っているでしょう。その為にも少しでも仕事の流れを覚えて、勉強しておく事をお勧めします。
転職した際のメリット・デメリットもよく考え、長い先の人生にとってどれが自分にとって充実しているのか?とよく考えて行動しましょう。
参考サイト:【社内ニート急増の原因とは?】社内ニート化する人の7つの習慣と脱出方法
まとめ
人が聞いたら「仕事しなくてお給料をもらえるなんて!」と羨ましがられるかもしれませんが、相当辛い毎日が社内ニートの生活です。出来る事なら自分の行動で、少しづつでも改善していけることを願います。
自分の人生です。1日8時間程度過ごす毎日を、退屈だけで終わらせずにして下さいね。