一身上の都合の意味は?使い方や退職届を出すタイミングも紹介!

辞表を会社に提出する際に、会社を辞める理由として書かれそうなのが「一身上の都合」という言葉。でも実際にはどんな時に使われるのでしょうか。

「一身上の都合」っていつ使うの?

タイプライター

転職や退職をする際に、その理由を「一身上の都合により…」と書いてしまいそうになりますよね。そもそも「一身上の都合」とは退職理由や履歴書を書く際に使う言葉です。

理由をあまり言いたくない時に書き込んでしまいそうで漠然としたイメージがありますが、実はいつでも使っていいものではなく、使って良い時といけない時があります。

一身上ってどういう意味?

「一身上」とは、その人自身の身の上や境遇などに関することで、具体的に言えば個人的な問題や事情のことを指します。個人的な理由で会社を去る場合に使われるという言葉なので、つまり会社の都合の場合には書くことが出来ません。

例えば結婚するため、病気のため、会社に嫌気が指したなどの時は使っても大丈夫です。

「一身上の都合」を使って良い時はいつ?

オフィス

では、使って良いタイミングはいつなのでしょうか?

理由を言いたくない

自分から辞めたい時になぜ退職したいのか理由を明確にしたくない時には、この言葉を使います。上司に退職する際に「一身上の都合により退職します」とその旨を申し出て、上司が何故か聞いてきても、その理由を言わなくてもいいのです。

理由を言わないと退職させないなんてことは出来ませんし、その方が違反になります。でも理由を追求してくる場合は多いです。違反だとわかっていても聞いてくる上司は多いので、本当のことを言わずに適当にその場しのぎの嘘をついて辞めていく人もいます。

「一身上の都合」を使えないのはどんな時?

シンガポール

では逆に、使いたくても使えない時はいつなのでしょうか?

会社都合の退職の場合は使えない

それではその理由が通じないのは、どんな時なのでしょうか。例えば会社が倒産したり、リストラされてしまったり、会社から解雇を言われた時にはあなたの都合ではなく会社の都合なので、個人の理由で辞めるということにあたる「一身上の都合」は使えません。

就職活動や転職活動をする際に、なぜ会社をやめたのか具体的に書かなければいけない場合、リストラされたことを知りたくなくて「一身上の都合により退職」と書きたくなってしまう気持ちはわかります。でもそれをしてしまうと、履歴書に虚偽があることになります。言いたくないかもしれませんが、ハッキリ理由を書くほうが後々面倒な事になりません。

会社を去るにはそれなりの理由があります。デリカシーが無い人はそこをわからずにしつこく聞いてくるかもしれません。特に問題がない限りは具体的な理由を話さなくてもいいでしょう。

周りはどう感じる?「一身上の都合」

仕事

周囲の意見を聞いてみましょう。

人間関係に不満があって辞める場合は多い

退職する理由の7割ほどが人間関係に嫌気がさしてやめていきます。でも本音を会社に言うことは難しいですよね。その想いを込めた「一身上の都合」という言葉の中に、後の人はどんな想いがこもっているのか知りたくなります。

辞めた本人ではなくても、親しい人が人事部に呼ばれて何が理由だったのかを聞いてくるケースもあります。そこで本音を漏らしてしまう人も少なく、多くの場合は曖昧に濁して終わります。会社が嫌だということが一番の理由だとしても、それを言えずに書き記した言葉であったとしても、それ以外の理由を探してしまうのが会社側の人間の考え方なのかもしれません。

その言葉の裏には会社に対して、「どうぞ私の胸のうちをお察しください」という意味合いが込められています。相手が発した建前から本音を察するのが本来の大人の社会であるはず。どうして辞めてしまうのか、もし本人が誰かに相談にのってもらえて状況が解決すると見込みがあるのなら、退職なんてせずにそこに居続けますよね。

退職理由は誰のためにある?

退職時に退職金がいくら支払われるのか、そのためにも躍起になって退職理由を知りたがる人事部の人もいます。それはトップに報告するための退職理由であり、本人が本当にどう思っているかは軽んじられているのかもしれません。

「会社が嫌です」以外の理由を考えるために、本心とは異なる嘘を周囲もひねり出すことになります。

いつ退職届を出す?タイミングは重要

書く

退職届を出すタイミングも知っておきましょう。

退職届がすぐ認められない場合も!?

退職が出来るのは、退職届を会社に提出し、それが上司からOKが出てからになります。つまり出してすぐOKにならない可能性もあるということです。

会社側が退職届を受理してしまった段階でそれが認められたことになりますから、意志を伝えてもすぐ受け取ってもらえない場合もあります。

いつ申し出ればいいの?

基本的には会社の就業規則にのっとって提出したいです。多くの会社が退職を申し出る期間を1ヶ月前や2週間前と期間を定めています。もし就業規則でいつ申し出たらいいのか決まっていない場合は、あなたの給料が月給制か年俸制かなどによっても変わります。

規則がない場合は民法をチェックしよう

会社に規則がない場合は、民法を参考にしましょう。

時給や日給の場合は?

いつまで働くのかという期間に決まりがない場合の時給や日給で働いているアルバイトやパートの人の場合は、退職したいという2週間前までに退職届や、退職したいという旨を提出することで、法律上退職することができます。

月給の場合は?

もし働いてる給与が月給制なのであれば、直前の給与の締め日よりも15日前までに退職届を提出しなければなりません。

例えば給与が月末締めの場合で、9月1日から末日に退職するには、8/15までに退職届を提出しなければなりません。給与が20日締めの場合は、8月21日から9月20日までに退職するには8月5日までに退職届を提出しなければならない事になります。

年俸の場合は?

法律上は退職したい日の3カ月前までに退職届を提出しなければなりません。つまり来月に退職しますと言っても、会社はそれを断ることができます。

会社が退職届を受け取ってくれない場合は?

本人は退職を希望しているのに、会社が退職届を受け取らないという相談は少なくありません。「退職願」は聞いていても、会社がそれを許可しなければその効力を発揮しないと勘違いしている経営者もいます。法律的にはどちらも間違いです。

口頭でも退職の旨は効果がある

退職をしたいと申し出た場合は、文章ではなく口頭でも効力を発揮します。すると法律で決められた時期が経過すれば自動的に契約は解約されることになります。逆に言ってしまえば「辞めます」と口頭で言ったことは取り消すことが出来ません。「昨日○月○日で会社を辞めると口頭で伝えましたが取り消します」も出来ません。気軽に口頭でも言わないほうがいいものなんですね。

せめて1ヶ月前には提出したい

girl touching mobile resting on the sofa

後の人の事も考えて!

就業規則を見て、2週間前に退職を申し出ればいいと決まっていたり、特にルールが設けられていない場合でも、残された人のことや引き継ぎを考えると1ヶ月前に言うのが親切でしょう。突然やめるとそこに問題も起こりやすくなります。円満に退職をしたい場合も余裕を持って伝えておくといいでしょう。ではそこまで色んな問題があるのに、なぜ「一身上の都合」と書きたがる人はいるのでしょうか?

なぜ「一身上の都合」と書きたがる?

仕事

本人も周囲も色んな感情が渦巻いているとわかっていながらも、一身上の都合という言葉を使いたがるのはなぜなのでしょうか?そこには人知れぬ想いがあります。

円満に穏便にしたい

退職したいとは思っているけれど、会社の雰囲気を自分のせいで悪くしたくないという想いから、空気を読んで円満に穏便にしています。会社のためにそう書くのではなく、残された人のために言葉を考えて、波の立たないようにしているのです。

本当のことを言いたくない

会社を退職する時には、多くの不満が残っているでしょう。その場を早く立ち去りたいと思っているのに、会社にこうしてほしいなどの要望を伝えるのは気が引けてしまいます。

会社にマイナスなイメージを持たれたくないために、何も言わずに「一身上の都合」と書きます。

自己主張をしたくない美徳

最後に自分の想いを伝えるよりも、何も問題を起こさずに静かにしておくことで平和なまま去って行きたいというのが、日本人が好む美徳です。

会社との縁を大切にする

個人的な問題で会社を去ることにはなったものの、もしいられるならその会社に残りたかったという想いが、文句を言わずに会社を静かに去るという行動に繋がっているようです。

「一身上の都合」と書けと言われる場合もある!

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本人が望まなくてもそう書けと支持される場合もあります。なぜ本音を記載することを阻止されてしまうのでしょうか。そこには辞めていく人の気持よりも、他の立場の人や自分を守りたいという想いがあるようです。

上司の能力不足だと思われたくない

会社を自己都合で退職する場合に「一身上の都合」と書くことが一般的になってきて、マナーになってきているのに、それをあえて書かない人がいることがわかってしまうと、上司の能力不足だとバレてしまいます。

会社の評価が下がってしまうことを恐れた上司が、やめていく部下に命令する場合もあるようです。よっぽど恨みがある上司の場合以外は言うことを聞いてあげてもいいかもしれません。

会社を守りたいから

会社と大喧嘩をして自分から辞めていく場合に、時間が経って「本当は会社側のせいで自分はやめざるを得なかったんだ」と発言させないために、退職の段階でそう書かせるように仕向けます。

後日、労働基準監督署に申し立てられた時に会社側の正当性を主張するために下手なことは書かせないという対策にも使われています。

社会人のマナーとして

世の中の常識として、退社手続きの一環でそう書くべきだと感じている人は多いです。そう書けと命じられた後、別の書類に本当は何の理由で退職したのか書かされることもあります。

まとめ

入社時は希望に溢れていたはずなのに、退社する時には何らかの深刻な原因があります。本人の胸の内を全て明らかにしてしまうと、後々問題になったり、人間関係や会社の雰囲気が絵歩くなるのを避けたくて何も発言をしないということを選びます。

どこまでも他人に迷惑をかけたくないという日本人の美徳がそうさせてしまっているのかもしれませんね。

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