ご無沙汰しておりますの使い方!目上の人に使うのは正しいのか?

世の中には実に様々な言葉が飛び交っています。今回は「御無沙汰しております」についてのアレコレをご紹介いたします。おっと、「御無沙汰しております」読めますか?書けますか?

文字にしてみると、なんとも堅苦しいこの「御無沙汰しております」しかし、ビジネスの場ではよく登場する言葉です。まず、読み方は「ごぶさたしております」そして、書き方は見てのとおりです!

「ゴブサタ」の漢字はどちらが正しい?

パソコン

「ご無沙汰」と最初だけ平仮名にしても構いませんし、間違いではありません。パソコンで文字を打ち込み変換をすると、「御無沙汰」「ご無沙汰」どちらも出てきます。しかし、全てを漢字で書いた方が、ビジネスの場ではよりビジネスらしさを出せるでしょう。

また、「御無沙汰しています」でも良いです。しかし「~しています」よりも「~しております」の方がよりいっそう丁寧さが出ますので、「御無沙汰しております」を使うことが一番適格であると思われます。

「御無沙汰しております」の意味について

「御無沙汰しております」とは、「しばらく会うことができませんでした。ごめんなさい。」という意味が込められています。無礼を詫びている表現なのです。

御無沙汰という言葉は、いくつかのワードに分けられます。まず「沙汰」。これは、「消息」や「便り」といった意味を持つ名詞です。その前に打消しの「無」という言葉が置かれています。これは、「~がない」という意味となり、さらにこれらに丁寧さを表す「御」が付けられ「便りを出さなかったことをお詫びします」という意味合いになっているのです。

歴史は古く

「御無沙汰しております」という言葉は、すでに鎌倉時代には使われていました。

作者不詳の平治物語の中には、「尋ねたく思ひつれども、・・・・・・今もぶさたなり」という一説があります。「ぶさたなり」が「無沙汰」という音を含んでいます。現代語に直すと、「尋ねたいと思ってはいたのだが、・・・・今も訪問しないでいる」という意味です。

ここから、「(御)無沙汰」と言う言葉には、長い歴史があるということが読み取れます。

「御無沙汰しております」の使い方

さて、それでは「御無沙汰しております」の使い方を具体的に見ていきます。

一つ目:シンプルに「御無沙汰しております。」

一番簡潔で、すっきりしています。

二つ目:○○○+御無沙汰しております

「久しく御無沙汰しております。」「しばらく御無沙汰しております。」「大変ご無沙汰しております。」

このように、「御無沙汰しております。」の前にその程度を表す言葉を付けることもできます。シンプルにつかうよりも、ぐっと詫びている気持ちが強く出ています。

三つ目:〇〇〇+御無沙汰しております+○○○

「久しく御無沙汰しておりましたが、お元気でしたか」「しばらく御無沙汰しておりました。お変わりはございませんか。」「大変ご無沙汰しておりました。申し訳ございません。」

二つ目の言葉の後ろにさらに言葉を付けています。相手の近況をお伺いする、気遣う言葉や、自分の至らなさを更に詫びる気持ちを出しています。

ちなみに、「御無沙汰しております」と相手から言われた場合は、どのように返せばよいのでしょうか。答えは「こちらこそ御無沙汰しております」が一番シンプルです。そのまま返せばよいのです。相手が自分にしばらく会っていない、という事は、自分も同じこと。ですので、同じ気持ちですよ、という事を伝えればよいのです。

なお、「こちらこそ御無沙汰しておりました。お元気でしたでしょうか。」などと相手を気遣う言葉を付け加えても良いでしょう。

「御無沙汰しております」を使う相手

言葉の使い方が分かっても、きちんと使えなければビジネスでは通用しません。

「御無沙汰しております」は自分よりも目上の人に対して使います。自分の上司、先輩、社外の人など、自分が特にお世話になっている、お世話になっていた人に対して使います。長い間、連絡を差し上げなくて申し訳ありません、ということを丁寧な言葉を使って表現しています。

過去の歴史をひも解いてみると、「挨拶に伺うべきだったのだが、長い間それをやらないでいた。その無礼をお許しください。」という表現で使われていました。顔を出しに行くのは、身分が下の者でしょうか、上の者でしょうか。下の者が上の者に対して、ですよね。殿様が一般市民に挨拶に行く、ということは考えられません。ですので、昔からこの「御無沙汰しております」は目上の人に対して使っていた言葉であることが分かります。

ちなみにこの「御無沙汰しております」ですが、最後の「おります」という部分が敬語の中でも「謙譲語」という部類に分けられます。謙譲語と言うのは、自分がへりくだって相手の事を立てるという使い方です。

実際は無いですが、社外取引先の人とシーソーに乗っているとします。自分が下がると取引先の人は上がります。このイメージです。謙譲語が含まれているということからも、上司などの自分よりも目上の人に使うべき言葉であることが分かります。

ちょっとおまけの知識

「御無沙汰」と似た言葉に「音沙汰」と言うものがあります。こちらも「連絡をしていませんでした」という意味合いになりますが、「音沙汰無しでした」というように、打消しの言葉を後につけています。

相手の消息、様子が分からない、という意味合いで使われます。「あの人から連絡来たの?」「音沙汰無しだね」といったような感じで使われます。会話でよく使われている表現です。

参考記事:ビジネスでの「ご無沙汰しております」の最適な使い方

「お久しぶりです」との違いは?

会社の仲間

「御無沙汰しております」と似た言葉で、「お久しぶりです」と言うものがあります。

お久しぶりですは誰に使う?

「御無沙汰しております」では堅苦しいからといって、「お久しぶりです」にてはいけません!理由は簡単で、これは誰にでも使える言葉なのです。誰にも使える、という事は目上の人にも使っていいのでは?と思われそうですが、他に言葉が無いわけではないのです。「御無沙汰しております」というきちんとした表現があるのですから、こちらを使うのがマナーです。

またもう一つ。「お久しぶりです」はビジネスでは要注意です。同い年の人や自分より年下の人などと久しぶりに会った時などに使うには良いのですが、相手が自分よりも年上の方である場合は、失礼だと思われることも。久々に会って、相手に嫌な思いをさせることが無いよう、言葉の使い分けには気を付けましょう。

あの人にはどっち?

ご近所さんなど、よく知っているのだけれどもお互い忙しくてしばらく会っていなかった、と言う場合には、「お久しぶりです」はいい使い方ですね。ここで「御無沙汰しております」というと何とも堅苦しい。

それに、もともとは「便りを出さずに申し訳なかった」というニュアンスがあるので、近くに住んでいれば手紙を出すこともないわけなので、「御無沙汰しております」よりも「お久しぶりです」の方が良いという事になるのです。

しかし、ある所から他のところに転居をして数年が経ち、しばらくぶりに元住んでいたところを尋ねたところ、以前のご近所さんに会った、というケースであれば「御無沙汰しておりました」ということでも間違いではありません。もちろん、「お久しぶりです」でも良いでしょう。

言葉の種類にも着目

ちなみに、「御無沙汰しております」が謙譲語であることに対し、「お久しぶりです」は丁寧語に分類されます。丁寧語とは何なのでしょうか?丁寧語は、相手に対して、丁寧に離す、もしくは書く、という表現です。「~です」「~ます」という語尾になることが多いです。こちらは自分がへりくだることはありません。

「御無沙汰しております」も「お久しぶりです」どちらも丁寧なニュアンスですが、敬語の種類が違うことも頭に入れておくと良いでしょう。

それでは「しばらくぶりです」はどうなの?

うっかり

「御無沙汰しております」「お久しぶりです」の他にも、久々に会った相手に対して使う表現があります。それが「しばらくぶりです」。

それではあなたに質問です。あなたはこの「しばらくぶりです」、どう感じますか?なんともカジュアルな感じがしませんか?その通りなのです。「しばらくぶりです」はビジネスで使っても間違いではありませんが、あくまでも使う相手は自分の同僚や目下と限定されます。上司に使うなんてことをしたら、あなたの信頼は丸つぶれになってしまうので気を付けてください!

「お久しぶりです」は誰にでも使える表現なので、ウッカリ上司や目上の人に対して使ってしまっても、ギリギリセーフでしょうが、ここで「しばらくぶりです」を使ってしまってはもうアウト以外にありません。

「しばらくぶりです」「しばらくぶり」はビジネスでは使わない方がいいでしょう。友人などに使うには、堅苦しさが無く、親密感が出てよいと思われます。

空白の時間はどれだけ?

なお、長い間の無礼をお許しくださいの「長い間」ってどのくらいなの?となりますと、明確な基準はありません。

大まかに言えば、半年以上かと思われますが、人によっては、いやいや1年以上だ、という方もいらっしゃるでしょう。要はその方の感覚です。数日会わなかったことに対してこれらの言葉を用いることは間違っていますが、人によっては3か月会わなかったから「御無沙汰しております」という表現を用いることもあり、こちらは間違っていません。

相手との関わりの度合いや距離感などで判断することになるのでしょう。

参考記事:「お久しぶりです」と「ご無沙汰しています」の 違い!上手な使い分け方は?

カレンダー 2

まとめ

「御無沙汰しております」「お久しぶりです」そして「しばらくぶりです」。これら三つの言葉を掘り下げてみました。この三つは人間ではありませんが、三者三様。それぞれに特色があり、使い方があります。これらを使いこなすことができれば、あなたも立派なビジネスマンの仲間入りです。

ちなみに、丁寧さをランキングすると、

  • 1位:御無沙汰しております
  • 2位:お久しぶりです
  • 3位:しばらくぶりです

となります。併せて敬語の部類が違うことも覚えておきましょう。

関連記事として、

貴社と御社の違いって?使い分け方を知っておこう。

の記事も読んでおきましょう。