取り急ぎご連絡までの使い方って知ってる?目上の人に使うとダメ?

ビジネスシーンでのメールのやり取りで、よく見られる「取り急ぎご連絡まで」という一文。あなたは本当に正しい意味を知っていますか?そして使うべき時に使えているでしょうか?

「たぶん使えていると思うけど…」と、いまいち自信がないあなた。今回は、そんなあなたに「取り急ぎご連絡まで」の正しい意味と使い方をご紹介します。ビジネスにおいてのメールも工夫して、仕事を気持ちよく進めましょう。

「取り急ぎご連絡まで」の意味とは?

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そもそも「取り急ぎご連絡まで」ってどういう意味なのか理解していますか?もはや、みんなが使っているから、とりあえず何も考えずに使っている…なんてこともあるかもしれません。

または、そういえば相手から受け取ったメールの文末によくそんな一文がついているな…というぐらいの認識の方もいるかもしれませんね。まずは、「取り急ぎご連絡まで」という一文の意味についてご紹介します。

取り急ぎご連絡までとは

突然ですが、相手からのメールの文末に「取り急ぎご連絡まで」とあった場合、あなたは次の内どちらの意味だと感じますか?

1.「このメールを見たら、急いで連絡をください。」

2.「とりあえず、このようなご連絡だけさせていただいております。」

文面だけ見れば、1の意味だろうと思う方が多いはずだと思うのですが、いかがでしょう。ネット上で見ただけでも、「取り急ぎご連絡まで」という一文を受けた場合に、「どんな意味なんだろう?」と思ったという人は多いようです。

また、「取り急ぎご連絡まで」と言い切るようになっているので、「こちらが何か連絡をしないといけないのかと思った」という人や、「何となく急かされているような印象を受ける」という人が何人もいるようです。

ですが、もちろんご存知の方がいらっしゃる通り、意味としては2が正解であり、相手に何かを求める意味合いもありません。

「取り急ぎ〇〇まで」とは

「取り急ぎごご連絡まで」に限った話ではなく、「取り急ぎ〇〇まで」「取り急ぎ〇〇のみ」という一文は、元々手紙用語です。「拝啓~」や、「皆々様のますますのご健勝を心よりお祈りいたしております。」などといったものと同じように使われている、「お決まりの文句」なのです。

「色々とお伝えしたいことはあるのですが、今は申し訳ありません、詳しいことはお伝えせず、とりあえず〇〇だけさせていただいております。」と暗に伝える一文であり、文末に加えるだけで文をまとめることができる、使い方によっては便利なものです。

どんな時に使うのが正しい?

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では、どんな時に用いられるのが「取り急ぎご連絡まで」の正しい使い方だといえるのでしょうか。ここでは、主にビジネスシーンで用いると便利な場合をご紹介したいと思います。

口頭で使うのは正しい?

基本的なことですが、いくら最後に付け加えると便利な言葉だからといって、口頭で使用するのは間違いです。

「取り急ぎ〇〇まで」というのは、あくまでも手紙やメールでのお決まり文句。当たり前ですが、口に出して伝えたところで相手にポカンとされるだけなので、使わないことにしましょう!

どんな時に効果的に使える?

一番この一文がビジネスシーンにおいて効果的に使えるのは、「可否を伝えるだけのメール文章」や「状況を伝えるだけでいいメール文章」などです。

このメール文章において重要なのは、コミュニケーションや前後の状況の説明ではなく、メール送り、結果を端的に伝えること自体。そんな時には、この「取り急ぎご連絡まで」をつけるだけで、文章が締まりますし、丁寧さも伝わりやすいかと思います。

たとえば、

・メールをいただいた件ですが、そのままの計画で進めてください。

→メールをいただいた件ですが、そのままの計画で進めてください。取り急ぎご連絡まで。

・こちらに資料が届きました。ありがとうございます。

→こちらに資料が届きました。ありがとうございます。取り急ぎご連絡まで。

など、簡潔な文章で終わってしまいがちなメールの文末に付け加えるだけで、「これでこのメールは終わりですよ」という目印になり、メールが締まりますし、丁寧に感じられますね。

上司や取引先など、目上の人に使ってもいいの?

結論から言うと「使わないほうが無難」ということです。本来の意味を知っていても、とりあえず、詳しいことは言わないけれど…という意味があることから、敬意が感じられないと不愉快に感じる人もいるようです。

また、そうでなくても「取り急ぎご連絡まで」という言い切る形は、どこかぶっきらぼうに感じる人が多いようですから、少し手を加えて自然な形にしたり、丁寧な言葉に直すなどして、相手を不快にさせない心遣いをすることは必要です。

参考記事:「取り急ぎ」「御礼まで」の意味と正しい使い方【例文あり】

いろんなパターンの「取り急ぎ〇〇」

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「取り急ぎ〇〇まで」というのは、〇〇に入れる言葉を変えたり、言い方を少し変えるだけで、さらに汎用性が高まります。

丁寧な形

前の章でもお伝えしました通り、「~まで」という言い切り方が、なんとなくぶっきらぼうなイメージもある「取り急ぎ〇〇まで」。せっかく丁寧に文末に加えた一言が、相手にきちんと伝わらないのでは悲しいですよね。そこで工夫したいのが、少しでも柔らかく相手に意味を伝えることができるような言葉遣いに直すことです。

たとえば

・取り急ぎご連絡まで。

→取り急ぎご連絡いたします。/取り急ぎご連絡まで申し上げます。

などといった形にすると、変な誤解を与えにくく、さらにコミュニケーションを円滑にすることができるでしょう。

また、「取り急ぎ」というのを「まずは」という風に言い換えるのも、柔らかいニュアンスになるといわれています。

・取り急ぎご連絡まで。

→まずはご連絡まで。/まずはご連絡いたします。/まずは連絡まで申し上げます。

 といったように言い換えることができるということですね。

取り急ぎご報告まで

使い方は、ほぼ「取り急ぎご連絡まで」と同じように使うことができます。しかし「連絡」が、主観を省いた物事の事実だけを知らせるため、なされることだというのに対して、「報告」は自分がどういう状況にあるのかを知らせるためにあります。

自分の部下に対して、自分の状況をわざわざ説明する必要はありませんから、主に上司の方に使うことになると思います。

ただ、その際には上でも挙げている通りに、「取り急ぎご報告まで」という言い切った形ではなく、「取り急ぎご報告いたします」「まずはご報告いたします」などの丁寧な言葉遣いを心掛けたいですね。

取り急ぎお礼まで

えっお礼にも使えるの?と思われるかもしれませんが、「取り急ぎお礼まで」というのも同じように「色々とお伝えしたいことはあるのですが、とりあえず今はお礼だけ」という意味で、文末に使うことができます。

ただ、お礼を伝える言葉がいろいろある中で、こちらの一文で済ませてしまうのは、なんとも手軽感が拭いきれないものです。上司や取引先にはあまり使わないほうが無難です。

他にもある?ビジネスメールの締めの一文

meeting「取り急ぎ〇〇まで」の他にも、ビジネスメールで使える締めの一文というのはたくさんあります。ここでは一例にすぎませんが、よく使われている締めの一文をご紹介していきます。

基本的な締めの一文

当たり障りのない、「この一文があれば間違いない!」という基本的な締めの一文です。

  • よろしくお願いいたします。
  • 何卒よろしくお願いいたします。
  • ご検討お願いいたします。
  • どうぞよろしくお願いいたします。
  • 何卒ご検討ください。

とにかく文の内容についても、これからの関係についても「よろしくお願いいたします。」という一文で締める一文。

特に個性的なところはないので、あまり相手に印象を残すことはできないかもしれません。ですが当たり障りがなく、どんな文章にも使うことができ、また悪い感じもしない一文で、使い勝手が良いといえます。

相手からの回答を求める一文

相手の返答が欲しいというときには、文末にさりげなくお願いをしておく必要がありますね。そんな時に使いたい一文は以下の通りです。

  • お忙しいところ恐縮ですが、お返事お待ちしております。
  • お手数ですが、お返事をお待ちしております。
  • ご回答いただけると幸いです。

大体の場合、返信はもらえることがほとんどでしょうが、この一文を添えることで、念を押すことができます。

また、時間が限られていて、相手の返信がいつまでに欲しい…という希望がある場合は「また、大変恐縮ではありますが、この件に関しては〇月〇日までに返信をいただけますでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。」といったような言葉を添えると良いと思います。

相手からの返信が必要ない時の一文

相手に連絡事項を伝えるだけのメールもありますね。その際には、相手の負担にならないように、返信は必要ないという旨を伝えると親切です。メールの最後には、こんな文を付け足すといいですね。

  • 何か不都合などございました場合は、ご連絡ください。
  • なお、返信は不要です。
  • ご確認頂ければ、返信は不要です。

この場合、一つ目に挙げているように、「この件について返信は必要ありませんが、何かあればいつでもご連絡くださいね」というようなニュアンスの一文を添えると、なお相手にいい印象を与えることができますね。

まとめ

ビジネスの場であっても、コミュニケーションを取る上で、相手に対する気遣いは当然必要になります。

また、メールや手紙などの、直接相手が見えないところでのやり取りは、余計に神経を使わなければなりません。少しの気遣いや工夫をすることで、その後の取引が円滑に進むこともあります。

もう一度自分のメールの文章は正しいかどうか、相手に不快な思いをさせていないかなど、考えて気を付けてみてはいかがでしょう。

もしかしたらそれがきっかけで、あなたにビジネスチャンスが転がり込んでくるかもしれませんよ。

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