インターシップとは、大学生や高校生などが在学中に、将来の就職を視野に入れ、自分が専攻している専門分野や希望の分野に関連した就業実務経験ができる制度をいいます。
医師の養成や工場などの実務において、技術力を向上させる実習の分野にこの制度は多く見られるのですが、近年では、文系の学生を対象にしたインターシップも増えて来ているようです。
多くの企業が趣向を凝らし、有能な学生を獲得しようと積極的に自社をアピールしている中、このインターシップを経験する学生にとって大切なマナーの1つに、研修に参加した後のお礼状があげられます。
今回は、インターシップ後のお礼状について、例文も含めて見ていきましょう。
お礼状は、必要か否か?
この場合のお礼状とは、インターシップでお世話になった企業や自治体などに、感謝の意を伝える物ですが、そもそもお礼状は必要なのでしょうか?
目的
お礼状の本来の目的とは、貴重な就業実務体験をさせてくれたことへの、お礼を述べることです。面倒くさく感じられるかもしれませんが、社会人となる者の最低限のマナーとして、お礼状は、出したほうがいいでしょう。
インターシップの期間が終わればそれでおしまいなのではなく、お礼状を送るまでが、インターシップの期間なのだと考えて下さい。
そして、その感謝の意に加え、もしあなたがその職場に興味をいだき、将来はそこでの正社員登用を目指しているのなら、お礼状はその意気込みを感謝と共に伝えるのに最も適した機会です。
お礼状は、手紙それともメール?
手書きのお礼状は、面倒だからとメールでお礼をする学生もいるようです。もちろん、何も出さないより、出した方が印象は上がりますが、あなたのその面倒だからと言う気持ちは、相手にもしっかりと伝わることを、忘れてはいけません。
メールの場合
一般的に、年上の人や地位の高い人にメールでお礼をするのは、避けたほうがよいのすが、どうしてもと言うのなら、インターシップを終えた当日か、翌日までにメールを送信したほうがよいでしょう。
簡単にできるメールでのお礼を選んでおいて、送信が遅いのは、あなたの印象を落とします。
お礼をメールで送る場合、気をつけておかねばならない事は、メールの件名です。スパムメールと混同されては困りますので、お礼メールであることがしっかりとわかるような件名を選び、そして自分の名前を入れておくと、わかりやすいでしょう。
手紙の場合
インターシップのお礼として適しているのは、やはり手紙です。時間もかかるし、その上何をどう書けばよいかもわからないというのが、皆さんの本音だと思います。
しかしながら、あなたの努力や熱意、感謝の気持ちが、手書きで書く事により、相手に伝わりやすくなるのです。
同じ企業で採用試験を考えているのなら、ぜひ手書きのお礼状を書いて下さい。
送るタイミングも出来るだけ早いほうがよいでしょう。遅くとも一週間以内に出すよう心がけましょう。
手書きのお礼状の書き方
一見、難しそうに見える手書きのお礼状ですが、そう難しく考える必要はありません。ポイントさえ掴めば、後はあなたの感謝の気持ちと熱意を表現するだけです。
ワープロで作成する人もいますが、やはり手書きのほうが、より相手に好感を覚えてもらえるでしょう。
用意する物
- ◉封筒:白無地の和封筒
- ◉便箋:無地(白無地/縦書き)
- ◉黒インクのボールペン、万年筆など
お礼状の構成
お礼状は、以下の内容から成り立っています。
- 頭語(謹啓・拝啓など)
- 時候の挨拶(省略可能)
- ビジネスの挨拶文
- インターシップにおけるお礼を述べる
- インターシップで自分が学んだことや感じたこと、仕事への意気込みなどを相手に伝える
- 結び
- 結語(敬具など)
- 日付/署名
- 宛名:インターシップ先の企業名/部署名/担当者名
あなたが考えて、自分の言葉で書かねばならないのは、④と⑤だけです。そう考えると少しは気が楽になりましたか?
それに、④・⑤は何もあなたが創作する必要は無いのです。あなたがインターシップで経験した事を思いだし、その経験をとおして感じた事、将来への希望ややる気を表現すればいいだけです。
お礼状の例文
それでは、例文をあげてお礼状の書き方を見ていきましょう。
例文は横書きで表示していますが、手書きで書く場合には、縦書きで書くようにして下さい。
横書きで書く方もいらっしゃいますが、横書きはカジュアルなので、知り合いや友人などに送る場合には問題ありませんが、ビジネスシーンで、目上の方や、フォーマルな手紙を書く場合は縦書きが適しています。
(縦書きで注意するポイントは、文頭を1マスあけること、改行時に1行あける必要は無いということです)
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一般的な例文:(♦は1スペース空けます)
謹啓♦時下益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます。
♦この度は、◯◯日間のインターシップで貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうござ
いました。私にとっては何もかもが新鮮で、多くのことを勉強させていただきました。◯◯様
には、私の未熟さにおいて多大なご迷惑をおかけしましたが、いつも温かくご指導下さり、
心より感謝致しております。
♦短い期間ではありましたが、社員の皆様とお話しする機会にも恵まれ、私が今まで知らな
かった貴社の一面にも触れることができました。また、皆様方の業務に対する真摯さと
こだわりが貴社の製品に反映されている事を肌で感じることもできました。
♦このような素晴らしい機会を与えて下さった貴社と職場の皆様、そしてお忙しい中、時間を
割いてご指導して下さった◯◯様に心より御礼申し上げます。末筆ながら、貴社のご発展と
皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。 敬具♦
♦♦平成◯年◯月◯日
◯◯大学◯◯学部◯◯学科 ◯◯ 花子♦
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯課
(役職名)◯◯様
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いかかですか?感謝の気持ちの他、インターシップ中の、業務についての感想、職場の雰囲気、印象に残った出来事などを書けばよいのです。
もちろん敬語には気をつけなければなりませんが、そう堅苦しくなるのではなく、自分が感じたことを素直に言葉にすれば、相手に伝わりやすいでしょう。
例文のコピーペーストを使用するのは、見た目は整えられた文章で相手も読みやすいのではないかと考えがちですが、あなたという人物を表現するには、やはり垢抜けていなくても、心のこもったあなたの言葉に少しでも変えて書くのがベストです。
付け加え
・エピソード:一般的な例文に、何かしらのエピソードを挿入するのもあなたのお礼状にオリジナリティーを付け加えることになり大変有効です。
・仕事への意欲:もし、あなたがお礼状を出す企業などに、将来就職を考えているのなら、自分をPRするよい機会です。「貴社で働かせていただきたいという気持ちが強くなりました」など、自分の仕事への意欲をアピールしてみましょう。
企業への熱意を重視する会社は大変多いそうなので、上手く行けば就職試験で有利になるかもしれませんよ。
・お詫び:もしお礼状を出すタイミングが遅れてしまった場合は、「お礼のご挨拶が遅れてしまい大変申し訳ございません」などお詫びを含めた文章を考えましょう。
お礼状を書く時の注意点
一番注意しなければならないのが、誤字・脱字です。誤字・脱字のある手紙をお世話になった方々へ送ることは、大変失礼にあたります。
また、誤字・脱字を修正して送ることもやめておきましょう。一度失敗をしたら、残念ですがもう一度書き直して下さい。
知っておくと便利な文章中の敬語表現
先方を表現する言葉
文章中では、”貴”を頭につけ、会話中では、”御”をつけるのが一般的です。
- ◉会社ー貴社
- ◉役所ー貴役所
- ◉銀行ー貴行
- ◉官公庁ー貴庁/貴省
- ◉お店ー貴店
封筒の宛名の書き方
こちらも例文は、横書きで表示していますが、封筒に書く時は、縦書きで書いて下さい。
(♦は1スペース空けます)
表面
◉担当者宛に送る場合
会社住所(都道府県名などを省略せず、全て書く。2行目に入るときは、文頭を1文字下げて続ける)
◯◯株式会社
♦◯◯部◯◯課◯◯担当
♦◯◯ ◯◯様
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◉役職・肩書きがある相手に送る場合
例1:
会社住所
◯◯株式会社
代表取締役 ◯◯ ◯◯様
例2:
会社住所
◯◯株式会社
♦◯◯部◯◯課◯◯担当
課長 ◯◯ ◯◯様
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◉担当部署に送る場合
会社住所
◯◯株式会社
◯◯部◯◯課◯◯担当 御中
裏面
①住所/氏名:自分の住所は、封筒の中央線の右側、上下の真ん中より少し上から書きはじめます。名前は、中央線の左側、住所と名前の末尾を揃えると美しく見えます。
郵便番号は、横書きで、住所と名前の上部に書きましょう。
②日付:封筒の左側の上に書いて下さい。
③封印:糊付した後は、「〆」「封」「緘」などの封字を書きましょう。「緘」は、ややかしこまった手紙に用います。
また、封筒の裏に郵便番号枠がある場合は、郵便番号を枠の中に記入し、住所は、封筒の中央線左側から書き始め、そのとなりに名前を書いて下さい。
参考サイト:インターンシップ後に好印象を狙えるお礼状の書き方と例文
まとめ
インターシップ後にできるだけ早くお礼状を送る事は、大変難しいことと思います。それも手手書きがベストとなると皆さんが憂鬱になる気持ちも理解できます。
しかしながら、社会人としての一歩を踏み出す為の練習をインターシップでしているのですから、面倒だと言ってそれから逃げることもできません。できるだけ早く、感謝の気持ちがこもったお礼状を出すために必要なことは、何と言っても日頃からの準備です。
インターシップ期間中、新しい環境の中、疲れることも多いかと思いますが、お礼状を送るまでが、インターシップだという意識をしっかりと持ち、毎日の研修で気付いたこと、感じたことなどを少しでもメモしておくと、お礼状を書く時に大変役に立つかもしれません。
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