頑張ってくださいって敬語なの?目上の人に使う正しい言葉を知ろう!

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上司が何かに取り組もうとしている時、自分のお客様やクライアントが何かにチャレンジしようとしている時などに応援する際、あなたはどのような声をかけていますか?

もしかして、「頑張ってください!」といった言葉をかけていたりしませんか?実はそれ、場面によっては使い方が間違っていますよ!

それでは、どのような言葉で応援の意を表すのが良いのでしょうか。ここでは、相応しい応援表現について学んでいきましょう!

「頑張る」とは?

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そもそも「頑張る」とはどういう意味なのでしょうか。まずは、そこから改めて知っておきましょう。

言葉の意味

「頑張る」の直接的な意味は、忍耐して努力し通す、気張る、譲ることなく強く主張し通すといったものです。

ポイントとしては「通す」というところで、ようするに「めげずに貫く」といった強さと精神を、一言で表現する単語なのです。

敬語にすると?

「頑張る」という言葉をストレートに敬語にするならば、尊敬語としては「お励みになる」となります。よって、「頑張ってください」を敬語として使うのであれば「お励みください」となります。

いかがでしょうか。なんだか、聞き慣れないですよね。それどころか、聞き慣れないあまり、もしかしたら上からものを言っているような印象を受けてしまいかねません。実際には間違いなく尊敬語ではあるものの、正しく使うことによって、相手に違和感を与えてしまうという本末転倒な事態が起きる可能性すらあるのです。

なぜでしょうか。それはズバリ、そもそも「頑張ってください」という言葉自体が、“目下(あるいは同格)の人に対する励ましの言葉”だからなのです。

目上の人を応援する言葉

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先述した通り、「頑張ってください」という言葉の位置付けの関係上、そのまま敬語として使用することは難しいものです。とはいえ、当然ながら目上の人を励ますべきシーンは多々あるでしょう。

そのような時、どのような言葉をかけるのが良いのでしょうか。

類義表現を使おう

相手を励ますための言葉はなにも「頑張れ」だけではありません。よって、この言葉を無理に敬語化して使わなければならないわけではないのです。

そこで発想を変えて、「別の言葉に置換える」という考え方でいきましょう。例をいくつか挙げてみます。

  • ご検討をお祈りしています
  • 陰ながら、応援させていただきます
  • ご成功とご活躍を応援しています

いかがでしょうか。こういった表現であれば、「お励みください」といった言葉ほど堅苦しくもなく、それでいて尊敬語としても成立しています。

場面や間柄によって使い分けよう

実際には、相手が上司や取り引き先という間柄であったとしても、付き合いが長いといったことで親しい関係性が築けており、かつ口頭での挨拶というレベルであれば、「国語的に正しい表現」にこだわる必要はないかもしれません。むしろ、あまりかしこまりすぎると、逆に違和感をもたれてしまう可能性もあるでしょう。

その場に他の上司たちも複数いる、他の関係者も宛先に含まれているビジネスメールを送る、何かのイベントなどで挨拶をするなどTPO的に改まった方が良い場合は、親しさに関係なく本来の正しい表現を使うべきだと思います。そのような場面で、目上の人やお客様に対して「頑張ってください」といった表現は相応しくありません。つまりは結局のところ、相手が誰で、どのような関係性で、どのような場で、どのような状態(口頭なのかメールなのか文書なのか)によって使い分けることが大切だということになります。

何事でもそうですが、同じものであっても何が「正しい」のかは、その状況によって異なります。対応力と柔軟性、これらが最も大事なポイントとなるでしょう。

「頑張って」をあえて使用するシーン

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ここまで散々「頑張ってください」という言葉を否定してくるような説明をしてきましたが、『頑張って=絶対NG』かというと、そうとも言い切れないというのが正直なところであり、複雑な部分でもあります。

本当に日本語は複雑だとつくづく感じてしまいますが、「あえて、くだけた表現」をする方がベターな場面もあるのが実情です。極論、ツッコミなどであれば尊敬語どころかタメ語の方が笑いを取りやすいことですらあるくらいですので、『言語的な正しい表現=正』とは限らないのです。

それでは、「頑張ってください」の方がベター、もしくは支障がないといった場面について確認していきましょう。参考にしてみてください。

相手との関係性が一つの指標

よく、上司に対して「了解です」「了解しました」という表現を使うことがありませんか?実はそれも本来は、目上の人に対しては不適切な言葉です。詳細は、承知いたしましたは目上に使っていい?意味や了解との違いを紹介!を参考にしてください。

しかし、実際のところは違和感なくそれで通用する、そのままスルーされることは日常茶飯事ではないでしょうか。「頑張ってください」にも同様のことが言えるわけです。打ち解けた間柄で、直接一対一で会話をしている時、それまでくだけた言葉を交えながら話していたのに、いざ相手(上司)を応援する内容になった際に「お励みください」や「ご活躍を応援しています」といった表現をしたら、急に他人行儀になった、社交辞令だというふうに受け取られてしまうかもしれません。

そのため、上司との距離感が不自然に変わらないように「頑張ってくださいね!」や「応援していますので、頑張ってください!」といった声をかけた方が実質的に適切だと考えられる場合は、遠慮なくそうしましょう。

相手の性質もヒントになる場合がある

これは少し応用的な考え方になりますが、関係性ではなく相手の「個性」や「社会性」、つまりキャラクター自体によって、どの言葉や表現を使うのが適切なのかを判断できる場合があります。

例えばですが、自分が店先で接客をしていて、一見さん(面識なく初めて訪れた人)がいらっしゃったとします。つまり、先述の「関係性」としては、極めて「親しくもない完全な他人」です。よって関係性だけで判断したら、ビジネスシーンとしては「言語的に正しい表現」を使うのがベターとなるはずです。

ところが、そのお客様がフレンドリーで気の良い中年の主婦だったとしましょう。見るからに、そして少し会話をしてみた限り、とても「規律の厳しい組織で就業した経験」があるとは思えません。それでは、この人が気さくに「今度、スーパーのパートの面接に行ってくるのよ~」と言ってきたとします。その時あなたはこの人に、「ご成功とご活躍を応援しております」と伝えますか?それとも、「そうなんですか!頑張ってくださいねっ!」と伝えますか?どちらの方が、相手のキャラクター的に「心のこもった応援」と受け取ってもらえるでしょうか?

このように、声をかける対象の人物像によって言葉を使い分けるという場合もあるのです。もちろん、これは応援の言葉だけに限らず、商品の説明をする時など全般的に言えることですよ。

「頑張ります」の謙譲表現

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尊敬表現や適切な使い分けについて説明してきましたが、せっかくですので謙譲表現についても知っておきましょう。

目上の人から指示やアドバイスを受けた際によく使うことがあると思いますので、参考にしてみてください。

言語的に正しい「頑張る」の謙譲表現

そのまま正しい言葉として謙譲表現にするならば「努力いたします」や「努めさせていただきます」といった言葉であり、また「尽力いたします」といった表現もあります。

しかし、これらもやはり堅苦しさがあるのは確かですので、尊敬表現と同様に場面や相手に応じて使い分ける必要があるでしょう。

汎用性が高いのは?

前提としては先述の通り「使い分ける」ことがポイントではあるものの、職業を問わず、また場面を問わず汎用性が高い表現としてベターなのは『精一杯、努力いたします(させていただきます)』でしょう。

この言葉ですと、「努める」とへりくだっていることはもちろん、“頑張る”に含まれる意志の強さや「尽力する」という真摯な意味合いが込められており、それでいて万人に通じる分かりやすい単語しか使われていません。

「頑張る」や「努力する」は抽象的な言葉であることを忘れずに

あくまでもここでは「頑張る」という言葉をベースに解説していますが、会社での業績目標や個人目標・評価などを提出したり説明する際には、そもそも「努力する」といった言葉自体が適切ではありません。厳密に言うと、この言葉だけでは“不足”となります。なぜなら、これらの言葉に具体性がないからです。

当然ですが、ビジネスシーンで何か目標を掲げてそれを達成するための計画やスケジュールを立てる際には、具体性が重要となります。「こうするために、努力します!」では、何をどう努力することで目標に向かうのかが不透明です。謙譲表現を使えば良いといった問題ではありません。このあたりには留意しておきましょう!

必ず、「5W1H」(「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの要素)をベースに、内容を組み立てるようにしてください。

まとめ

日常的によく使われる「頑張る」という言葉について、その根本的な意味から見た表現方法と使い分けを中心に解説しました。いかがでしたでしょうか。

このように、意外と本質を知らないまま、誤った認識のままビジネスシーンでも使われてしまっている言葉はたくさんあります。その場にいる周りの人も気に留めていない、相手の人もそこまで知識がないといった場面であれば支障はないものの、それはあくまでラッキーな状況であり、決して「適切ではない」ということを忘れてはいけません。

例え、意図的にフランクな表現をするにしても、「本来の正しい表現を知った上で、場面に応じて使い分けている」のか「そもそも認識が誤っていて、知らずにフランクな表現をしている」のかでは、その意味合いがまったく異なります。社会人として正しい知識を持った上で、対応するようにしましょう!

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