イジワル、とカタカナで表記すると、「もう、イジワル!」だなんて、なんとなく可愛らしく見えますが、漢字で「意地悪」と書かれると途端に気分が悪くなりますよね。
「あの人、わざと意地悪するんだから!」とぼやく声を聞いたことが誰しもあるでしょう。
人の嫌がることと知っていてわざとその行為をすることは、許されることではありません。意地悪される側としては、どうにかしてその意地悪な人から目をつけられないように、万が一でも目を付けられたら、いかにして早く縁を切る方法を考えないといけません。
反対に、あなたが何気なくしている行動、それはその人にとっては意地悪かもしれません。
今回は、意地悪な人についてお話していきます。
あなたの身の回りの「意地悪な人」
どこでもいる「意地悪な人」。自分には心当たりがないのに、なぜだか辛く当たられるのは腑に落ちません。かといってむやみに反抗しても仕返しが怖い。
「意地悪な人」の特徴と心理を分析してみましょう。
職場の意地悪な人
職場には、上司・先輩・同僚・後輩・部下・他部署などさまざまな立場の人があなたを取り巻いています。部下や後輩といった目下の立場の人から意地悪をされることはありませんが、自分より目上の人からの意地悪を感じたことがある人は少なくないでしょう。
でも、なぜ目上から目下への意地悪が多いのでしょう?職場はみんなで力を合わせて仕事をする場所なのに意地悪って必要でしょうか?
意地悪な上司の心理「支配欲」
上司であれば、部下の成長は頼もしく出来るだけ早く一人前になって欲しいという希望や、自分がきちんと指導しなければ道を誤ってしまうという「親目線」をもつものです。自分がいなくても成長し続ける組織を作ることにプライドをかけます。
上司にもいろいろあり、上司も人間です。ある一定の時期を過ごし部下が独り立ちを迎えようとするとき、部下に対して攻撃的になったり、突き放したりする上司がいます。
これがいわゆる「ボス猿上司」です。「誰のお陰でこの仕事が出来ていると思っているのか?」などと言い出したら確定です。
手柄や実績は部下のものではなく、自分の手柄にしてしまうのは紛れもないボス猿上司です。年齢と立場でマウンティングされては、当然立場が下の部下や歳の若い人が反抗できないのを分かっていて支配する、まさに「意地悪」上司ですよね。
意地悪な先輩の心理「縄張り意識」
先輩とは、一般的に同じ会社や部署の、年長の人や先に入社した人をいいます。
当然先に入っているので経験は先輩の方が豊富です。その経験や業務を引き継ぎ、次の人を育成するのも先輩の仕事の一つです。社内で明確な等級が決められているとか、職務の振り分けがされていれば、後輩が入らないと自分が上には進めないので、先輩はどんどん教えて後輩を育てるでしょう。
しかし現実の状況はとても流動的で、「じゃあコレあなたにあげるから次からコレやってね。私アレしないといけないから」となんとなく業務が分けられていくことが多いと思います。
そこで発生するのが「縄張り意識」です。やはり、どのような性格であれ人間は得意であることは手放したくないものです。質問にも十分なレスポンスをしないとか、必要以上に厳しいチェックを入れて、「あなたにはまだ無理」と仕事を取り返そうとします。
後輩の方が自分よりもうまく出来たら、やっぱり面白くないです。この仕事は私の仕事!と抱え込み「縄張り」を主張する先輩達の存在は大きなストレスとなります。
意地悪な同僚の心理「劣等感」
同僚とは、会社の中だけの付き合いではなく友達に関係が進展しやすい関係です。悩み相談をしたり、たまには上司の悪口を言ってみたりとなくてはならない存在です。
しかし、意地悪に発展しやすいリスクもあります。立場が同じ人間が先に成功するのは、自分が置いていかれたように感じてしまうからです。それが「劣等感」です。
男性であれば、先に昇進したとか「先に認められた」場合で、女性の場合は「恋愛面」での劣等感といった内容に劣等感を抱きがちです。昇進すれば未来が明るいように見え、恋愛は発展すると結婚につながるためです。端的に言えば、同じ立場の人間が先に明るい未来を掴むことに対する「嫉妬心」でもあるのです。
立場が同じ人に起る意地悪な感情、それが「劣等感」がもたらすものなのです。
意地悪な友達の心理「マウンティング」
あなたより私の方が幸せ・あの子より私の方が・・・と周りと自分を比較して、自分が上位に立とうとすることをマウンティングといいます。いろんな社会での立場を超えてお付き合いするのが友達なのですが、そこにいろいろな自分の定規を持ち込んで、自分が優位であることを主張するのです。
もっとタチが悪いのが、新たな努力を始めようとする人を否定することで、成長の邪魔しようとする人たちです。それに目をつけ、会話の中で「そんなの無理だって」などといって行動を否定する人が周囲にいませんか?
一緒に成長をしていけないのでは、友達でいる意味はありません。
意地悪が多い???「女の職場」
女ばかりの職場だからけっこう気を遣う・・・といわれます。
女性ばかりだと、どうして諍いが起りがちと思われているのでしょう。それはまだ、女性の仕事の種類が多くないことが理由だと考えられます。
近年そのボーダーはなくなりつつありますが、まだまだ事務職や看護師は女性の仕事と分けられていますよね。顧客相手の事務職も、患者相手の看護師関連職も、規模によっては大人数でチームを組んで仕事をします。つまり女が集まる仕事場が出来上がっているのです。
男性ばかりの職場はありますが、営業でそれぞれ出かけるとか、エンジニアである場合は個人の仕事場所が確立しているなど、女性ほどの密着感はありません。
毎日顔を付き合わせていれば、グループも出来ますしトラブルが起る確率も高くなります。
確率だけではなく、上であげた「上司・先輩・同僚」といったいろんな立場で意地悪をされるので、「女性の職場はイジメが多い」という印象につながるのです。
いろんな場所に、いろんな意地悪
これまでは、会社という組織の中の意地悪な人の心理のお話をしましたが、職場以外ではどうでしょうか。
会社以外の組織は、子供であれば学校・子をもつ親であれば家や地域社会が組織と言えるでしょう。
ママカーストは「意地悪」な差別
子供を持つ親には「ママカースト」などという言葉が用いられるようにもなりました。ママカーストは直接ママに関係ない、子供の成績や夫の勤務先などで、ママカーストのトップ~ボトムに位置づけられるのです。
どのような価値観がこのようものを誰が作ったのでしょうか。そのような行動をすることでどんな心理的メリットがあるのでしょうか。
考えなくてもわかりますよね、意地悪目線で人にランクをつけたからです。自分より下のランクの人がいることで自分の価値を見出しているのです。
自分より弱い人を攻撃するのは、紛れもない「いじめ」です。
世代に対する「意地悪」が増えている
世代にはその世代での意地悪があるようです。とにかく近年先ほどの「ママカースト」も然りですが、人間は、人間ではないものにまで名前をつけて区分けしたがる傾向があります。
「ゆとり世代」、「さとり世代」に加え、「ミレニアル世代」という呼び名があります。1980年代から2000年代に生まれた、とか2000年代に成人か社会人になる世代を指す言葉です。「ゆとり世代」の次は「さとり世代」、その次は「ミレニアル世代」・・・と生まれた年代によって「あだ名」をつけるのです。もっと昔では「新人類」という言葉もありました。
決して尊敬した意味ではない言葉で、一括りにしてしまうこと自体意地悪だと思いませんか?意地悪の心理としては、自分の世代とのギャップによってコミュニケーションをとるのが難しい、そんな人にこのようなネーミングをつけて「遮断」しているように思えます。
「意地悪」のターゲットにされない方法
ここまでで、意地悪な人がいろんな場所にいることが分かりました。そして自分自身が意地悪にならないように、意地悪を避けるうまい対処法を持ちましょう。
ターゲットにならない
職場や学校、家や地域社会の意地悪の区分に、世代に対する意地悪な価値観まで加えられてしまっては、いつ自分自身がターゲットにされるか分かりません。
ターゲットとは的のことです。的は狙うものですが、たくさんあればどれを狙っていいか困りますよね。仲間(的)を増やせばターゲットになる確率は必然的に減ります。
1人でもいいので、気のあう人を探しましょう。一人でいれば弱みにつけ込んでくるのが、意地悪な人です。
適度な距離をとる
無理に一緒にいるメリットはありません。意地悪をされるばかりか、あなたまで意地悪な人と同じ仲間だと思われる可能性があるからです。
そして、意地悪は一人とは限りません。あなたを意地悪だと思った別の意地悪な人から攻撃を受けることにもなります。
意地悪な人とグルーピングされないように、過度に反応せず適度な距離を持ちましょう。
意思表示をする
過度にへつらい、機嫌をとるような行動や気の遣いすぎは不自然です。意地悪な人はそんな不自然なところにつけ込んできます。
もっとも良くないのは「嫌なことは嫌」と言葉や態度で意思表示をしないことです。社会人としてのマナーは守りながら「受け入れられない」ことを示しましょう。
抵抗しない・口答えしない人に対して強気に出るのが意地悪な人。賢くお断りすることです。
尊重も同情も、しなくてOK!
意地悪という行動をとる人に共通していることは「ヒマ」な人であるということです。人のアラ探しをして、そこを攻撃する「非生産的」な行動をとるヒマがあるのです。
そんな人の意地悪したい気持ちなど、尊重する価値はありません。「あの人にも良いところがある」とか「あの人が意地悪したい気持ち、きっとなにか理由があるに違いない」など思う必要はありません。
レベルが低い人だという認識を持ちましょう。その認識をすること自体はけっして意地悪ではありません。生産性を高めるための大切なプロセスと割り切りましょう。「可哀相な人」などと同情する必要もありません。
心理カウンセラーの方は、このように言われています
「意地悪な人」に悩む相談を多く受けている心理カウンセラーの方はこのようにお話されています。大丈夫、「意地悪」に悩んでいる人はあなただけではありません!
誰とでも仲良くしなくてOK!
「人間関係が苦手なひとは、誰とでも一様に深く関わらなければならない、と思い込んでいますが、自己実現した人は深い関係を結んでいる友人の数が以外に少ないものです。」
確かに、人付き合いは大事だからとか人脈は宝だからと、コミュニケーションを不自然なまでに重視することで、さほど必要ではないプレッシャーを自分に与えてしまっているのかもしれませんね。過剰なプレッシャーはやがて自分を攻撃します。
社会的制裁も用意されている「意地悪」
意地悪も限度を過ぎれば、メンタルばかりではなくフィジカルにも影響を及ぼします。
これはもうガマンの限界だと心も体も音を上げてしまう前に、第3者の力を借りましょう。
「ハラスメント」という言葉は世界的にも使われている言葉なので、詳しい説明が要らないほど、みなさんご存知ですよね。
言いつけるようで言いにくいと「自分さえガマンすれば」と考えず、自分のためにも、会社のためにもきちんと訴えましょう。なぜならば、厚生労働省による「パワハラ」の定義では「精神的・身体的苦痛を与えるもの」のほかに「職場環境を悪化させる行為」とされています。
会社側には「社員に対して良好な職場環境を維持する義務」があるのです。会社が意地悪=ハラスメントを放置すれば、トップはその義務を果たさなかったとして責任を問われます。
まとめ
今回は「意地悪」がテーマでした。
「意地悪」は故意にする行為です。つまり悪意、があるのです。
ショッピングに行った先や飲食店で、クレームをつける人がいますよね。明らかなお店側のミスであれば、ある程度の苦情をいうのは仕方がありませんが、店員さんが困るような発言をして不可能な対応を要求するのです。「こういえば相手が困るだろう」ということを知ってやる行為なので、普段からそのような思考でいると、顔に表れてきます。悪巧みをする顔、「意地悪顔」になってしまいます。
そんな顔をしていては、やがて「意地悪」は自分に返ってきます。
意地悪をされても、意地悪で返さない。意地悪は自分のところでストップさせてしまおう!という「意地悪の連鎖」を断つ意識を、それぞれが持つこと、それが「新たな意地悪」を生み出さないために最も大切なことなのではないでしょうか。
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