社会人になって数年目。新入社員がぞくぞくと配属されて後輩の数も増えました。さあ、一緒に頑張っていこう!と思った矢先、上司からお説教されてしまいました。
後輩たちの前で怒られてかっこ悪いなあ・・・と落ち込んでしまいますよね。社会人経験を積むほど上司からのお説教の内容も変わってくるはずです。これまではケアレスミスやビジネスマナーなどで怒られていたのに、最近はやたらと難しい”高度な”お説教をされているように感じていませんか?
大丈夫、上司はあなたの成長度に合わせて”お説教”をしてくれているのです。お説教で「君はもっと仕事に対して主体性を持たなければダメだ!」なんて言われたことはありませんか?今回は、仕事をする上で欠かせない「主体性」の本当の意味についてお話します。
目次
「主体性」ってどういう意味?
職場の上司や先輩から言われた「もっと主体性を持って仕事をしなさい!」というお説教。
「はい!わかりました!」とつい返事をしてしまいますが、「主体性」の意味がよく分からないままでは、一体自分の何がいけなかったのか分かりません。
「主体性」という言葉の意味
自分の意志・判断で行動しようとする態度。「―のない人」「―をもって仕事に取り組む」(広辞苑)
とされています。自分の意志と判断で行動をとるためには、ある程度の経験も必要ですので、入社したての新入社員にいきなり「主体性な行動」を求めるのは少し酷なことかもしれませんが、「主体性」は社会人として求められるスキルです。
自分が出来る「主体性」はどんなものかを考えてみましょう。具体的に挙げられないという場合は、次の項の「主体性がない人」にならないように努力しましょう。
「主体性がない人」の特徴
自分の意志と判断が出来ない人を「主体性がない」と定義されてますが、具体的にどのような人がそれに該当するのでしょうか。
「指示待ち人間」
指示を与えればその通りに働く能力はあるのですが、指示自体がなければいつまでも動きません。指示もいちいちこと細かに出さなければなりません。これが度を超すと「言われたことしかしない人」に認定されます!
「言われたことしかしない人」と、一緒に仕事をすることを嫌がる人は多いです。コピーをとって、と頼んでコピーをとること”しか”してくれないのであれば、コピー機に自分でセットしにいく方が気分がいいからです。
「マニュアル人間」
すべての行動において「マニュアルを必要とする」タイプと、「マニュアルどおりにしか動かない」タイプがあります。与えられた目的に向かうために、ポイントを踏まえた道順を提示してもらわなければ動けません。
「出来なかったのは、マニュアルが間違っているから」「失敗したのは、マニュアルが無かったから」これでは社会人としては失格です。
「行動のすべてが”受動的”」
よく言えば「受動性がある=他からの働きかけを受け入れられる」ことでもあります。受動性も度が過ぎれば、「自分で考えて動くことが出来ない」ということになります。
周囲の人たちが忙しくしていても、「手伝って」と言われるまで「手伝ってとは言われていないから」と行動にでない人は、まさにこのタイプです。
「その仕事をするような指示は受けていない」「指示を出してこない上司が悪い」こんな言葉を乱用する人は年齢問わずどこにでもいますが、そのような人がキャリアを積んだ姿を筆者は見たことはありません。
「主体性がない!」それは結局どんなこと?
「君は主体性がないね」と上司に言われてしまい、「・・・申し訳ありません」と答えていませんか?上司は本当はあなたに何を伝えたいのでしょうか?
「全て人のせいにする!」無責任な人に認定されるかも・・・
主体性がない人の持っている特徴から分かるように、他人に流される人生になってしまいます。自分の意志に基づいて動くためには、「判断力」「分析力」「決断力」「解決力」などが必要不可欠です。自ら判断した結果で動くわけですから、責任も自分のものです。
このようなことを全て避け、自ら取捨選択をしなければ、結局何でも「人のせい」になります。上司の出した指示が悪かったから、自分が失敗したとボヤいている人が周りにいませんか?
なんでも「人のせい」にしてしまえば、確かに自分自身が「責任」を背負うことはありません。しかし、これを何度も繰り返すようになると「社会的信用」は得られないばかりか「潔くない人」「ズルい人」という評価を受け、居場所をなくす可能性があります。
「永遠の学生!」人間力が育っていない・・・
「人間力」とは“自立した1人の人間として生きていくための力”です。人間力の構成要素は以下のように定義されます。
1.学校生活から社会人生活で身につける“基礎的な力”
「基礎的学力」「専門知識」「論理的思考力」「創造力」
2.自分から求めなければ、身につかない”社会人基礎力“
「コミュニケーション力」「リーダーシップ」「決まりを守る」「他者を尊重する」
3.1と2を複合的に身につけ、得られたものや可能性を生かそうとする“心の力”
「意欲」「忍耐力」「向上心」
学生生活のときは、学校の先生が「基礎学力」のほとんどを教えてくれます。カリキュラムどおりに学習を進め、次のステップへ進むことで「基礎学力」が身についていきます。社会に出ると、「基礎学力が身についている」という前提で仕事を与えられます。
ひいては、与えられる仕事は「出来て当り前」なのです。出来て当たり前の「仕事」に対して「もっと上手く、たくさんの仕事がしたい」と思って然るべきところを「誰も教えてくれないから」などと“指示待ち”していては、学生の時と何も変わらないのです。
「主体性」と「自主性」の違いを知っておこう
「主体性」は、何をやるかは決まっていない状況で自分で考えて、判断し行動することです。「自主性」とは単純に「やるべきこと」は明確で、その行動を率先して自らやることです。
「主体性」と「自主性」用語の解説をすると・・・
主体性は、「何をするかを自分で考える」
自主性は、「決まっていることに対して自ら行動をとる」
このようになります。例えると、1つの「目標」を立てて行動をとらなければならない時、「主体性」は、自分で目標を立てて行動をとります。「自主性」は、すでに立てられた目標に対して”率先して“行動をとるという違いがあります。
社会人1年生は上司の掲げた目標や、出された指示に“率先して”行動をとりたいものです。社会人になってからある程度の経験を積み重ねられたら、今度は自ら目標を立てましょう。
目標を立て、それを達成することを繰り返すことで、人を引っ張る力「リーダーシップをとる力」が生まれます。
「主体性」を持って生きることのメリット
何をやるかは決まっていない状況に対し、自分で判断し行動することが「主体的」な行動です。誰の指示も受けず、自分で考えて動くクセが習慣として身に付くと必然的に思考力が鍛えられます。
「思考力」が鍛えられる!
主体性を持つと思考力が鍛えられ、自分の行動によって起きた物事に対する”次の対策”を考えられるようになります。さらに慣れてくると、将棋のように「もう1つ先の、次の一手」を準備する余裕も出てくるでしょう。
先の一手を考えるには、「先を読む力」が必要です。先を読みたい!という貪欲な欲求は、人に自然と学ぶ力を植えつけてくれます。
「自分を信じること」が出来る!
人の成長を阻むものには「自己評価・自己肯定感の低さ」があります。「自分で考えた行動」が成功し、「勝ち癖」「勝つための思考」が生まれることで、自分に対する信頼感を持つことが出来ます。
「自信」という言葉は、自分を信じると書きます。己を信じられなければ行動にブレが生じます。自分を信じられている人と、そうでない人の仕事のパフォーマンスには雲泥の差があります。
「自分を好き」になれる!
「自主性」の場合は、自分の領域をいわゆる「管理者たち」などから狭められた範囲内での行動です。「主体性」ほど人間として成長をすることが出来ません。自分が掲げた目標でない場合、100%自分が納得できるものばかりではなく「やらされてる感」が伴います。
つまり、「主体的に生きる」ということは「自己責任」が伴うからこそ「自己研磨」「自己研鑽」する機会が多く得られます。自分が納得した目標とプロセスで成功できれば、最終的に「自分を好きになる」ことができるのです。
みんなが「主体性」を持てば、人はもっと幸せになれる
自主性を持たない、その結末は先にも書いたとおり「自己責任を負わないために、何でも人のせいにする」ことになります。
「失敗した後で、責任を他人に転嫁する」のではなく、「最初から責任をとるつもりがない」、「責任が最初から存在しない」ということになります。要は、いつも従属的に人に支配されて”仕方なく”生きていることになります。自分が主体性を持ち、また周囲の人も同じように主体性を持ったとしたらどのようなメリットが生まれると思いますか?
自分の失敗を誰かが未然に防いでくれるようになり、人を責めなくなります。主体性を持つことで、自己主張の方向が「他人から自分」に変わるからです。
自分の決めた目標に対して、目標までのプロセスを自分で模索し、自分が納得できる行動をとることで人間としての尊厳が保たれます。自分の決めた行動が誰かの役に立つことは、人間としてこの上ない幸福感が得られるのです。
主体性をもって生きるために「持ちたいもの」
主体性を持つための心の持ち方の基本は「今より良くなることを目指す」ことです。改善策を考えることはポジティブであり、なにより”建設的”です。
「目標」を持つ
まずは目標を立てなければ、その目標に向かうプロセスを組み立てられません。そして、立てる目標は「今よりさらに良いものを目指す」ものであることが大事です。
具体例として「店舗の集客性を高める」という目標を立てるとします。次に、どうしてこの店舗は集客率が低いのか、原因を考えます「どうやら隣町の系列店に人が流れているようだ。隣町の店舗は駐車場が完備されているからかもしれない」と分析していきます。
もう少し調べていくと、隣町の店舗の駐車場の利用率は高くなく、車の利用がネックになっているわけでは無さそうです。では他に考えられる要因は何か・・・と常に考えることになります。
「疑問」を持つ
具体例の事案をもうすこし使って考えてみましょう。立地的にも、設備的にも隣町の店舗と大きな違いはないはずなのに、どうしてうちの店舗に人が集まらないのか?と考え続けることが大事です。
考え続けているうちに生まれるのが「なにが隣町の店舗と違うのか?」という疑問です。この疑問を持つことが「主体性」のある行動をとるのための第1歩です。「なにか、うちの店に落ち度があるのか?」という考えが頭に浮かんだら、自分が顧客目線になって考えることが出来ます。
「どうやらうちの店のスタッフの数は不十分で、サービスが行き届いていないようだ」と問題が発見できたとします。そして人事に「サービス向上のための人員補充」の要望を出すことが出来ます。これは確かな「主体性のある動き」ですよね。このように自分が要望して得た人材なら、自分のビジョンを持ってしっかりと育成できるはずです。
「主体性のある人」が育つ環境
あなたの会社は「主体的」に行動がとれる職場環境ですか?本当は自分ひとりで仕事に取組んでイニシアチブをとってみたい・・・誰もが最初はそんな気持ちを持っているはずです。
「主体性の芽」を摘まないこと!
企業の中の人間関係などを描くTVドラマで、上司役がかっこよく「こんな指示誰が出した!?」と怒鳴るシーンがありますが、この言葉は使い方によっては「社員から主体性を奪う言葉」になることがあります。会社組織には「決裁権」というものがありますので、それを無視して勝手な行動をした場合は問題になります。
しかし、ある程度は部下や後輩に「任せてみる」ことも組織を成長させるためには必要です。
「主体性の芽」は自分で発芽させる!
「仕事を任せられる人」になるための努力が必要です。経験を積んだ上司や先輩に「自分にこの仕事を任せて欲しい」というためにはそれなりの実力と信頼関係が必要で、普段からコミュニケーションをとっていればこそ出来る発言です。
学生のまま成長していない、自分で何もしようとしなかった人に仕事を任せる上司はいません。「自分の職場は主体的な行動がとりにくい」と感じている場合は、自分の立場をもう一度見直してみましょう。ここで最も必要なのは「社会人基礎力」です。挨拶や報告・連絡・相談が出来ているでしょうか?
まとめ
この記事を書いていて、思い出したのが子どもの絵本の「100万回生きたねこ」というお話です。1匹の猫が100万回生まれ変わって、100万人の飼い主と生活をします。100万人の飼い主に愛されたのに、猫は飼い主や自分のことを好きになれませんでした。やがて猫は野良猫として生まれ変わります。
野良猫生活をしているうちに、1匹の白猫と出会い夫婦になります。白猫を愛して、子どもにも恵まれ、彼は家族のために一生懸命に生きました。白猫が亡くなったとき、彼は初めて泣きました。これまで、飼い主との100万回の別れにも泣いたことがなかったのに・・・。やがて猫は白猫とともに天国へ旅立ち、二度と生まれ変わることがありませんでした。というお話です。
感じ方は人それぞれですが、筆者には「人生をどのように生きたか」「人生をまっとうするとはどういうことか」というメッセージに聞こえました。自分の人生のイニシアチブを自分の意志で取ってこそ、人は幸せになれるのではないでしょうか。
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