ご自愛くださいの意味や使い方とは?例文も紹介!

「ご自愛ください」という言葉を聞かれた事はありますか?

とても響きが綺麗な日本語で、思いやりのこもったこの言葉ですが、普段あまり聞きなれないですよね?

この「ご自愛ください」とは一体どんな意味が込められていて、どのように使うのかを解説していきます。

ご自愛くださいの意味とは?

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ご自愛くださいとは、手紙やあいさつの最後に添えられる言葉で、その相手に対して「ご自分の体を大切になさってください」という意味が込められています。

「自愛」とは自分の体を大切にすることで、「ご自分を大切にしてください」「健康に気をつけて下さい」と相手の体を気遣う気持ちを表現した言葉なのです。

よく使われるのは年賀状や暑中見舞いなどの挨拶に用いられる手紙に書かれることが多いのですが、葬儀などの弔問で遺族にお悔やみの言葉を述べる時の、励ましの言葉としても使われています。

言葉の中に「愛」という漢字からは、「愛しい」「愛情」という感情も表現されており、相手により一層の気遣う気持ちを表現することで、「私、また皆があなたの事を大切に思っています」という相手に対する慈しみの感情が含まれています。

「ご自愛ください」と、相手が自分の体を気遣ってくれているというこの言葉は万人受けする言葉で、男女も問わず目上の方にも使える言葉はぜひ知っておきたいですね。

ご自愛くださいの正しい使い方とは?

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ご自愛くださいとは、誰にも使える言葉で目上の方や男女を問わずに使うことができます。

「ご自愛ください」と「ください」というのは、命令系の様に聞こえて上から目線なのでは?戸惑う人も多いですが、むしろ目上の方に対して「ご自愛ください」は言葉の始めに「ご」と付くことで、最大級の敬意を表した意味が含まれています。なので目上の方にこそ適切な使い方なので、心配はいりません。

それでも言い回し方が気になる人は、目上の方に伝える際に「ご自愛くださいませ」と語尾に「ませ」と付け加えることも適切で、より丁寧な表現になります。

体調が悪い人に使うのは間違い!?

ご自愛くださいとは相手の体を気遣う言葉なので、体調不良や病気の方にも使ってもいいのでは?と思えますが、ここで使うご自愛くださいは間違いです。

ご自愛くださいとは、体を大切にして下さいという意味なので、「風邪などひかないでくださいね」「健康でいてくださいね」と、相手が体調など崩さないよう案じていますよという意味です。

なので、すでに体調不良の人や病気を患っている人に対して「ご自愛ください」と体を大切にしてくださいというのはおかしいので、使わないように気をつけてください。

この場合「早いご回復をお祈りいたします」など、「早く治してくださいね」という言葉が適切でしょう。

また体を気遣う言葉なので「お体、どうぞご自愛くださいませ」という使い方をしてしまいがちですが、ご自愛には「ご自身の体」という意味も含まれていますので、これでは「お体、ご自身の体を大切にしてください」と同じ意味が重なり、「腹痛が痛い」と同じくおかしい言葉になってしまいます。ご自愛くださいと言う時には「お体」という言葉は入れないようにしましょう。

同じく間違えやすい例として、「体調を崩されませんよう、ご自愛ください」という使い方も、重複した意味になるので使用しないようにしましょう。

年賀状や挨拶状などで書く「ご自愛ください」の使い方

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ご自愛くださいという言葉は年中、季節を問わず使うことができる相手を労わる言葉。暑中見舞いから寒中見舞い、年賀状や喪中、または喪中の方への年頭の挨拶状などでも幅広く用いられています。

様々な場面で使われる「ご自愛ください」、まずは手紙で書く場合の使い方を例文でいくつかご紹介していきます。

暑中見舞い

夏の厳しい暑さから相手の体調を気遣い、こちらの近況も伝えるために出される便りです。暑中見舞いと同じく、残暑見舞いにも用いることができます。

例文①

暑中お見舞い申し上げます。

厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

私をはじめ、家族皆暑さに負けず元気に過ごしておりますのでご休心ください。

酷暑の時節柄、夏バテなどなさいませんよう、どうかご自愛くださいませ。

例文②

暑中お見舞い申し上げます。

暑熱耐え難き折、皆様におかれましてはご健勝のとのことと、お喜び申し上げます。

私どももおかげさまで、つづがなく過ごしております。

どうか皆さま、ご壮健でこの夏を乗り越えて下さいますよう、何卒ご自愛のほどお願い申しあげます。

例文③

残暑お見舞い申し上げます。

立秋とはいえ、まだまだ夏の暑さが残る、今日この頃いかかお過ごしでしょうか。

私どもも暑さに負けず、家族一同無事に過ごしています。

秋の涼風が待ち遠しい折、皆様夏の疲れなど出ませんよう

ご自愛のほどお祈り申し上げます。

寒中見舞い

冬の寒さが厳しい時に書かれる便りですが、風邪や流行りの病気などから相手の体調を気遣うとともに、こちらの近況を伝えるために書かれます。

例文①

寒中お見舞い申し上げます。

暖冬とはいえ朝晩の冷え込みは厳しいものですが、いかがお過ごしでしょうか。

おかげさまで私どもは皆元気に過ごしておりますのでどうぞご安心くださいませ。

もうすぐ暖かな季節になりますが、まだまだ寒さが残りますので、どうぞお風邪などひかれませぬよう、ご自愛ください。

例文②

寒中お伺い申し上げます

寒さも一段と増す中、皆様におかれましてはご健勝でお過ごしとのことで何よりでございます。私どもも皆、相変わらず過ごしています。

例年よりも雪が降り積もり、厳冬のなかの雪かきはお辛いですが、無理をなさらず

くれぐれもご自愛くださいますようお願いいたします。

年賀状

「ご自愛ください」は年賀状の添え書きとしても使われます。自愛と入るだけで新年の挨拶の年賀状にも思いやりが込められるので、目上の方、会社の上司などに書かれると、丁寧な文章になりとても印象的になります。

例文①

昨年は大変お世話になりました。

皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

寒さが増していく日々となりますが、どうかご自愛くださいますようお願い申し上げます。

例文②

昨年はひとかたならぬご厚情を頂き、ありがとうございます。

本年もより一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

厳冬も折、風邪などひかれませんよう、何卒ご自愛の程お祈り申し上げます。

暑中見舞いや寒中見舞いで、度々使われる「時節柄」という言葉。例文にも出てきましたが、これは季節を表す言葉です。新年の挨拶の年賀状では季節は関係ないので入れないようにしてください。

喪中や喪中の方に贈る挨拶状

例文:喪中を出す側

本年○月に○○が△△歳にて永眠いたしました。

生前のご厚情に感謝いたしますとともに

明年も変わらぬご厚誼のほど謹んでお願いいたします。

時節柄、くれぐれもご自愛ください

例文:喪中の方へ出す側(年頭の挨拶を寒中見舞いに変えて)

寒中お見舞い申し上げます。

ご服喪中と存じ、年頭のご挨拶は遠慮させていただきました。

一段と寒さも増してきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。

○○様におかれましては生前大変お世話になりました。

お顔も見れずお別れとなりましたが、今はただご冥福をお祈りするばかりです

厳冬の折、皆様におかれましては、ご自愛下さいますようお願い申し上げます。

メールで「ご自愛ください」は使えるの?

お悔やみ メール

近年手紙より、メールを使っている人が大半なので、この「ご自愛ください」をメールで使ってもいいの?と疑問に思っている方もいるでしょう。季節の挨拶状や年賀状と違って、いつでも手軽に遅れるので、ビジネスメールや親戚にも送ることができれば便利ですよね。

ご自愛くださいという言葉は「ここでは使ってはいけない」という決まりがないので(ただし体調不良、病気の方へはダメ)、用件のみで終わってしまうビジネスメールには是非使っていただきたい言葉です。仕事相手が自分の体調の事を気にかけてくれていると感じて嫌な気持ちになる人なんていませんよね。

遠方の為になかなか会うことができないなど、季節の挨拶状や年賀状以外でも便りを出したいという方にもピッタリのフレーズだと思います。

「そちらは皆元気で過ごしてますか?私たちも相変わらず元気にしてます。また家族でそちらに遊びにいきますね!無理はせずにくれぐれもご自愛ください」

いつもなら最後に添える言葉は大抵「無理せずに体調に気を付けて下さいね」などですが、「ご自愛」と入ることで、送り手の愛情も感じられるメールになるのではないしょうか!

この「ご自愛ください」はメールでもしっかり相手に思いやりを伝えることができる魔法のような言葉、メールでもどんどん使っていただきたいです。

参考記事:「ご自愛ください」の正しい使い方。目上の人に失礼って本当?!

お悔やみの言葉に添える

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「ご自愛ください」は訃報の受けて弔問をする時、ご遺族の方へお悔やみを述べる言葉にも添えられます。遺族の方とお話ができる時がある時に「ご自愛ください」とお悔やみの言葉に添えて述べることが適切です。

一般的には、故人の遺族に対して向けられる言葉で、遺族を励ます、労う言葉として使われます。

「この度はまことにご愁傷様でございます。先日お見舞いに伺った時にはお元気なお姿でしたので回復すると信じていました。看病のお疲れが出るときですから、どうかご自愛なさってください」

「この度は突然のことに心からお悔やみ申し上げます。さぞお力落としのおとでしょうが、残された家族の為にも、どうかご自愛くださいますようお願い申し上げます」

ご愁傷様については、「ご愁傷様です」の使い方は?意味やタイミングを紹介!を参考にしてください。

まとめ

日本の言葉にはさまざまな意味が含まれていて、その意味の表現がとても美しいですね、

ご自愛くださいは万人に使える言葉で、伝える方も受け取った方もとても優しい気持ちになれる言葉です。

相手を思いやる気持ちが込められた「ご自愛ください」日本語ならではの奥深いこの言葉をぜひいろんな方に使っていただきたいですね。

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