ビジネスシーンにおいて、敬語を正しく使い分けることは難しいこともありますが、大切なことです。仕事術として知っておいて損はありません。言葉使いを変えるだけで、あなたの印象やビジネスの質がグッとアップします。上司や先輩であったり、取引先やお客様などへの言葉使いは大変有効ですので覚えておきましょう。
その中でも「差し支えなければ…」は使用する機会が多い言葉です。そして「恐れ入りますが…」という似た言葉や、その他のクッション言葉といわれるものなど、使用例も合わせてご紹介しましょう。
敬語表現を上手に使いましょう!
ビジネスの場においては、自分よりも年上の人、立場が上の人にはもちろんのこと、年下の人にも敬語を使って話している人は素敵にみえます。会話の相手だけではなく、周りの人も同じように評価しています。敬語とは堅苦しい言葉と考えずに、「相手を敬う言葉」と思えば自然と出てくるのではないでしょうか?
特別に謙る必要はありませんが、丁寧な対応をすると相手も同じ様に接してくれます。仕事や社会人としてのお付き合いをする上で、大切なことですね。
そもそも敬語って?
ご存知だと思いますが、簡単に復讐しておきましょう。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があります。「尊敬語」は相手を立てる言葉、「謙譲語」は自分が謙る(へりくだる)ことで相手をたてる言葉、「丁寧語」は相手に対して丁寧に述べる言葉です。「です」「ます」を付けて使用しますね。
クッション言葉を知っていますか?
相手に何かお願いをする時やお断りをする際、言葉の前に加えることで柔らかい印象に変える効果がある言葉を指します。直接的だったり強制的な表現を避ける印象を与え、丁寧で謙った感じになるので、嫌味なく話しを進めることができるでしょう。
細かい言い回しなどは、会話の流れで変わっていくこともありますが、代表的なものをご紹介します。
お願いごとの場合
「恐縮ですが…」「お手数ですが…」「ご多忙中とは存じますが…」
お断り・拒否の場合
「残念ながら…」「折角ですが…」「お気持ちはありがたいのですが…」
相手に反論・異論の場合
「失礼かとはぞんじますが…」「お言葉を返すようですが…」
何度も依頼する場合
「たびたび申し訳ありませんが…」
使い方の基本はお願いごとならば「クッション言葉」+「理由」+「内容」、お断りや反論の場合は「クッション言葉」+「理由」+「代案」という形にすると差しさわりないでしょう。会話だけではなく、手紙・メールでも使用可能です。
多くの人は無意識にこのようなクッション言葉を使われていると思います。ただ、丁寧に丁寧にと思うあまり、クッション言葉や丁寧語を重ねすぎて、逆に失礼になったり、意味が分からなくなったりすることもありますので、注意しましょう。
ビジネスの場では常に依頼・否定・反論などの場面に遭遇します。そのような時に無駄に相手を不愉快にさせることなく、話を進めることができたらいいですね。要点をわかりやすく伝えることがポイントです。
差し支えなければ…の使用方法は?
今回はクッション言葉でも特に利用度の高い「差し支えなければ…」の説明と使用方法についてお話ししましょう。
相手に対して、頼み事をする場合やお伺いをする際に使用します。ただし、相手が都合が悪い時には断ることが出来る様に「差し支えなければ…」と前置きをしています。「断っていただいても構いませんよ」という意味になります。この言葉のおかげで、ストレートに物事を言いにくい時も、比較的容易に声を掛けやすくなり使いやすい言葉です。
差し支えなければ…の使用方法は?
「差し支えなければ、この後お食事でもいかがですか?」
「差し支えなければ、○○さまのご意見をお聞かせ下さい」「差し支えなければ、お名前を頂戴いただけますか?」「差し支えなければ、○○していただけませんか?」等々、の使用方法があります。
例えば、パーティなどで人とお会いして会話が面白かったなどで、「この人の名前を知りたいな」と思った時に、LINE教えて?とか名前教えて?っていうのはビジネスではあり得ませんね。しかし、いきなり「お名前を教えて下さい」というもの相手をビックリさせてしまいますし、年配の方なら大変失礼です。
しかし「○○と申します。先程のお話は大変興味深かったです。差し支えなければ、お名前をお教え願えませんか?」という風に使うと、相手も無下には対応しませんし、とても素敵な印象になりますね。
また仕事上で上司や取引先などとお話する時間が欲しいと思うこともありますね。そんな時も「今、時間いいですか?」と聞くのは失礼です。ではどう言うのかというと、「差し支えなければ、今、お時間よろしいでしょうか?」という風に使います。これを伝えると都合悪い場合は、「今はダメだけれど、○○なら大丈夫です」という具合に返答しやすくなり、スムーズに進むことが多いようです。
恐れ入りますが…という言葉との違いは?
よく似た言葉で「恐れ入りますが…」というのもあります。こちらもお願いをする際に使用し謙った表現ですが、ある程度の強制力があります。謙って「○○して下さい」と言っているのですが、自分から下手に出ていますが、断れないように促しているわけです。
恐れ入りますが…はどう使うの?
「恐れ入りますが、こちらに並んでいただけますか?」「恐れ入りますが、お名前を頂戴できますか」「恐れ入りますが、こちらに記入をお願いできますか」等々があります。
申し訳ありませんが…とはどう使い分けるの?
同じような言葉で「申し訳ありませんが…」と使用される人もいますが、微妙に意味あいが違いますので、こちらもお伝えしましょう。
簡単に説明すると、「申し訳ありませんが…」は自分側に悪いことがあった場合に使い、「恐れ入りますが…」は自分側には悪いことはないけれど、お願いする場合に使用するという具合に考えてみると分かりやすいですね。
「申し訳ありませんが…」というのは接客業などで使うことが多いのではないでしょうか?そのほうがお客様を不快にさせずにお願いを伝えやすいのでしょう。
どちらを使用するのかは状況によって判断すべきですが、豆知識として知っておくのもいいのではないでしょうか?意外と知る人ぞ知るの言葉なので、使い分けているとあなたの評価はグッと上がりますよ。
二重敬語に気をつけましょう!
慣れない敬語を使っている時によくありがちなのが、二重敬語です。ひとつの語に、敬語を二重に重ねることを「二重敬語」といいます。これは誤りというものではないですが、過剰な敬語としてみなされるため、ビジネスシーンでは使わないようにしましょう。
親しい仲間内で使う分には問題ないのですが、つい話し癖がついてしまうので、普段から気をつけるようにしましょう。
間違えやすい「二重敬語」の例と言い換えパターン
「役職」+「様」のパターン
職場にて取引先の方にお声をかけたり、手紙(メール)を出す場合は「お名前」+「役職」で構いません。役職がすでに敬称なのですが、よく〇〇部長様」と言われる人がいます。それから「殿」というのは目上から目下に使用される為に目下の者から「〇〇部長殿」は失礼にあたりますので注意しましょう。
「役職」は地位があるという意味ですので、その言葉がすでに「敬語」です。ですので、「社長」「部長」「課長」「先生」等々、この上に「様」をつけるのは二重敬語となり謝った表現になりますので、注意しましょう。
「敬語」+「敬語」のパターン
これもありがちな間違いパターンですが、「伺わせていただきます」と言っていませんか?「伺わせて」+「いただきます」と両方とも謙譲語で「敬語」を重ねて使っていますね。この場合なら「伺います」で充分です。
これと同じで「おっしゃられる」も「おっしゃる」+「られる」のように尊敬語と~られるという尊敬の助動詞が使われているために二重敬語になります。この場合は「おっしゃる」または「お話になる」「話される」でいいでしょう。
この言葉は謙譲語、尊敬語…と考えていくとかえってややこしくなってしまうので、そんなに堅苦しく考えなくても構いません。今は説明の為にそのように紹介していますが、ひとつの文として覚えてしまえば、使い慣れるでしょう。
敬語を重ねて使うことにより、慇懃無礼になってしまい相手を逆に怒らせてしまうことにもなりますので注意しましょう。
「お〇〇になる」「ご〇〇になる」+「~られる」のパターン
「お越しに」+「なられる」は「お越しに」の「お」で敬語になっていますね。その上に「なられる」と重ねなくてもいいんです。この場合は「お越しになる」が正解です。同じような言い方で「お帰りに」+「なられる」の場合は「お帰りになる」ですね。
その他に「ご覧に」+「なられますか?」とよく使っていませんか?これも今まで説明したように考えると、「ご欄に」+「なりますか?」でいいでしょう。いかがですか?二重敬語についてはもう大丈夫ですね?
では「三重」に敬語を用いてる例を攻略しましょう!
「お」+「承り」+「いたしました」時々、こういう風に言われたりしませんか?これもひとつで充分です。正しくは「承り」+「ました」です。
「お」+「召し上がりに」+「なられますか?」は「召し上がり」+「ますか?」です。
この言葉は「お召し上がり」+「になる」という風に使用されています。これは実は二重敬語なのですが、現在では随分許容されていますね。多くの人が長い期間使用されていると、それが普通になって慣用となり「間違っている」とは見なされなくなった例です。
参考サイト:「差し支えなければ」という敬語の上手い使い方
まとめ
いかがでしたか?敬語って堅苦しいって思いがちですが、ビジネスシーンでは無くてなならない用語ですね。めんどくさいと思わずに少しずつでいいので習得していきましょう。言いにくい事がある場合はクッション語を使用しましょう。そして二重・三重敬語に気をつけましょう。
丁寧に丁寧にと考えるあまり、「お」をつけてその後の単語ごとに敬語を入れてしまいがちですが、冷静に聞くと可笑しいですね。
間違えることもあるかもしれませんが、使ううちに覚えていくでしょう。慣れてくる頃にはあなたの評価がグッと上がっているかもしれませんね!
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