拝啓・敬具の正しい使い方を理解しよう!

ビジネスの場で手紙を書く時、皆さんはどのように書いていますか?「拝啓」「敬具」と書かれていると思いますが、正しく意味を理解していますか?使い方を把握していますか?

この機会に「拝啓」と「敬具」の意味を理解して社会人としてのマナーを身につけましょう。

手紙5

「拝啓」「敬具」の言葉の意味は?

当たり前のように「拝啓」「敬具」と書いている人も多いと思いますが、ちゃんとした意味は分からないという人もおられるのではないでしょうか?先輩からそう教えられたから…、親が決まりだからと言うから…など、決まっていることだからと思っていませんか?そんな意味とまずは使い方からおさらいしていきましょう。

まず始めに「拝啓」 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます

そして文末に   …よろしくお願いいたします。 「敬具」

という具合に始めと最後に書いて使うのが一般的で、このようにセットで使います。

この「拝啓」(はいけい)は訓読みをすると(おがみもうす)となり、「お辞儀をして申し上げる」という意味なのです。人と会ったときにはお辞儀をしてまず挨拶をしますよね。これは手紙の頭語でその挨拶をしている意味なのです。

そして「敬具」(けいぐ)は訓読みすると(うやうやしくととのえる)となり、「敬意をあらわして結ぶ」という意味になります。人と会ってお話した後に「それではまた」という挨拶を結語でしています。

「拝啓」「敬具」がセットになっているものそういう理由なのです。手紙を書く相手に敬意を持って丁寧な挨拶をする意味があるということを理解おきましょう。そういう意味でビジネス向けというのも分かりますね。

手紙1

「拝啓」「敬具」以外にもあるのでしょうか?

先程の文面の中にも書いていますが、頭語(とうご)、結語(けつご)と読みますが、文章の最初と締めにくる言葉のことです。手紙の最初と最後に「こんにちは」「さようなら」と挨拶をする意味で表現しています。

主なものとして、「拝啓」「敬具」、「謹啓」「敬白」、「前略」「草々」といったものがあります。

注意しないといけないのは、この組み合わせは決まっているという事です。

「拝啓」で始まったら「草々」では終わらないということです。これを間違うことはとても失礼ですし、恥ずかしいことだと覚えておきましょう。

☆頭語と結語はセットで使うということを覚えておきましょう。

頭語の種類は?

「拝啓」「拝呈」「謹啓」「謹呈」「前略」等々があります。

結語の種類は?

「敬具」「拝具」「敬白」「謹言」「草々」「かしこ」等々があります。※「かしこ」は女性のみ使用可です

どのように使い分けるかというと、ビジネス用とプライベート(くだけた感じ)用とで、自身で使うパターンを決めて使えばいいのです。そんなに深く考える必要は無く、ビジネスならば「拝啓」「敬具」で十分ですし、ざっくばらんな手紙だと「前略」「草々」でも構わないと思います。

しかし、ざっくばらんな話でも年長者に書くような場合などや内容によって「拝啓」「敬具」にするなど、意味を理解していれば使い分けできますね。

ちなみに「前略」はくだけた意味になり、

  • “挨拶は省略させていただきます”
  • “急いでいるので、いきなり本文に入ります”
  • “急いで連絡しています”

という意味で、「草々」は“取り急ぎご連絡します”という風に忙しい、慌ただしいという意味になっていますので、ビジネスや目上の人に出す手紙には使わない様にしましょう。

「謹啓」「敬白」は「拝啓」「敬具」よりも一層のあらたまりである丁寧な表現ですので、相手や手紙に内容によって使い分けするといいですね。たとえば目上の方などへのお手紙に使用するといいでしょう。

必ず書かないといけないもの?

この頭語・結語が全ての手紙についているわけでは無いですし、無い手紙だってあります。今はメールが当たり前になっていますし、違うルールもあるでしょう。そうなるとつける意味は?と疑問に思われる人だっているでしょう。この頭語・結語が無くても手紙の内容が変わるものではありませんし、あくまでも形式です。

形式なんて関係ない!と考える人もいると思いますが、しかし、日本の風習としてマナーだということを知っているのと知らないのでは大きく印象が違ってきます。日本には四季折々の風習(行事)があるように手紙にもその季節ごとの時候の挨拶などもあり、その際、文の始めと最後に添えられていると、印象も大きく違います。

社会人ならそういう場面になんども遭遇する時があるでしょう。そんな時、スマートに行動できると気持ちにも余裕ができるでしょう。今はスマートフォンがあるから、その時に調べればいいや!と思っていても、そう言う時って意外と調べたりする時間が無かったり、他の人が“サッ”と答えたり、書いたりしていると恥ずかしく思ったりするものです。知っておいて損するものではないので、この機会に覚えておくといいですね。

手紙2

どんなふうに使うといいのでしょう?

文例を見ながら具体的にご紹介しましょう。

拝啓の後にいきなり本文を書いていいの?

頭語・結語のご説明は上記の通りですが、実は「拝啓」の後に時候の挨拶を書くことも大体決まっているのです。

季節ごとや月ごとで違ったり、月でも上旬・下旬では気候が変わってくるので、それにあった挨拶文を選ぶといいでしょう。文例を覚える必要はないですよ。月ごとに変わるんだ!ということを知っておくだけで大丈夫でしょう。

その文例をご紹介しましょう。

季節は関係ない場合の文例

拝啓

時下ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。

本文

締めの文

敬具(縦書なら左下側、横書なら右下側に書きます)

○年○月○日

差出人の名前

相手のお名前(差出人より少し大きく)

上記の文章を例にご紹介しましょう。

時下」の箇所を下記の言葉に置き換えて使用します。

時候の挨拶文例

時候の挨拶 1月

・(正月)新年の候、(正月)迎春の候、新春の候、初春の候、厳寒の候、大寒の候

・寒さ厳しき折り柄、希望あふれる新年を迎え

時候の挨拶 2月

・春寒の候、節分の候、梅花の候、梅のつぼみがほころぶ季節、寒さがゆるみ始めた今日この頃、

時候の挨拶 3月

・早春の候、春分の候、三寒四温と申しますが、桜の開花に春の訪れを感じる季節、

時候の挨拶 4月

・桜花の候、晩春の候、春眠の候、すっかり春らしくなりましたが、桜の季節も過ぎ、緑まぶしい季節となりましたが、

時候の挨拶 5月

・残春の候、新緑の候、若葉が香る季節、風薫る新緑の季節となりましたが、

時候の挨拶 6月

・梅雨の候、長雨の候、初夏の候、梅雨の季節となりましたが、長雨で肌寒さを感じる日々が続いていますが、

時候の挨拶 7月

・盛夏の候、酷暑の候、暑さ厳しき折柄、猛暑が続いておりますが、

時候の挨拶 8月

・残暑の候、納涼の候、晩夏の候、立秋の候、残暑が続いておりますが、暑さも一段落したこの頃ですが、

時候の挨拶 9月

・初秋の候、秋分の候、秋色の候、さわやかな季節を迎え、コスモスが美しい季節になりましたが、虫の音が秋を感じさせる季節、

時候の挨拶 10月

・秋晴の候、秋月の候、紅葉の候、天高く馬肥ゆる秋、秋晴れが心地よい季節、菊の花が香る季節、

時候の挨拶 11月

・晩秋の候、深秋の候、立冬の候、小春日和のこの頃、落葉散りゆく季節、朝夕冷え込む今日この頃、

時候の挨拶 12月

・初冬の候、師走の候、初雪の候、歳末の候、寒さが身にしみる季節となりましたが、年の瀬となり忙しい季節となりましたが、

等々、月ごとに置き換えて使用するといいでしょう。

見ていただくと分かるかと思いますが、たとえば「初夏の候」は6月、「晩夏の候」は8月に使用します。その辺りを注意して使用しましょう。

結びの挨拶の例もご紹介しましょう。

本文の後に書く結びの文も知っておくと便利です。これは季節とは関係なく、いつでも使用できますので、本文と繋がりのあるものや、相手の状況に合わせて書くといい印象となるでしょう。

(ビジネス可)

  • 今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い致します。
  • ○○様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(プライベート可)

  • 皆様のますますのご健勝をお祈りいたします。
  • ○○様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、ご自愛のほどをお祈り申し上げております。

このようにラストを締めるといいでしょう。

頭語・結語を書かないものもあるの?

頭語・結語を使用しないビジネス文書もあります。年賀状や暑中見舞い、弔事ごとの際にも使いません。「謹賀新年」がお辞儀の挨拶になっていますので、その後に「拝啓」と書くと挨拶が連続になっていて変ですね。そんなことで最初に挨拶文があるような文章には使用しません。

その他にも、ビジネスだからといって、友人や同僚にも「拝啓」で書き始めるとちょっと固すぎない?などと言われてしまうかもしれません。内容にもよりますが、そういう場合はなくても大丈夫でしょう。

電話

まとめ

いかがでしょう。難しいようで意外と簡単ではないですか?ビジネスに頭語・結語は欠かせませんが、ただ最近ではこのような文章を書く機会も少ないと思います。

しかし季節にあった時候の挨拶を使って手紙を書くと手紙の内容の印象も大きく変わりますし、相手にも思いが伝わります。受け取る側も気持ちよく読めるでしょう。

ビジネスにも上手く取り入れると仕事もスムーズに廻ることもあるでしょう。時にはメールだけではなくお手紙を書いてみるのもいいのではないでしょうか。

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