「とりあえず検討させてください」「とりあえず今日はこんなところでひと段落といたしますか」など「とりあえず」という言葉を多用してしまていませんか?
もし、同僚だけでなく上司や取引先やお客様にまでこのような言葉を使っていると、この人敬語が正しく使えない人だ・・・と思われてしまうでしょう。
普段使用することが多い「とりあえず」がついつい口から出てしまうことはあると思います。敬語での表現もしっかり覚えてシーンに応じて使い分けられるようにしていきましょう。
とりあえずの意味
日常的に頻繁に使用される「とりあえず」ですがその正確な意味は?と聞かれると回答に困ってしまいます。それだけニュアンスで使っている人が多いということです。
とりあえずの意味についてまずは知っていきましょう。
「とりあえず」とは
「とりあえず」とは他のことはいったん置いて置いてこれをしよう。これにしよう。という意味のある言葉です。
何を優先的に行うかということを発言する時に文章の頭に使用される言葉です。
普段よく耳にする言葉としては「とりあえずビール」「とりあえず休憩しましょう」「とりあえず今日はここまで」などがありますね。
この言葉の裏にはまだ問題は残っているけど、一旦この辺で区切りをつけてこれだけをしておこうかという意思が感じられます。
その場しのぎで一旦危機を回避するために使う言葉でもあります。
とりあえずの語源
とりあえずは感じで書くと「取り敢えず」となります。「敢う(あう)」という言葉には耐える。持ちこたえる。という意味合いがあり、「敢う」ですと何かを成し遂げることができた様を表しますが「敢えず」となるとそれが成せなかった様を表します。
「とりあえず」の語源としては「取る物も取り敢えず」ということわざが挙げられるでしょう。
取る物も取り敢えず
必要なものも持たずにあるいは、すべきこともせずに急いで他のことをすること。
使用例としては「取るものも取りあえず出かけてきた」仕事をほっぽり出して出かけてきた。という意味になります。
現在ではこれを省略して「とりあえず」だけを残し、文の頭に「とりあえず」を入れて言葉として用いています。
「とりあえず」は投げやりな印象を与える
「とりあえずビール!」と思い切りよく言うと、何も考えずにビールを選択した印象が強くなります。
これは普段の使用方法なのであまり違和感は感じませんが、取引先との話で「とりあえず検討してみます」「とりあえずこの書類で大丈夫ですか?」と言ってしまうとなんだか投げやりな感じがしませんか?
言われた側としては「妥協するのは自分であってあなたに強要されるものではない」と感じるでしょう。「とりあえずは」相手に対して敬意がなく、自分の誠意がないことも表している言葉ですのでビジネスの話をしている最中には使わないようにしましょう。
「とりあえず」の敬語表現
「とりあえず」を敬語表現にした時にはどのような言葉が適切でしょうか?
敬語に変換した時の表現を紹介していきます。
「ひとまず」
「ひとまずこの辺で休憩にしましょう」
「ひとまずここまでの話し合いの意見をまとめたものを部長に報告いたします。」
「とりあえず」の敬語表現として万能なものが「ひとまず」です。
「ひとまず」でほとんどの「とりあえず」の言葉を代用できてしまうでしょう。「とりあえず」を「ひとまず」に変更することで誠意も感じられますし、相手に違和感を与えることなくこちらの意見を伝えることができます。
「まず」
「まずここから始めていきましょう」
「まずは**駅に集合していただいて」
「まず見積書をお送りさせていただいてからの話合いということにいたしましょう」
と、「まず」を使用しても相手に敬意を持って説明を進めることができます。「まず」と「ひとまず」の使い分けとして「まず」は始まりの強調を意識させることができ「ひとまず」は張り詰めていた空気を変えたい時に使用するなどの使い分けができます。
「一旦」
「一旦ここでこちらの方で引き取らせていただきます」
「それでは一旦、社に持ち帰り検討させていただきます」
など一旦戻って、一旦ここで終わって話をつけるという使い方もできます。
なるべく「とりあえず」を使用せずにいくつかの言い回しを持っておくと、その場の雰囲気や話の流れに応じて言葉を変更できるのでボキャブラリーも増えて、口癖のようにならなくて済むでしょう。
「区切りがいいので」
「区切りがいいので今日はこの辺でお終いにしまして、残りが後日相談という形にさせていただきます」
「とりあえず」の代わりに「区切りがいいので」でも大丈夫です。
しかし区切りがよくないのに、勝手に自分が区切りがいいのでと言ってしまうと、かえって失礼になってしまいます。「勝手に区切りがいいと決めるな」と上司であれば怒りだすかもしれません。
しっかり意識が共有できている状態で使用することが重要です。
話すことを話尽くした段階で、話すことがお互いにもうないなと感じた場合「区切りがいいので」と切り出してみましょう。
「一応」「多分」「取り急ぎ」などのNGワードにも注意
とりあえずという表現に似ているものに、「一応」「多分」「取り急ぎ」などの言葉があります。
これらも敬語をしっかり使うという意識がなければ無意識に使って相手に失礼な言葉遣いをしてしまうこともあります。それぞれの問題点と敬語表現について解説します。
「一応」
「一応説明いたしますと、こちらの方がA案となりまして〜」
「一応こちらつけておきますね」
などなど意味は伝わりますが、言葉として敬語表現になってないということが多々あります。「一応」は完全にため口です。上記の言葉を敬語表現にするならば以下のようになります。
「こちら説明させていただきますと、こちらがA案となっておりまして〜」
「念のためこちらつけさせていただきます」
とするのが謙譲語表現、尊敬語表現として正しい言い回しです。一応などと曖昧な言葉を使用せずにしっかり、相手のことを推し量る表現を心がけるようにしましょう。
「多分」
「その日でしたら多分大丈夫です」
「多分」を連発するのは無意識のうちに責任逃れをする日本人の悪い癖です。
社会人であればいかなるビジネスシーンにおいてもはっきり「こうです」と言い切りましょう。間違っていてもいいんです。責任逃れをしないこと、発言にしっかり責任を持つことが重要です。
そしてまず「多分」は敬語ではありません。ただのはなし言葉です敬語にするのであれば「恐らく」となります。
「恐らく」もあまり多用しないよう注意しましょう。
「取り急ぎ」
「取り急ぎ」というワードもビジネスシーンではよく目にします
「取り急ぎご案内まで」「取り急ぎご連絡まで」のように使用されますが使用方法のノウハウとして必ず覚えておきたいのが、相手との関係性をしっかり熟知した上で使用しないと失礼に当たります。
まだあって日が浅い人や、距離の遠い人に「取り急ぎ」を使用してしまうと失礼に当たります。「取り急ぎ」を使用できるのは付き合いの長い人や、親しい上司や取引先との間柄でのみで使用するようにしましょう。
ポイントとして要件は複数含めない。あとでお詫びの連絡なりを必ずする。ということがポイントです。
「メールを拝受いたしました、ありがとうございます。 取り急ぎご連絡申し上げます。別件につきましてはまた後日ご連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」
と綴るといいでしょう。
まとめ
「とりあえず」の敬語は「ひとまず」「まず」で代用し、メールなどでは「一旦」「取り急ぎ」「念のため」などを使用して相手に失礼の内容にしましょう。
普段から「とりあえず」の会話方法をやめることもオススメです。「とりあえず」「多分」「一応」などの曖昧な言葉を使用してしまわないように社会人として正しい敬語を心がけましょう。
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