社会人になれば必ず使えなければいけない敬語。しかし敬語には丁寧語・尊敬語・謙譲語・美化語などいくつもの種類がありその分類は実際にはもっと多いと言われています。
日本人であっても敬語のマスターは難しいもの。
しかし弱音は言ってられません。今日は「できません」の敬語表現と、ビジネスシーンでのできない時の上手な断り方やメールでの言い回しについて紹介します。
「できません」は敬語としてNG
「〜できません」というのはすでに丁寧語の形になっている言葉です。ですが「できません」は他の敬語表現にも言い換えることができます。
敬語としてNGというわけではありませんが、ビジネス用語としては適切ではない言葉となってしまいます。
他の敬語表現について確認してみましょう。
「できません」よりもかしこまった敬語表現
「できません」よりもビジネスシーンにおいて適している敬語表現は「いたしかねます」でしょう。「致す」は「する」の謙譲語表現。「致す」に「かねる」をつけることで打ち消しの言葉となり、「することは難解である」の謙譲語として相手にへりくだっていうことができます。
しかし受け手の受け取り方によっては「もう少し押せばできる」「無理をすればできる」という意味合いに受け取られてしまうこともありますので、より「できない」というニュアンスを強めるために「申し訳ありませんが」「ありがたいご依頼ではありますが」を「できかねます」の前につけるとより強調してできないことを伝えることができるでしょう。
「できません」をシーンによって言い換える
状況をしっかり思い浮かべて考えれば、「できません」だけでなく他の表現方法に置き換えることもできます。
例えば接客のシーンでポイントカードをお客様が利用しようとしている場合、「このポイントカードはお使いできません」と伝えるよりも「このポイントカードはご利用いただけません」
と「いただけません」を使用することができます。
または「このポイントカードはご利用になれません」
と「なれません」でも十分意味がつたわります。
ビジネスシーンで「できません」を使用する場合は
取引先(クライアント)からの仕事の以来のメールや電話を頂いた時に「できません」と答えると敬意がないような印象になってしまいます。
「相談させて頂いておりました**の件を本格的にお願い申し上げたいのですがご予定の程いかがでしょうか?」
と、相手がしっかり謙譲語を使用してこちらに訪ねてきている場合返信として正しい敬語を使用した文例は
「案件が立て込んでいることもあり、大変申し訳ありませんが辞退申し上げます。」
「ありがたい話ではございますが、現時点で12月まで納期がギリギリな影響もあり相談いただいた日程までの納品はクライアント様にご迷惑をかけてしまう可能性がございます。恐縮ではありますが今回はご遠慮させていただきます。」
「お引き受けしたい気持ちでいっぱいなのですが、現在は案件が立て込んでおりましてお断りせざるを得ません」
など「辞退申し上げます」「遠慮いたします」「お断りせざるを得ません」を使用して丁重にお断りするといいでしょう。できるだけ次に繋がるようにお断りすることもビジネスマンとして重要なスキルの一つです。
依頼の断り方電話〜対話編
対話や電話などの話し言葉の中でしっかりと敬語を使って依頼を断る時の例文について紹介していきます。
相手の気分を害すことなく、上手に断ることが重要です。そのポイントについて確認しましょう。
お引き受けしたいのですが・・・
「お引き受けしたいのですが、現在は**の案件が溜まっていましてお受けすることが難しいです。」
と引き受けたい気持ちをしっかり相手に伝えながら丁重にお断りする言い回しです。
「できない」ではなく「お受けするのが難しい」と表現することで相手に納得していただく断り方となります。「お受けすることが難しい」だけでは断りの意味合いが弱いので、しっかり案件が溜まっていてできないこと、時間的に行えないことを相手に伝えて察してもらいましょう。
断り方あれこれ
「全てお受けすることは難しいですが、**は担当させてください」
全て断るのではなく、部分的に引き受けて誠意をしっかり見せることも重要です。
「私が現在手いっぱいで担当できないのですが、**さんはいかがでしょうか?」
断ってそれでおしまいではなく、他の担当者を見つけて相手の支援をすることで誠意を示す方法です。
「すぐには取り掛かれませんが、一週間後でしたらお引き受けできます」
すぐにはできないが、時間が開けば大丈夫だということを伝えて今すぐの仕事の引き受けはできないことを伝える方法です。
これらの方法で相手に「できない」ことを伝えることでただ単に「できない」と伝えることよりも印象がよく、誠意がある形で相手の気分を害すことなく次の仕事にも繋げることができるでしょう。
メールでの断り方〜文章で伝える場合
ビジネスメールで相手に「できない」ことを伝えることは多いと思います。
そんな時に使える断りのメールのテンプレートの例文を紹介します。
メールを送る時のポイント
取引先に断りのメールを送る時のポイントとしては「謝罪+理由+断り+代替案」の4つの項目を順番に盛り込んで文章を構成するといいでしょう。
断りの内容だけですと、どうしても誠意がない印象を相手に与えてしまいます。
しっかり理由を述べて、相手にできない原因を理解してもらい代替え案を出すことで相手に再検討してもらう機会を与えます。
構成をしっかり考えることで、今回仕事を断ったとしても今後も取引を続けられるきっかけになるでしょう。
例文色々
「申し訳ございません。現在は**の案件でで立て込んでおりまして、ご希望にお応えいたしかねます。ひと月先でもよろしければ一番に資料を送らせていただきます。」
「謝罪+理由+断り+代替案」の一連の流れで文章を構成したもっともオーソドックスな文章です。
「この度はお声掛けいただき誠に感謝しております。ですが、どうしても現在の案件との折り合いがつかず、お引き受けいたしかねます。次の機会は、どうぞよろしくお願いいたします」
仕事を受ける理由を相手に案内することができない場合もあります。その場合「案件」とだけ内容に盛り込み謝罪する方法もあります。
相手の要望に「お応えできない」「お引き受けいたしかねる」「お断りせざるおえません」などなど「できない」ことを伝える時の表現方法はかように置き換えることができます。
まとめ
敬語はすんなり使用しないとぎこちない感じになって、相手に意味がうまく伝わらなかったり、逆に失礼な表現をしてしまうことがあります。
特に謙譲語の表現を相手の行動に対して使用する「こちら頂いてください」など目上の人に対して「いただく」と相手がへりくだる形になってしまう表現は失礼に当たります。この場合は「お召し上がりください」や「お召しになってくださいませ」などと表現すると丁寧でしょう。
断る時は特に相手に配慮して、「できません」とぶっきらぼうに断るのではなく、「いたしかねます」「お引き受けいたしかねます」と表現して。
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