心当たりもないのに、会社の同僚から強い口調であたられてしまいました。「私、なにか怒らせるようなことをしたかな・・・」と、1日中悶々としてしまいました。次の日、ビクビクしながら出勤すると、当の本人ときたら何もなかったかのように朗らかな態度です!
「ええ~、昨日は機嫌が悪かっただけ?ということは、あの強い口調は“八つ当たり”だったの?」八つ当たりをされて、何も感じない人はいません。「八つ当たり」を繰り返されると、だんだんとその人のことを苦手になっていきます。人はどうして「八つ当たり」をしてしまうのでしょうか?「八つ当たり」をする人から攻撃されないためにはどうしたらいいのでしょうか。
目次
「八つ当たり」とは?
一般的に「自分には関係ないことで怒鳴られた」ことを「八つ当たりされた」と表現します。関係のないことで暴言を吐かれることは理不尽なことです。
「第3者に」怒りをぶつけることです。
国語辞典によると、「八つ当たり」の言葉にはこのような意味があります。ポイントは「第3者」です。つまり関係性の低い人に対する行動を意味しています。
意味「怒りや不満を第3者にぶつけること」
類語「当たり散らす ・ 当たる ・ 言い掛かりをつける」
英語に翻訳すると「kick the cat(ネコを蹴る)」となります。日本語よりも英語の方が直接的な表現ですね。このように、関係のない人やモノなどに、怒りの感情をぶつけることを「八つ当たり」と言います。
心理学上では、八つ当たりをする行動に対して「置き換え」という用語が用いられます。例えば、仕事で嫌な気持ちになった夫が、自宅に帰って妻に「八つ当たり」をしたとします。これは、「仕事」で感じた嫌な思いを「仕事」の場面で吐き出さず、はけ口を「自宅に居た仕事とは何の関係もない妻に求めた」となります。
「八つ当たり」する人はどんな人?
「部長、また女子社員に八つ当たりしてる・・・彼女、何も悪くないのにかわいそう」あなたの周りに、いつも「八つ当たり」をしている人はいませんか?
八つ当たりなんてしても何も解決しないのに、どうして部長は八つ当たりをするのでしょう。
プライドが高い人
自分に自信があるので、自分のせいでトラブルが起きたとしても、「絶対に謝りたくない」のように「自分は悪くない」と考えます。
「タイミングが悪かった」など、形のないもののせいにせず「“あの人の”せいで、自分が失敗するはめになった」と他人に責任をなすり付けたりする傾向もあります。この「プライドの高さ」が八つ当たりをする原因の中で最も大きいです。
固定概念が強い人
「プライドが高い」と関係性が深く、そこには「固定概念の強さ」も含まれます。「自分の考えが正しい」といって人の話を聞かないのが特徴です。「自分の考えが正しいに決まっている」ということは「他人の考えはすべて間違っている」ということになります。
「八つ当たり」に関しても「正しい自分が怒るのは正しい、間違っている人は私に怒られても当然だ」と思う心理から来る行動なのです。
社会性に乏しい人
人間は社会の中で生きていますので、他人との関わりをなくして生活することは出来ません。人と関わるということは「感情のやり取り」が必ず生じます。人間はいつも同じ状態ではありません。感情の浮き沈みは誰にでもあることです。
しかし、人間関係を出来るだけ円滑にするために、感情をコントロールすることは社会人スキルの1つとして、大変重要なことです。「八つ当たり」をする人は、厳しい言い方ですが「社会性」の乏しさがあります。自分の心の状態の良し悪しは、他人には何の関係もないことを再確認すべきなのです。
感情のコントロールが出来ない人
「社会性の乏しさ」でも触れましたが、自分の「負の感情」をコントロールすることは、対人関係においても大切なスキルです。
自分の感情をフラットに保てることは、他人だけではなく自分をも大切にする行為です。「今日は気分が乗らないな、よし、今日は帰りに前から欲しかった服を買いに行こう!」と自分の機嫌を取ることで、他人にとる態度も柔らかくすることが出来ます。
他人から優しく接してもらえると、自分も優しい気持ちになれます。「八つ当たり」をする人は、感情のコントロールが出来ず、機嫌の悪さをダイレクトに人に伝えます。これは「自分の機嫌をとる」という感情コントロールスキルが欠落しているからです。
「八つ当たり」をする深層心理
「八つ当たり」にポジティブな意味は100%ありません。
それなのに、どうして「八つ当たり」をするのでしょうか?行動に隠された深層心理はどのようなものなのでしょうか?
「自分はいつも正しい!」
「私が悪い、そんなわけがない!」といった強い固定概念から、他の人に責任転嫁しようとします。冷静さも失われていますので、静かにたしなめるのではなく強い口調で攻撃します。自分に自信があるので、間違いを認めたくないのです。
負けず嫌いは、性格を褒める上でのポジティブな言葉ですが、「自分が悪いわけがない」という感情は負けず嫌いのような「長所」ではありません。
「疲労やストレスを発散したい」
溜まった鬱憤を晴らすように、大声を出したり、泣いたりして感情を大爆発させます。これは「蓄積したストレスを手放したい」「自分を負の感情から守りたい」という深層心理があります。攻撃的ではありますが、実は心の弱い人に多い「防衛本能」からくる行動です。
自分の中に起きている「負の感情」をどうにかしたい、という気持ちを自分1人で解消するのではなく、他人にぶつけてしまいたいという心理が働きます。確かに、人と会話して自分の感情を話すと気持ちが落ち着きますが、心情を”吐露”するのと”爆発”させるのは、字面のとおりまったく違う種類です。
「責任転嫁したい」
トラブルが起ったとき、「まず、どう対処すべきか」を考えるのでではなく「どうしてこんなことになったのか」に思考が向かいます。そして、トラブルの起きた原因が自分にあったらどうしようという不安から、冷静さを失いパニック状態を起こします。
そのような精神状態が「私が悪いのではなく、この人が悪いのだ!」と責任転嫁し、問題の関係者にならないように力を尽くします。理路整然と理詰めで責任転嫁するのではなく、荒々しい口調を用います。これは「難しいことは考えたくないが、とにかく私は悪くない。私に今怒鳴られているこの人が悪いのです!」といった周囲へのアピールでもあるのです。
「八つ当たり」されやすい人はどんな人?
「あの人に会ったらいつも八つ当たりされる!」なんて怯えていませんか?どうして、あなたはその人から八つ当たりを受けるのでしょう?
優しい人・口答えをしない人
口答えをしない、物腰の優しい人や、なんでも「はいはい」と受け流してくれる包容力のある人がターゲットになりやすいです。優しいことは素晴らしいことですが、単なる「都合の良い相手」と思われているのなら、こちら側の姿勢も変える必要があります。
「八つ当たりをしてもいい」と思われるということは、最悪な場合「どのように扱ってもいい」と思われているということになります。社会生活で、他人を「どう扱ってもよい」と考えるのは問題ですよね。弱いからという理由は「弱い者いじめ」に他ならない、とても卑怯なものの考え方です。
立場が同等か、立場が低い人
上司から部下への八つ当たり、父親から子供への八つ当たりなど「自分より弱い」「自分には逆らえない」と相手から思われている場合、ターゲットにされやすいです。端的に言えば 「自分より立場が低い」と見下されているのです。
分かりやすく言えば「どうせあなたなんて」という前置きをつけられているようなものです。「どうせ、子供だから」「どうせ、部下だから」「どうぜ派遣社員だから」など、どうしようもない立場を材料に「どうせ」扱いされるのは理不尽です。
その人から「嫌われている」人
「前からむかついていた!」と以前からの感情を持ち出して言いがかりを付けられるシーンはテレビでも観られますよね。このような「以前から気に食わない!」と思われている人も、八つ当たりのターゲットにされやすいです。前々から持っていた「負の感情」をここぞ、とばかりにぶつけられてしまうのです。
このようなケースの「八つ当たり」は、八つ当たりをする側だけの問題でない場合もあります。いつも損ばかりさせていたり、失敗したことの後始末などをさせていると、以前から持っていた感情をもとに「攻撃」される可能性があります。
ネガティブな人
行動の何かが原因で、周りの人をイライラさせている人も攻撃対象にされます。行動が遅い、ミスが多いなど、見ているとイライラしてしまうキャラクター性が原因です。「見ているだけでイライラする!」という、あって無いような理由で八つ当たりされてしまいます。
ますますネガティブになりそうですが、イヤだと思う気持ちがあるのなら「私は周りの空気を読めているか?」「コミュニケーションをとれているか」など、自分の普段の態度を振り返ってみる必要もあります。
「八つ当たり」は、積もった「負の感情」が原因です
「八つ当たり」は以前から持っていた感情が、何かのきっかけで引っ張り出される「負の感情」です。つまり、今初めて湧いた「負の感情」ではないのです。
「八つ当たり」の原因は”それ以前”にある!
前項で「その人から嫌われている人」と書きましたが、「思い出したかのように、いきなり怒り出す」という現象には、今よりも前に原因となる出来事が起きていたはずです。初対面の人に「なんだかこの人好きじゃない」とネガティブな感情が起きることと似ています。
初対面で、相手のことなど何も知らないはずなのに嫌悪感を覚えるのは「よく似た人に嫌な感情を持っている」といった「過去の記憶」がリンクして、今目の前にいる人に「嫌な気持ち」を思い起こさせたからです。
「八つ当たり」されないための対処法
ある日突然降って来る「八つ当たり」!あまりの剣幕に頷いて話を聞くしかありません。しかし、これを何度も繰り返されると心底から消耗してしまいます。
とにかく、その場から離れる!
目が合ったら最後、口汚く罵られるなんて考えたくないですよね。その人と目が合う前に、席を外すなどしてその場から離れてしまいましょう。「ああ、口調が荒くなってきたな」とか「今日は機嫌が悪いな」と思ったら、物理的に距離をとるなどの対処法を取りましょう。
「八つ当たり」をするときの心は、パニックのようなものなので「手当たり次第にあたりまくる」場合があります。見守る必要は全くありませんので、その場から離れてしまいましょう。
何か言われても、相手にしない!
八つ当たりを八つ当たりで返すのはもってのほかです。自分が攻撃されても、聞き流して スルーしましょう。「人に八つ当たりをしてしまうのは、自分の悪いところだ」と本人が気づかなければ治らないと思っておきましょう。
気づかないうちに優しくたしなめても、「なんであなたにそんな説教されなきゃいけないの」と逆に攻撃されてしまうかもしれません。大人としての対応は、大人に対して行うもの。「子供が癇癪を起こしたとき、その親が真剣に取り合わないのに似ています。
辛らつな言葉をぶつけられても、「これは単なる”八つ当たり”だから気にしない!」割り切り、本当に自分に非がないなら自己価値感を曲げてまで、その人に付き合う必要はないのです。
大切な存在なら、話を聞いてあげる
八つ当たりさえしなければ、いい子なんだけどなあ・・・と気持ちがあるのなら、八つ当たりの原因を聞いてあげましょう。「誰かが見ていてくれた」ということが分かるだけで、気持ちが安定することがあります。
気持ちが落ち着いたころに「気持ちはよく分かるけど、関係ない人に当たってもいいことはないよ」と、「やんわりと行動をたしなめる」ことも必要です。なぜなら、八つ当たりを繰り返して得することはなく、余計に辛い思いをすることになる可能性が高いからです。
「八つ当たり」をしないためにはどうしたらいい?
ここまでは「八つ当たりされる側」のお話でした。「八つ当たり」される人の気持ちはとても苦しいものでしたよね。
もし、あなたが「八つ当たりする側」なら・・・どうするべきでしょうか。最初に「人に八つ当たりをしない」という強い決心を固めましょう。
負の感情を昇華させる!
先にも書きましたが、感情を別のものに変換する方法や、そのためのルールを自分で身につけることです。ストレス解消の方法に「趣味を持つ」ことが薦められる理由は、「意識を別のことに逸らす」という効果が期待できるからです。意識を逸らすということは、ストレスの対象から発せられる情報を遮断できる、ということです。
その方法は、悪事でない限り何でもいいのです。よく、サラリーマンの男性がランニングやジム通いをしていますが、これは「精神の疲れを、体の疲れに変換できる」というメリットを感じているからです。八つ当たりは「溜まった感情」が爆発することで起こる行動ですから、日々少しずつ消化(昇華)させ、負の感情を貯めない工夫をしましょう。
「八つ当たり」を繰り返すとどうなる?
八つ当たりされたくないがために、人が離れていきます。誰しも身に覚えのないことで攻撃するような人の相手はしていられません。我慢しているのは、八つ当たりを繰りかえす本人だけではありません。「子供おじさん」や「子供おばさん」という陰口があります。これは感情をコントロール出来ない子供のままの大人、という意味があります。
精神的な幼さが抜けない大人は「無邪気」とは評価されることはありません。自分の気持ちを律して、与えられた任務を全う出来るのが大人です。さらに、他人のことまで気遣えるのが大人としての必須条件です。「八つ当たり」は未熟な精神の表れなのです。
まとめ
「アンサイクロペディア」というサイトをご存知でしょうか。このサイト上では「八つ当たりは魔力」として解説されています。確かに、自分とは何の関係もない「負のパワー」で攻撃されるのですから、八つ当たりを受ける側からすれば、防御しようがない、精神的に消耗させられ、翻弄されるのですから・・・これはまさに「魔力」です!
自分が八つ当たりをする側、という人は、そんな「魔力」を撒き散らしているなんて思いたくないですよね。魔力を行使するにはパワーを貯めなければなりません。八つ当たりの源になるパワーは貯めて得することは何もなく、大切なものを破壊するものと考えて、いっそのことその「魔力」を封印してしまいましょう。
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