あなたは自暴自棄になってしまったことはありますか?自暴自棄になってしまったり、自暴自棄になりそうになったことがある…というのは、多くの人が経験してきたことではないのかと思います。
では、なぜ人は自暴自棄に陥ってしまうのでしょうか?自暴自棄になってしまう理由や、どのように自暴自棄の状態から脱すればいいのかを、ここではご紹介していきたいと思います。
自暴自棄について
そもそも、自暴自棄とはいったいどんな状態のことを指すのでしょうか。ここでは自暴自棄の言葉の意味と、人は何の目的で自暴自棄になるのかをご紹介していきます。
自暴自棄の類語や関連語とは
自暴自棄自体にふれる前に、自暴自棄の類語、関連語をご紹介していきます。
- やけ、やけっぱち
- 捨て鉢
- 八方破れ
- やさぐれる
- ふてくされる
いかがでしょう。「ああ、大体こういう意味ね」と、なんとなくイメージをつかんでいただけたかと思います。とくに、「やけになる」なんて、よく聞く言葉じゃありませんか?いずれも、何かに絶望したりすることが発端となり、自分のことを大切にできなくなっている状態のことを指すイメージの言葉ばかりですよね。
自暴自棄とは
「自暴自棄」、辞書で調べてみると、『「自暴」:めちゃくちゃなことをして、自分自身の体を損なうこと。「自棄」:自分で自分を見捨てること。希望を失い、自分などどうなってもいいとやけくそになること。』という意味だそうです。
先に挙げた、類語・関連語を見ていただいてもわかるように、何かしらの出来事によって、希望を失っている、希望を見いだせないことによって引き起こされます。「どうせ自分なんか…」「もうどうなってもいい…」と、すべてのことがどうでもよくなっている状態。自分の事までも、ないがしろにしてしまっている状態のことを指す言葉として使われます。
自暴自棄で何が解決するのか
自暴自棄になって、自分や周りのことをないがしろにしても、何一つ問題は解決しませんよね。自暴自棄になっている暇があるのなら、少しでも今の状況がよくなるようなアクションを起こしたほうがいいのでは…なんて、自暴自棄になっている当人以外の人は思ってしまうものです。
「いや、そういうことができないとか、考え付かないほど追い込まれているから、自暴自棄になるんじゃないの?」と思われるかもしれません。至極まっとうな意見ではあるのですが、「人が起こすすべての行動には、本人が気づかないとしても何かしら目的がある」といわれています。その考えに基づくと、「自暴自棄になるのにも、何かしらの目的がある」ということになるのです。
では、人は何の目的があって自暴自棄になってしまうのでしょうか? 自暴自棄になって得られるものは何なのか考えたときに、たどり着くのは「現実から目を背けることができる」「現実逃避ができる」そして、「自分を守ることができる」という点です。
「自分なんかどうせ…」「もうどうなってもいいんだ…」と思って全てを諦めてしまえば、今の自分の前にある現実に立ち向かわなくてもいいですよね。現実逃避ができるわけです。それに、そんな状態になっている自分を周りにアピールすれば、周りからさらに責められることもないでしょう。むしろ、周りの同情を買うこともできるかもしれません。
結果的には、「自分のことを守るため」に、人は「自分のことをないがしろにする」のです。
自暴自棄になる心理と解決のための考え方
では、現実逃避のために自暴自棄になってしまうとき、人はどんな心理に追い込まれているのでしょうか。
ここでは、自暴自棄になってしまう心理を大きく分けて2つご紹介したうえで、そんな状況で自暴自棄から脱するための考え方をご紹介していきます。
自分を否定されたとき
自分を否定される…辛いことですね、たとえばどんな状況でなりうることでしょうか。
・失恋したとき
告白したのにフラれた、付き合っていた恋人に別れを切り出された、浮気をされた…その人に対する気持ちが大きければ大きいほど、または恋人であった場合はその人と過ごしてきた期間が長ければ長いほど、絶望感も大きくなります。
愛する人に受け入れてもらえない、裏切られる…。そうすると、まるで自分自身を否定されたように感じてしまう人が多いようです。
・結果が出ないとき
たとえば、仕事でどんなに頑張っても営業成績が伸びない、勉強をがんばっても成績が伸びない、就職できなかった、受験で合格できなかった…など、自分なりに努力していたのに、結果がきちんとついてこなかった場合。
がんばってきた分だけ、時間をかけた分だけ、結果が出ない時のショックは大きくなります。「ずっとがんばってきたのに、自分は…」と思ってしまい、」自分自身のがんばりや、自分自身を否定されたように感じてしまうのです。
≪「自分を否定されたとき」に自暴自棄にならないための考え方≫
まずははっきりさせておきたいのですが、「自分の努力の結果が出ない」、「自分の愛情が受け入れてもらえない」…そんなことがあっても、そもそもあなた自身はなにも否定されていません。あなたが、そんなにショックを受けて自暴自棄になる必要はどこにもないのです。
努力が実らなかったのは、あなたの努力があと少し足りなかったのかもしれないし、また違った方向に努力をする必要があったのかもしれません。もしくは、あなたよりも何倍も努力して結果を出した人がいるのかもしれません。自暴自棄になってしまえば、もう努力をする必要もありませんが、もしかしたら、今は結果が出ていなくても後の成功につながるかもしれないのに、その可能性もなくなってしまいます。
失恋してしまった、という場合もあなた自身が否定されたわけではありません。大体にして、完璧な人間などいませんし、恋愛は相手がいて成り立つもの。あなたが誰かのために生きているのではなく、自分のために生きているように、相手も自分のために生きています。気持ちはいつも通じ合うわけではないし、いつもあなたの希望通りにいくわけではありません。あなたが否定されているというわけではなく、それが世の常というものです。
自暴自棄になってしまっては、新しい出会いや新しい自分の感情にも出会えないままです。もったいないと思いませんか?
いっぱいいっぱいになってしまったとき
いっぱいいっぱいになる、つまり自分に余裕がなくなっている状況を指します。
・生理的な欲求が満たされていない
人間としての欲求が満たされていない時に、人は余裕がなくなってしまいます。たとえば忙しい時に、なかなか睡眠時間が確保できない状況が続いてしまっている、ろくにきちんと食事をとる時間もない状況が続いている…そんな風になると、人はだんだん追い込まれてしまいます。
いつものきちんと睡眠がとれて食事もとれている状態ならば、まともに対応ができることでも、余裕がなくなっているそんな時には、「もうどうなってもいい!」と自暴自棄になってしまうこともあります。
・仕事などの予定が立て込みすぎている
スケジュールがタイトすぎると、常に何かに追われているようなプレッシャーを感じることになります。
常にストレスを抱えているような状態になりますから、その状態に耐え切れず「もうどうなってもいい!」「自分のことも他のこともどうにでもなれ!」と、自暴自棄に陥ってしまうことがあります。
≪「いっぱいいっぱいになってしまったとき」に自暴自棄にならないための考え方≫
スケジュールの見直しをする必要があります。自分の生活に余裕がなければ、自分の気持ちにも余裕が持てないもの。自分一人では解決できないことなら周りの人の助けを求めて、自分の気持ちに余裕が持てるようにしましょう。
自暴自棄になりそうになってしまったら…
ここでは、先に挙げたような「自暴自棄にならないための考え方」の基本的なところについて言及していきます。
「もうどうでもいい」「どうせ自分なんて…」と思い始めたら、次のことに気を付けて、自暴自棄をこじらせないようにしましょう。
人に相談しよう
すでに沈んでしまっているときに、1人でずっと考えていても、なかなか悪い考えから抜け出せないものです。人と話すことで、なにかアドバイスがもらえて明るい考えを持てるようになるかもしれませんし、そもそも人と話すことで気持ちが楽になります。
それに、人に自分の状況や気持ちを話すことで、自分の状況や気持ちを客観的に、冷静に見つめることもできるようになりますので、自暴自棄から抜け出すきっかけになる可能性が大きいのです。
「なかなか人と話す気持ちにはなれない…」と思う方も、自分の今の状況を全く知らない友人などに、自分のことを話してみてはどうでしょう。
休む必要があるのかも
「いっぱいいっぱいになっているとき」に自暴自棄にならない解決法でもご紹介したように、自暴自棄になるのを避けるためには、とにかく休息が必要な場合があります。
体が疲れていると、いつもはなんともないことでもものすごく辛く感じてしまいがちですし、作業効率も落ちるし、イライラもします。いいことなしの状態になってしまいますよね。
「休んでる時間なんてない!」という方も、休まない結果で自暴自棄になってしまうくらいなら、思い切って休んだほうが断然おすすめです。
まとめ
自暴自棄になってしまう心理と、なってしまう可能性のある状況、そして解決法についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ひどい自暴自棄になってしまっている状態のときには、なかなか「今、自分は自暴自棄になってしまっている」と自分を冷静に見つめることはできないでしょうし、「誰かに相談しなきゃ」「休まなきゃ」とも思えないことでしょう。
まずは、自暴自棄にならないように心掛けておくことが第一です。自暴自棄になっても、現実逃避はできても、実際には何もよくならないのですから。