日本語で多くの人が間違って使用する敬語や言葉。会社で取引先とのやり取りの中で「尽力を尽くします」「ご尽力いただきありがとうございます」などという表現はよく目にするのでは無いでしょうか?
メールなどでも数回は使用した経験はあるでしょう。
この「尽力〜」という言葉を間違った使用方法で使ってしまっている人が結構います。
この言葉の詳しい意味と、正しい使い方について今日は紹介していきます。
間違った日本語を使用して、相手に心配されたりできない人だと思われないように注意しましょう。
「尽力」とは
まず初めに尽力という言葉の意味について紹介していきます。
正しい意味を知って使用シーンを誤らないようにしましょう。
尽力の意味
尽力・・・読み方(じんしょく)
尽力の意味は、力を尽くすという意味です。
「ある目的や目標のために力を出し尽くして努力する」「精一杯努力する」という意味合いがあります。
「尽力を尽くす」は間違い
尽力を尽くします。尽力を尽くして頑張ります。尽力を注ぎます。
などという表現を聞いたことはありませんか?特に気にしなければスルーしてしまいそうな言葉ですがこの表現は誤りです。
「尽力」という言葉の中にすでに力を”尽くす”という意味がありますので、”尽くします”と言ってしまうと、同じ言葉が重複してしまいますので間違いです。
意味としては通じますが「頭痛が痛い」や「馬から落馬する」「永久に不滅」などと同様に重言(重複表現)となります。
このような重複表現は意味を強調する際やさらに相手に力強く提言する際や相手により明確に意味を伝えるために用いられる表現でもあります。
尽力を使用した例文・正しい使用例
「尽力」を使用した正しい文章を紹介していきます。
ビジネスメールでの使用シーン、上司との会話の中での使用シーンなどでの使用例をまとめました。
尽力をメールで使用する場合
メールなどで使用される例文を紹介します。
- この度、弊社との合同プロジェクトにおいて、御社より多大なるご尽力を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。
- この度のご快挙は業界全体の栄誉であり、御社の今日までのご尽力が実を結ばれましたことは、誠にご同慶の至りと存じます。
- より一層のサービス向上のため、スタッフ一同尽力いたします。
- お客様の声を胸に尽力を重ねて参ります。
などというように表現されます。
尽力という使用方法以外にも
- 力を尽くされたことが実を結び〜
- 力を尽くします。
- 尽力いたします。
- 全力を出し切ります。
という表現にも使用できます。
尽力を会話の中で使用する場合
努力します。頑張ります。一生懸命やります。などの意味で表現したい場合は以下のような表現が好ましいでしょう。
- 尽力いたします
- 尽力させていただきます
- 誠心誠意尽力してまいります
と表現できます。自分の意思を述べる際には尽力の前には「御」はつけません。自分の名前に様をつけるようなものですので注意しましょう。
さらに相手の好意や力添えに感謝をする場合は以下のように表現できます。
- ご尽力いただき感謝いたします
- お力添えを賜り感謝いたします
- 関係者様方のご尽力に敬意を表しております
- ご尽力いただき心より感謝いたしております
などが正しい表現方法です。
相手の好意に対して尽力という表現を使用して感謝を述べる際には「ご」や「お」を頭につけて尊敬語にして使用するようにしましょう。
尽力の類義語
尽力いたしますという表現以外にも同様のシーンで使用できる言葉について紹介します。
尽力の類義語としては以下のものがあります。
- お力添え
- 全力を尽くす
- 余すところなく行う
- 全力で取り組む
- 寄与する
- 献身して
- 身を粉にして
などもビジネスシーンで使用することができるでしょう。
「尽力」の誤った使用例
尽力やお力添えなどビジネスシーンでよく使用される言葉の間違った使用例について紹介していきます。
微妙なニュアンスで相手に対して失礼に当たる表現になってしまうので注意しましょう。
ご尽力願います
目上の人に対してご尽力お願いいたします。と誤った使用をしているケースがあります。
尽力は努力をして頑張るという意味があるので、目上の人に尽力を要求してしまうと努力を強要して助けてくれと言っている意味になってしまいます。
ですのでこの場合は、「お力添えを賜りますようお願い申し上げます。」「今後ともお力添えのほどよろしくお願い申し上げます。」などと「お力添え」を使用するようにしましょう。
ご尽力いただければ幸いです
これも誤りです。
この場合も「お力添え」を使用した方が適当でしょう。
「お力添えをいただければ幸いです」の方がはるかに自然です。尽力と言ってしまうとどうしても相手に努力を要求する意味合いが強くなってしまうので印象がよくありません。
自分が尽力いたします。というのは一向に構いませんが、相手に尽力をお願いするのはやめましょう。
尽力を尽くす
上記でも紹介したように「尽力を尽くす」は重複表現なので誤りです。
尽力を注ぐも稀にテレビでも聞かれることはあり、許容されている範囲のようですが間違った表現である言葉ですので注意しましょう。
その他の使いやすい敬語
どうしても堅苦しい敬語ばかりだと距離が縮まらなかったり、ぎこちなくなてしまったり、使い慣れない言葉だから上記のように間違った表現をしてしまうこともあると思います。
そうならないように、もっと肩の力を抜いて使用できる言葉について紹介します。
ご支援
感謝を述べるときに使用する「お力添え」や「尽力いただき」という表現の代わりに使用できる言葉です。
- ご支援いただきありがとうございます。
- ご支援に賜り感謝いたします。
- 暖かいご支援誠にありがとうございます。
支援という言葉を使用することで、より明確に援助をしていただいたという気持ちと、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
ご協力
こちらもお力添え、尽力いただきという表現と同じように使用できます。
- この度は御協力いただきありがとうございます。
- 皆様の協力あってこそ今回の成功を収めることができました。
などと表現するとより親近感のある表現になります。
しかし自分が相手に対して手を貸す場合には「協力させていただきます」と言ってしまうと相手に恩を売ってしまうことにもなりますので注意です。
この場合は「お力添えさせていただきます」「微力ながら尽力いたします」などと表現することが正しい使い方でしょう。
お手伝い
もっと親しい間柄や堅苦しくない表現としては「お手伝い」という表現が最適です。
- お手伝いしていただくと幸いです。
- ぜひ、お手伝いさせていただきます。
- 微力ではありますがお手伝いさせていただきます。
昔からの友人や知人、近所の方とのやり取りの際などにはこれくらいわかりやすい表現の方が伝わりやすくていいでしょう。
また直接手伝いをお願いしたい際にはもっと直接的な表現をして、「手を貸していただけますか?」「お手隙のときに助けてください」などと表現するといいでしょう。
まとめ
自分が尽力いたします。という言葉を発言するときは尽力の前に「微力ながら」や「誠心誠意」などの言葉をつけると、クッションになり謙遜する表現になりますので好印象になります。
特に目上の人に挨拶のメールなどを送る場合には、謙遜をしっかり含めつつ相手を持ち上げて、力を出し切るという意思を表明しましょう。
他の言葉についても気になるものがあれば確認してみてください。
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