菓子折りとは?その意味やマナー、渡し方のルールなどを知ろう!

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友人のお宅にお呼ばれした時、あなたは「手ぶら」で行きますか?「お土産なんて持ってこなくていいよ!」と友人から念を押されても「手土産」を用意していきますよね。また、特別な理由で仕事の取引先へ伺う時、お土産として「気の効いたもの」を持参します。そのような時、よく選ばれている物が「菓子折り」です。

誰もが知る人気の高いお菓子や、自分がおすすめしたいお菓子、これから会う相手が好きなお菓子・・・。さまざまな視線で菓子折りを選ぶのは楽しいものですが、なによりも渡すシチュエーションや渡す相手に合わせて選ぶのが「大前提」です。今回は人間関係のクッション的役割を果たしてくれる「菓子折り」についてお話します。

そもそも「菓子折り」とは?

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最初に「菓子折り」と言う言葉についてお話ししましょう。

菓子折りの「折り」とは何を意味しているかご存知でしょうか?これは「お菓子を入れる箱」のことを指しています。

箱に入っているお菓子を「菓子折り」と言います

かつて、お饅頭や大福などといったお菓子は重箱に入れられていました。やがて物が豊富になり、重箱の代わりに厚手の紙などでできた箱「折箱」にお菓子が入れられるようになりました。この折箱は紙で折って作られていたため「菓子折り」と呼ばれるようになったのです。

袋入りのお菓子は「菓子折り」とは呼びません。菓子折り入りのお菓子は、袋入りの商品よりも格式が高く高級感があります。コンビニやスーパーで売られているお菓子はほぼ袋入りですよね。袋に入れられたお菓子は「袋菓子」と呼ばれ、手軽な存在として認識されています。

大手スーパーなどでは箱入りのお菓子を売る「ギフトコーナー」を別の場所に設けているところもありますよね。このように、気軽に手にとってレジに並んで買うお菓子ではなく、わざわざお菓子専門店に出向き、化粧箱に入れてもらうというプロセスでも「箱入りのお菓子」と「袋入りのお菓子」には大きな違いがあります。

どのようなお菓子を選んだらいい?

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箱に入れられたお菓子なら、どれでも贈答に相応しいわけではありません。受け取る相手のことを考えて購入しましょう。

有名店・老舗のお菓子

知らない人がいないほどの有名なお店や、古くから歴史のあるお店には必ずその理由があります。礼を尽くすべき相手であれば、このような「大手」のお店の力を借りるのも良いでしょう。会社によっては、「ここぞ!というときには○○のお菓子を持っていく」と、定番のお菓子を決めているところもあります。

上司から「菓子折りを1つ用意しておいて」と突然指示を出されて、何を贈ったらよいのか判断できない場合もあります。このような場合は、どこに出しても恥ずかしくない有名店や老舗のお菓子を選びましょう。どこのお菓子が有名なのか、普段からお菓子に関するリサーチをしておくこと良いでしょう。

自分の地元の銘菓(相手から遠い場所で購入する)

自宅や会社がある「地元のお菓子」を選びましょう。「どうしてこのお菓子を選んだのか」という話のネタにもなり、また「わが家(わが社は)○○市にあります」といった自己紹介の意味を含めることができます。何より「わざわざ遠方から手土産を用意してきた」という印象を相手に持たせることが出来ます。

反対に、絶対にしてはいけないことは、相手から近い場所のお店で菓子折りを購入することです。相手の自宅やや会社から最寄りの店で買うと値段もすぐにバレますし、なにより「ここに来る直前まで菓子折りを用意するのを忘れていたのでは?」と思われてしまいます。

「個別包装」されているお菓子

相手のことを考えたお菓子の条件は、まずは「個別包装」されていることです。個別包装されていないものは、切り分ける手間がかかりますし、一旦開封するとすぐに食べてしまわなければならないため、会社などの大人数がいる場所には不向きです。

ホールケーキなどは見た目も華やかで喜ばれそうですが、切り分ける手間や個々に配るためのお皿やフォークを準備しなければ食べることが出来ません。せっかく贈ったのに「こんなもの迷惑だ!」なんて言われてしまっては意味がありませんよね。

お菓子選びで知っておくべき「常識」

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お菓子を贈るシチュエーションはさまざまです。お土産で渡すだけではなく、慶弔時でも菓子折りを用意することがあります。

慶事と弔事、同じお菓子でも失礼にならないのでしょうか?その場に相応しいお菓子の種類を知っておきましょう。

雰囲気に合わせたお菓子を選びましょう

菓子折りを贈る機会もさまざまですが、お菓子にもさまざまな種類があります。贈る相手が好んでいるものが分かれば、それを贈るのが一番良い方法です。相手の好きなものが分からなければ、「場に合わせたお菓子」を選ぶのが大人としてのマナーです。

法事の時に菓子折りを持参する場合、いくら有名で人気のあるお店の商品であっても、色鮮やかな「マカロン」などは場違いです。反対に華を添えたい時のお菓子に「羊羹」や「お煎餅」だと少々華やぎに欠ける気もします。「たかがお菓子くらいで」と考えてはいけません。お菓子にも「タブー」があります。世間一般で言われている、お菓子を贈るときの「常識」をご紹介します。

お祝いの場合「お菓子だけ贈るのは×!」

お祝いにも種類がありますが、誰かを祝う場合に「お菓子だけ」を贈ることは滅多に無いと思います。なぜなら、お祝いに贈る物は「記念品」の役割があるからです。

お菓子は食べてしまったら消えてしまいますので、記念品にはなりません。お菓子は「お祝いのプレゼントに添えるもの」として用意しましょう。

結婚の挨拶「羊羹とお煎餅は×!」

結婚相手の実家へご挨拶に行く場合にも、手土産を持参することをおすすめします。結婚の挨拶のときに向かないお菓子があります。それは「羊羹」です。羊羹は切り分けて食べますので、縁起が悪いとされています。切り分けて食べるお菓子は羊羹だけではありませんが、やはり「個別包装」の切り分け不要のお菓子を選びましょう。お煎餅は割れやすいことから、こち縁起がよくないとされています。

「縁起が良い」とされるお菓子は「バームクーヘン(何重にも重なっている)」「最中(2枚が合わさって1つのお菓子になる)」です。結婚のご挨拶で最も気を遣うのが「誰の好みに合わせるか」です。結婚相手にご両親の好きなものを確認しておきましょう。

お供えには「カラフルなお菓子は×!」

「お供え」には羊羹や饅頭、最中といった落ち着いた雰囲気の和菓子がおすすめです。洋菓子でも問題ないという人もいますが、お酒を使ったお菓子、卵を使ったお菓子をタブーとするところもあります。また、赤やピンクなどの華やかな見た目のお菓子は避けたほうが無難です。

筆者の故郷では、お通夜のとき「淋しお見舞い」という習慣があります。これは、参列者が菓子折りを持参するというものです。お供えのお菓子は葬儀や法事が終わったとき、そのままお供え物とされたり、親族で平等に分けて持ち帰る場合もありますので、個別包装された、日持ちするものが望ましいでしょう。

謝罪の場合は「かしこまった印象の和菓子が○!」

謝罪の目的で選ぶ菓子折りは、「やや高価で、かしこまった印象のもの」を選びましょう。やや高価という表現は難しいですが「お詫びしなければならない内容や程度」によって調整が必要です。極端に高価なお菓子を渡すと「お金で解決しようとしているのではないか?」と相手が悪い方向に捉えてしまう可能性があります。

「この度は大変申し訳ございません。こちらは銀座で一番高いお菓子です、どうぞお納めください。」と言われていい気はしませんよね。お詫びのお菓子として選ばれるのが「羊羹」です。羊羹には、ずっしりとした重みがあります。この重みが「今回の状況を重く受け止めている」という気持ちを表すと言われています。

この考え方を用いると、サクサクとした軽い歯ごたえのクッキーなどは謝罪には不向きと考えることができます。日本の職人が作った和菓子には、クッキーやマドレーヌといった洋菓子よりも「かしこまった」「礼を尽くした」という印象があり、謝罪に適したお菓子です。

快気祝い「溶けてなくなるお菓子が○!」

快気祝いにも種類があり、「快気祝い」と「快気内祝い」を分ける場合があります。病気が全快した場合は「快気祝い」、退院はしたけれど自宅療養を続ける場合は「快気内祝い」を使います。どちらもお見舞いをしてくれた人に、自分が元気になったことを伝えるための贈り物です。

快気祝い(快気内祝い)に相応しいお菓子は、病気が「溶けてなくなる」イメージで、チョコレートや砂糖菓子など「溶けてなくなるお菓子」が選ばれます。お菓子以外のものを贈る場合でも、石鹸や入浴剤などの「水に流れる」ものもおすすめです。

その他、お礼全般

餞別のお返しなど、お礼の気持ちでお菓子を贈る場合には、特別配ってはいけない「タブーのお菓子」はありませんが、配る人のことを考えて「個別包装」のものを選びましょう。会社の人たちに配りたい場合は、性別や年齢層を考えて、全員が好んで食べられるものを選びましょう。

菓子折りの金額、相場はどれくらい?

引越しでご近所に配る場合、500円~1,000円程度が相場です。大家さんや管理人さんには少々多めの2,000円程度と言われています。結婚が決まって、相手の家に挨拶に行く場合は3,000円~5,000円程度が相場です。

お祝いやお餞別のお返しとして、菓子折りを贈る場合は受け取った金額の1/3~半分の額が相場です。菓子折りの金額が限られていますので、菓子折りでは割に合わないほどの贈り物を受け取っている場合は、別の品でお返ししましょう。

お詫びの場合の相場は5,000円~10,000円が相場とされています。これが高いや安いかは、お詫びしなければならない事柄にもよります。

掛け紙(のし紙)や水引の注意点

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お菓子売り場でお菓子を買うと、店員さんに「“のし”はどうしますか?」と確認されます。

表書きやのし紙をどのようにつけるか訊ねられています。さあ、あなたはどうしますか?

「内のし」と「外のし」は“似て非なるもの”です

「内のし」は包装紙の下にのし紙を掛けます。箱を受け取ったとき、のし紙が直接見えない状態です。これは内祝いなど「自分の祝い事のお裾分けです」というときに「控えめ」にお贈るときに用いられるスタイルです。

「外のし」は包装紙の上からのし紙を掛けます。内のしの反対、ということですから「相手を祝う贈り物」であり、「何を祝っているのか」がすぐに相手に分かるように外側にのし紙を付けるスタイルです。つまり、自分に関することで贈り物をする場合は「内のし」で、相手に関する贈り物は「外のし」を掛けるということになります。

「水引」も”結び方”で意味が変わります

ご挨拶の菓子折りには「蝶結び」を選びます。お詫びの場合の水引は「繰り返さない(一度きり)」と言う意味で、「結び切り」を使いましょう。

水引は不祝儀(お悔やみ)以外では紅白しかありませんので、紅白でも問題なく使えます(※不祝儀用の方が余計失礼になります)が、紅白の水引をつけるのが憚られるような状況の場合は、のし紙などはつけず、包装紙のみで渡しても失礼にはなりません。

「結び切り」

結び切りは、一度結んだら解けません。同じことを繰り返したくない事柄に対して使います。結婚祝い・お見舞い・弔事

「蝶結び」

蝶結びは、結んでも解け、解けてもまた結ぶことができます。何度でも起きてほしい「喜ばしい」事柄に使います。出産祝いなど結婚祝いを除いた慶事。(退院祝いの場合は結び切り)

菓子折りはどうやって・いつ渡す?

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百貨店で菓子折りを購入すると、「持ち帰り用の紙袋」とは別に「お渡し用の紙袋」を用意してくれますよね。

どうして2枚も要るのでしょう?紙袋ごと渡すのでしょうか?

菓子折りを渡す方法

基本的な渡し方は、「紙袋から出して渡す」です。紙袋は包装紙を汚さないために使うものなので、包装紙が綺麗な状態で相手に渡すのが基本的なマナーです。しかし、中には菓子折りを堂々と受け取りたくない人もいるでしょう。そのような場合に備えて、外袋をぞんざいに扱わず、一緒に渡せるように丁寧に扱いましょう。

袋から出しながら渡すのはスマートな姿ではありません。応接室などの部屋で待っているときに、袋から出してスムーズに渡せるよう準備しておきましょう。

誰が、誰に渡す?

応接室に2人以上の人がいたら、誰に渡したらいいか迷ってしまいますよね。ここは上司と思われる人に渡しましょう。

また、自分の上司など自分より目上の人が同行している場合は、その人から相手に渡してもらいましょう。夫婦で訪問した場合には夫から渡してもらうとよいでしょう。

菓子折りを渡す「ベストタイミング」は?

最初か最後の「挨拶のとき」に渡すのがベストタイミングです。しかし「話の流れ」というものもありますので、「渡さなくちゃ!」とお菓子を渡すことに必死にならなくても大丈夫です。必ず最後に「本日はこれで・・・」というタイミングが来ますので、最初に渡せなくても焦る必要はありません。

大切なポイントは「自然な雰囲気で渡せること」です。相手に気を遣わせないよう、気分良く受け取ってもらえるように気を配りましょう。最初の挨拶で「わざわざご足労頂いて・・・」と相手が話しているのに、そこでお菓子を差し出せば相手はさらに恐縮してしまいます。

謝罪の場合は、「最後」に渡す

謝罪の場合は、最初の挨拶で渡すより最後の挨拶で渡すほうが無難です。最初の挨拶で渡すと「自分をお菓子でなだめてから謝罪しようとしている」と受け取られ、相手の怒りに油を注ぐことになり兼ねません。

相手から「もういいですよ」などという言葉が聞かれてから渡すのが無難です。もし相手の気持ちが治まらず、菓子折りを受け取ってもらえない場合は無理強いせずに持ち帰りましょう。

まとめ

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菓子折り1つで、ビジネスの風向きが変わることがあります。得意先の重役が好きなお菓子を贈るということは、相手と懇意にしている・これからも懇意にしたいという気持ちを強く表すことができます。スイーツに詳しいことはビジネススキルの1つです。ビジネスの世界の著名人が「この銘菓を選べば間違いない!」という類の本を出版するほど、菓子折りがビジネスにもたらす力は大きいのです。

ビジネスマンの中には、毎回決まったお菓子を訪問先に持参する人がいます。「いつもあのお菓子を持ってくる人」として、相手先に印象付けることが出来るからだそうです。味や食感・風味を熟知して「業界の風流人」と呼ばれる人もいます。「いつもセンスの良い菓子折りを持ってくる人」になることもビジネスマナーの1つなのです。

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