高校や大学に在学中の人が履歴書を書く場合、学歴欄をどう書いたらよいか悩む時があります。高校1,2年生・大学なら3回生までの人なら「在学中」と書けばいいですよね。そして、高校3年生になったばかり、大学4回生になったばかりであっても「在学中」です。
アルバイト情報誌に「卒業見込み者歓迎!」と書いているものがあります。「在学中」の人はこのアルバイトに申込みすることが出来るでしょうか?また「卒業する見込みがある」とは、どの時点から使って良い言葉なのでしょうか。今回は「卒業見込み」の言葉についてご紹介します。
「卒業見込み」とは?
時期が来れば誰でも卒業出来るのは、一般的には義務教育までです。
必要な単位を取得しなければ卒業出来ない高校生や大学生の「卒業」は、次へ進むための必要不可欠なステップです。
「卒業見込み」=「留年のおそれがない」ということです
「卒業見込み」とは、単位を全て取得している等の条件を満たし、「今年度末に卒業が可能である」という意味を持っています。つまり「留年のおそれがない」ということの証明になります。
4月から正社員として採用しようとしているのに、「出席日数が足りなくて留年したので、御社で働くことはできなくなりました。」なんてことになったら、会社側は大変です。「今年度に卒業することが確実であるか」を確認する意味で企業は「卒業見込み証明書」の提出を求めるのです。
「卒業見込み」はいつから使っていい言葉?
「卒業見込み」とは「卒業が出来ることが確実で、今年度末の卒業見込みがある」と言う時になって初めて使うことが出来る言葉でしたね。繰り返しますが、大学1年生~3年生は使えません。しかし、4年生であっても誰でも使えるわけでもありません。「卒業見込み」と言ってはいけない人とは、どんな人なのでしょうか?
「卒業見込み」が使えない人
大学4年生の「前期」の時点で単位を落としており、「後期」で挽回をすることが出来ない人です。簡単に言ってしまえば「留年決定」の人ですね。このような人は「在学中」と言いましょう(書きましょう)。
「卒業見込み」が使える人
大学4年生で、卒業するために必要な単位を取得しており、卒業が出来ることが確定している人です。「後は卒業式を待つだけ」で、「卒業証明書」がまだもらえていない(卒業式を迎えていない)という人ですね。
大学生の人は全員「在学中」となりますが、新卒就活の履歴書には「卒業見込み」と書くのがルールです。1.2年生は就職活動を始めていませんので、「使えない」ので「在学中」ということになります。
「卒業見込み」と「卒業予定」はどう違う?
結論から書きますと、「卒業見込み」という言葉の方が「卒業予定」よりも意味がやや強くなります。確実な卒業を約束できるのは「卒業見込み」の方です。履歴書など正式な書類に書く場合は「卒業見込み」と書きます。
採用する側の企業は、履歴書に「卒業見込み」と書かれていることで「4月から採用できる」と判断します。「卒業予定」でも間違いであったり意味が通じないわけではありませんが、「卒業が確定している」という意味が強いほうを選ぶほうが無難です。
自分の人生を左右する重要な書類である履歴書は、自分そのものの姿と考えましょう。実は「卒業見込」という言葉は間違いです。「卒業見込」と履歴書に書いて即不採用になることはありませんが、正しいのは「み」の送り仮名がある「卒業見込み」です
求人情報誌でも見られる「卒業見込み者」の表記
「卒業見込みの学生のみ歓迎」という求人を見たことがあるでしょうか?これは現在「在学中」の学生さんは応募できないということです。
「卒業見込み者”のみ”歓迎!」
高校生の場合、大学受験の合格発表がされ進路が確定する時期になると、新生活に向けて「バイト」をし始める人もいるでしょう。このような時期の求人誌には「卒業見込み者OK!」などの学生対象の求人が多数掲載されます。
卒業見込みが得られるまでの間は、あくまでも「在学中の学生」として扱われ、学校や保護者の許可、年齢証明書が提出されても採用されることはありません。最近の求人を観察していると「卒業見込み者のみ歓迎・高校生不可」と分けて書かれているものも増えています。
バイト履歴書における「卒業見込み」と「在学中」の使い方
新卒の就職活動は在学中に活動しますから「在学中」でもいいのではないか、と思われやすいです。新卒の就職活動の結果である「採用」は、あくまでも次年度の4月からの話ですから、「未来の話」を想定して履歴書を書きます。
つまり、「来年の4月の時点には卒業していると見込んでいます」と書かなければなりません。大学生活を送りながら行うアルバイトは「アルバイトをしようとしている現在の状況」が必要です。アルバイトの履歴書に書く場合は「在学中」と書くことになります。
就職活動の履歴書における学歴欄の記入例
2012年3月 ○○高等学校卒業
2012年4月 A大学 B学部C学科入学
2014年3月 A大学 B学部C学科卒業見込み
アルバイトの履歴書における学歴欄の記入例
2012年3月 ○○高等学校卒業
2012年4月 A大学 B学部C学科入学
2014年3月 A大学 B学部C学科在学中
学生さんも、履歴書の提出が必要です!
「学生証で学生であることは証明出来るし、今まで仕事をしたことがないから履歴書に書くことなんかないのに、それでも履歴書は出さなきゃだめなの?」と思うかもしれませんが、求人情報に「履歴書不要」と書かれていない限り、面接時には履歴書を提出しなければなりません。アルバイトを始める時期によっては「在学中」であったり「卒業見込み」になったりします。今までアルバイト経験が無い場合は学歴欄のみ書き、職歴欄は「なし」でいいのです。
つまりは「学歴を書くだけ」になります。書く事が少なすぎても、人生経験が短いのですから致し方ありません。高校生の人が、高校在学中(または卒業見込み)から書くと必然的に「高校入学」から「現在」までの短い履歴書になります。
気になるようでしたら、それ以前からの学歴から始まっても差し支えはありません。一番重要なものは「現在の状況」なので、「現在、○○高等学校 普通科 在学中」のように、必ず最終行に書きましょう。
アルバイト経験がある場合は自己アピールとして、記入しましょう。
例としては「平成○年○月 株式会社ABC入社(アルバイト)」や「平成○年○月 株式会社ABCアルバイト 退職」となります。正式な会社名と、アルバイトとして採用されていたことと、働いていた期間が明確にわかるように記入します。
入学年月・卒業年月が分かりにくい場合は、学歴早見表を利用すると便利です。自分が何年生まれなのかを入力するだけで、小学校から大学までの入学・卒業年月を自動計算してくれるものもあります。
「卒業見込み証明書」の提出が必要なとき
「卒業、本当に出来そう?」「はい、大丈夫です」こんな口頭だけの確認で済むことはありません。「卒業見込み」は、学校から発行された証明書を提示しなければなりません。
新卒就活時には欠かせない「卒業見込み証明書」
就職活動時、応募先企業から履歴書や成績証明書と一緒に「卒業見込み証明書」の提出を求められます。この他では変入学試験、転職活動の時でもまれに提出を求められることがあります。採用情報などでどのような書類が必要になるか、よく確認しましょう。中には成績に関する「調査書」の提出を求める企業もあります。
証明書類の交付は校内の事務局(学務係など)で受けられます。交付までに時間を要するものもありますので、就職活動時には何枚かストックしておきましょう。無料の学校も中にはありますが、多くの場合在学生・卒業生ともに有料になります。
応募先企業へ提出する書類は、一般的に履歴書・ 成績証明書・ 卒業見込証明書・ 健康診断書です。履歴書は自分で書くことが出来ますが、あとの3つは大学などで証明書を発行してもらわなければなりません。新卒採用の場合は上記の書類をほぼ100%、提出を求められます。
各種証明書は、余裕を持って準備を!
就職活動中には、卒業見込み証明書以外にも提出が必要になる書類があります。多くの学校ではさまざまな場所に「証明書自動発行機」が設置されています。早めに入手し、提出が遅れないように気をつけましょう。
自動発行機がない学校の場合は、校内の事務室に発行を依頼しましょう。公共交通機関で通学している人なら、通学定期乗車券発行控を提出しに事務部へ行ったことがあると思いますが、同じ管轄で証明書を発行してもらうことが出来ます。
学校内で発行可能な証明書類の例
学校学生生徒旅客運賃割引証(学割証)
通学証明書
在学証明書(和文・英文)
卒業・修了(見込)証明書(和文・英文)
退学証明書(和文・英文)
学業成績証明書(和文・英文)
学業成績及び卒業・修了(見込)証明書
研究指導認定(退学)(見込)証明書
健康診断証明書
健康診断結果通知書
出典:京都大学
これ以外の証明書の提出を応募先企業から求められることもあります。海外への留学や、職種によっては、和英併記の証明書を求められることがあります。学校内の学務部学生支援課や教務学生担当の人に相談してみましょう。
このようなシステムには、メンテナンスのための「証明書発行期間外」の時間があります。いつ証明書発行機が稼動しているかあらかじめ確認しておきましょう。土日祝休みで稼動していないだけではなく「夏季停止期間」「冬季停止期間」を設けていることがあります。
まとめ
2015年に発売された、お笑い芸人・オードリーの若林さんのエッセイをご存知でしょうか?「完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込」というユニークな題名です。普段テレビで観る若林さんの姿からは想像しにくいですが、過去の「人見知りだった自分の姿」を振り返り、書かれています。
今回は「卒業見込み」の意味についてお話しました。「卒業が確実であり、今から留年することはない」という人だけが使える用語でしたよね。これを踏まえて若林さんの本の題名を読むと、若林さんは「人見知りから卒業することが確実です(まだ卒業はしていないけど)」ということになります。「今はまだ、人見知り学部に籍は置いているけど、ちかぢか卒業します」という、とても素敵な題名だと思いませんか?