最近は共働きが当たり前になっている日本の社会ですが、夫の甲斐性があったり家族や親族の事情などにより、専業主婦をされている奥様ももちろんいます。
専業主婦は文字通り、炊事・洗濯・掃除・買い物などの家事全般に専業しており、家でダラダラしているわけではなく立派に「家の中で」働いている方々なのですが、そこに「育児」が入るかどうかで負担もかなり変わってくることは間違いありません。子供がいない主婦は子供がいる人に比べたら自分の時間を持てるというのは事実でしょう。(もちろん、ご家族の中に要介護者がいる場合などはまた別の話です)
そこに焦点が当たるからか、「専業主婦は暇な時間が多い」というイメージを持っている人も多いようです。しかし、分かりやすく「お金」という対価がないだけで、前述のように家事をあれこれとこなしている主婦たちは、果たして本当にそんなに暇なのでしょうか。もし、その「暇な時間」があるとすれば、もっと有意義に過ごす方法はないのでしょうか。今回はこのあたりに迫っていきます。
専業主婦は子供がいるかどうかでも大きく変わる
インターネット上でも「専業主婦は楽でいいね」と言われて怒ったり悲しんだりしている主婦についての記事やコメントがたくさんありますが、このようなイメージがあるのは単純に、“外で働いている時のように時間や体を拘束されない”ということから来ていると考えられます。
確かに、実際に専業主婦を体験したことがない人からしてみれば、「家事は自分のペースでできる」「家事をしている時以外は自由」という面に着目してしまうのは仕方のないことかもしれません。また、漫画などで描かれる主婦も家でドラマなどを観ながらダラダラしているシーンがよく登場するので、暇や楽といったイメージに拍車をかけている気もします。
ところが、その実態は決して「楽」ではありません。いくつもの家事があるのはもちろんのこと、それらを一日の中で効率よく回していく必要がありますし、外で働くのと違って家の中でやる分「怠けずにこなす」という自制心・自己管理の精神力も必須となります。また、介護や育児などをしている人の場合はまともに休みを取ることもままなりません。
もちろん、中には色々と余裕があって時間を持て余している人がいるのも事実ではあるようです。家事以外にも何かやることがある人はこのような状態にはなりづらいのですが、時間を有意義に使えないがために結果として「暇」という状況になってしまい、そこに悩んでいる人たちもいるのです。
まずは、この暇な時間の生まれやすさや考え方について、「子供のあり・なし」別に見ていきましょう。
子供がいる場合
夫の稼ぎが良いなどで裕福であったり、夫や家族から望まれている場合を除いて、専業主婦になる理由で一番多いのはやはり「育児」が必要な時期でしょう。よって、子供がいる専業主婦と一言で言っても、その子供の年齢によって状況は大きく変わります。
まず、今まで外で働いていたのに妊娠をきっかけに専業主婦となった場合は、そのギャップからも一番「暇」を感じやすい時期です。とはいえ、つわりの時期は体調的にもつらい日が多いですし、徐々にお腹が大きくなってきて出産も近づいてくれば、体調面だけではなく検診などを含めた出産準備も増えてきて忙しくなってきます。
人によっては、出産がいよいよリアルになってくることで色々な不安感なども覚えてくることがあるでしょう。出産後は目まぐるしく忙しくなるのが確実ですので、それまでの自分の時間は大切にし、心身ともに余裕がある時は友達との交流や趣味などを満喫しておきましょう。
赤ん坊や幼い子供がいる主婦の場合、子供が起きている時は常に子供に目をやりながら世話をし続け、子供が寝たならばその隙に溜まっている家事をこなしたりなど、まともに休めないことも多くなります。一般的に考えると、最も忙しく余裕がないのはこの時期の専業主婦であると言えます。
子供がある程度大きくなってきて幼稚園や小学校に通うようになると、その間は以前よりも自分自身の時間を持てるようになってきます。主婦友達と食事や買い物にでかけたり、趣味や勉強をすることができたりなど、ようやく「自分のために時間を使う」ということが実現できるようになってくるのです。ただし、まだ育児が必要な時期が終わったわけではないので、幼稚園や学校にいる子供に何かあれば駆けつける必要がありますし、お遊戯会や運動会などの行事があれば参加する必要もあり、完全に「自由」な状態ではありません。
その後子供が育ち、大学に通うようにもなると、実質的には子供のいない主婦とほとんど差のない状況となります。ここに来てようやく、本格的に自分の時間というものが増えてくるわけです。
子供がいない場合
子供がいない専業主婦は、やはり子供がいる人に比べて自由で楽だというイメージを持たれることが多いですね。しかし、介護を必要とする人がいたりなどそれぞれの環境によって大きく異なってくるため、一概に暇だとか自由だとかは言えませんし、決めつけることもできません。
もし特にそういった環境に置かれていないのであれば、育児もなく外に働きに出ることもないという面から言えば、確かに自由な時間は多いということになるでしょう。よって、少なくとも外でフルタイムで働いている人に比べれば趣味や勉強に集中することも可能ということになります。
しかし、このような専業主婦には特有の悩みがあることも多く、周りの人から働きに出ない理由をあれこれ聞かれたり子作りについて詮索されたりなど、色々とわずらわしさを感じる場面があるようです。また、子供がいないということは家で一人で家事をしたり自分の時間を過ごしたりしているわけなので、孤独感を感じてしまうことも多いのです。外で働いていれば通常は職場の人たちとの交流があるわけですが、そういったことがない分、逆に一つのストレス要因にもなり得るのです。
「子なし専業主婦」のメリット
それでは、よく「楽だ」と言われやすい子供のいない専業主婦、いわゆる「子なし専業主婦」について掘り下げていきましょう。まずは、メリットから紹介していきます。
自分の時間を作りやすい
先述したように、育児もなく外に働きに出ることもないという面から、必然的に「自分の時間」を作りやすいというのが最大のメリットと言えるでしょう。子育てがない分、家事さえしっかりと済ますことで空き時間を作ることができ、そこを自分の好きなことをする時間に当てられます。
完璧主義な人の場合は毎日毎日家事もパーフェクトにこなそうとして、まるで日々大掃除をしているかのような状態になって逆に空き時間を作れなくなってしまうこともありますが、きちんとペース配分を考えながら効率的に動くことで、日によっては半日近く自由時間を生みだすこともできるかもしれません。
趣味に時間を費やせる
自分の時間を作ることで、当然ながら趣味に時間を費やすことが可能となります。特にやりたいことや好きなことがたくさんある人は、とても有意義な時間を過ごすことができます。
趣味と言っても、ただ遊ぶことだけではありません。好きなことが何かに活かせるような内容であれば、趣味の延長線で本格的に勉強をしていき資格を取得することで、家にいながらもお金を稼ぐことさえ実現できるのです。例えば、自宅でトリマーをされている主婦もいますよね。
時間を上手く活用できれば、自分の欲求を満たすだけでなく副産物を得ることもできるわけです。
「子なし専業主婦」のデメリット
メリットがあれば、やはりデメリットもあるものです。次は、子なし専業主婦のデメリットについて確認していきましょう。基本的に、精神面におけるものとなります。
周囲からの評価が低い
共働きが当たり前となっている現代において、子供がいるわけでもないのに専業主婦という立場にいる場合、「なぜ?」という疑問から次第に嫉妬へと変わり、周りの働く奥様たちから批判的な印象を持たれてしまうこともあるようです。
また、直接的に収入がないことから後ろめたさが生まれ、自分のことにお金を使うということに抵抗感が出てきてしまう場合もあります。
怠けやすくなる
組織の中で働いているのと違い、自分のペースで家事を進めることができる反面、責任感や自制心が弱い人の場合は怠けてダラダラとした生活を送ることになってしまう可能性を秘めています。そのような日々が続くと精神衛生的にも良くないだけでなく、外見的にもそれが表れてきて、体型が崩れたり女性らしさを失うなど、夫から見ても魅力の低下に繋がっていく恐れがあるのです。
妊娠を急かされる
共働きが当たり前の世の中で専業主婦という立場を続けていると、徐々に周囲の人たちから子作りについて急かされる場面が増えてきやすくなります。
理由があって子供がいない場合もありますが、周りから子供についてあれこれと言われることでプレッシャーになるなど、精神的なストレス要因が増えることもあるようです。
子なし専業主婦の空き時間の有意義な過ごし方
効率的に家事をこなすことで空き時間を作りやすいというメリットがせっかくあるのですから、この時間はぜひ有意義に使いたいですよね。それに、充実した時間を過ごしたり何か目標を持って取り組んでいることで、前述した「デメリット」を防ぐことも可能となるのです。
そこで最後に、「自分の時間」の有意義な過ごし方について、例を紹介しておきます。空き時間の使い方に自信のない人や、今まさに暇を持て余している人は、ぜひ参考にしてください。
勉強
最も有意義な時間の使い方の一つとして「勉強」があります。分かりやすい目標があった方がモチベーションも上がるので、一つの指標にもなる上に活用もできる「資格の取得」を目指すのがお勧めです。
主婦をしながらその資格を活かすことができるものものありますし、直接的に収入に繋がらなくても自分の生活や家事に役立つものもたくさんありますので、まずは「自分の好きなこと」をベースに色々と調べてみましょう。健康関連、ペット関連、料理関連など、日常生活に直結するものですと座学時間以外でも意識しながら学んでいくことができるため、取り組みやすいはずです。
読書
インターネットが普及したことで何でも調べられる世の中になってきましたが、たまには本屋に行って自分が興味のある分野の専門書のコーナーを見て気になった本を買って、家でゆっくりと読書に励むというのもお勧めです。知識も増えますし、脳も活性化します。
インターネット上は情報が溢れかえっている分、正しいものも誤っているものも混在していますし散らばっていることも多いですが、専門書などは正しい内容が整理されていて読みやすいため、身を入れて読むならばやはり本が一番良いと思います。
運動
家事も体力がいる仕事ではありますが、やはり家の中にずっといるのでは次第に持久力も低下してきてしまいます。また精神的にも、家の中で過ごし続けるのは健康とは言えません。そのため、リフレッシュかつ体力維持の面から、適度な運動を行うようにすると良いでしょう。美容にも効果的ですし、気分転換にもなりますので、ぜひ日々の生活の中に取り入れてみてください。
まとめ
子供のいない専業主婦を中心に、その実態やメリット・デメリット、有意義な時間の過ごし方まで紹介してきました。参考になりましたでしょうか。
なかなか理解されない場面もありますが、専業主婦には専業主婦ならではの大変さがあり、それは決して「楽」などという言葉で安易に評価できるものではありません。しかし、非効率な過ごし方をしていたり怠けてしまっては、「やはり、そんなものか」というマイナスの烙印を押されてしまいます。そうならないためにも、やるべきことはしっかりとこなした上で自分の時間も有意義に使い、自分としても他者から見ても充実した生活を送っていけるよう心がけていきましょう!