完璧主義者の特徴とは?デメリットや克服する方法を紹介!

職人

妥協はせず、自分の考えを完璧にこなすスタンスの「完璧主義者」。一見は素晴らしいと思えますが、この潔癖性はデメリットもとても大きいものです。

自分に対する過度なストイックさは身体の不調や心の病を引き起こす原因にもなりますし、他人への厳しさは人間関係を壊す一要因にもなりかねません。完璧主義な人は得てして他人にも完璧さを求めるため、周りをも巻き込んでしまうのです。

ここでは、完璧主義の人たちの特徴と問題点、その対処法について紹介します。

完璧主義者の特徴と原因

ビシッとした男性

まずは、完璧主義者にはどういった特徴があるのか見ていきましょう。
この特徴の中に様々な原因も散りばめられているため、特徴=原因という見方もできます。

責任感が強いが自意識も過剰

とても責任感が強いというのが、完璧主義者の大きな特徴の一つです。
この責任感の強さだけなら素晴らしいことなのですが、さらに自意識過剰な面も組み合わさっているため、他人からの期待やプレッシャーを必要以上に感じることで、妥協ができなくなってしまうのです。

仕事の優先度を考えるのが苦手

完璧主義な人は、仕事の優先順位を付けられません。

社会人として働く中で、たった一つの作業だけを延々とやれば良いという状況の人はあまりいないと思います。様々な業務を任され、それを効率良くこなしていくためには、どの順番で、どのくらいの精密さで、いつまでに対応していくのかを考えながら取り組んでいく必要があります。

しかし完璧主義の人は、すべてを一律に、少しでも早く終わらせようとしてしまう傾向があり、これが残業に繋がったり休憩を取れなかったりという非効率な状態を引き起こすことになります。

本当に今日中にやらなければならないものなのか、その作業は本当にそこまで神経質になる必要があることなのかなどを考えた上で、明日やれば良いことを無理に今日中にやるのではなく、メリハリをつけながら効率的に終わらせていくことが大切なのです。

自己陶酔する

完璧にこなした時、自分はすごい、自分はえらいと自己陶酔する傾向にあるのも完璧主義者の特徴です。完璧にこなしてこそ自分を認められるため、逆に言えば完璧にしなければ自分を否定することになってしまいます。このような性質から、妥協というものを受け入れることができないのです。

理想が高い

完璧主義の人はその潔癖さとストイックさから、当然のごとく理想も高いです。

歴史上の偉人、有名な天才たちに憧れ、そういった人物を自分の目標として掲げて頑張ろうとします。向上心をもって生きていくことはとても大切ですし素晴らしいことではありますが、いきなり極めて高いところを目指してしまうと心も体も追いつかず、体調を崩す原因にもなります。

考え方が両極端

完璧とは、つまり100点満点ということです。完璧主義者の人は、常にここを意識するという傾向にあります。
完璧でなければ意味がないという極端な考え方により、少しでも何か減点されるような要素があれば「それでは駄目だ」という発想になるため、常に気を張って力を抜けない状態に陥ります。よって、マイペースに取り組むよりも疲労感がかなり強くなります。

そして、順調に完璧に進めていた作業に何かミスが発生しようものなら、その完璧さが失われたことにより急激にモチベーションが低下してしまいます。これにより、その作業を途中で投げ出してしまうことにも繋がってしまうのです。完璧にこなすというスタンスから一見は器用に思える完璧主義者ですが、実は不器用だとも言えますね。

周りの人たちにも完璧さを追求する

完璧主義者の人は、他人にも完璧さを求めます。仕事であれば部下や同僚、プライベートであれば家族やパートナーに対しても完璧性を追求してしまうのです。また、程度の差はあれど、基本的に自分の考えや方法が正しいと信じているため、その「完璧さ」というものは「自分にとっての完璧さ」ということになります。このような自己中心的な思考も相まって、人間関係を壊す結果を招いてしまうことも少なくありません。

力の配分ができない

責任感の強さも相まって、何事に対しても常に全力を注ぐのが完璧主義者です。つまり、力の配分を上手くできないのが特徴の一つと言えるでしょう。
「効率の良さ」とは、「完璧さ」ではありません。力を抜くところは抜く、入れるべきところは入れるというコントロールを上手く行いながら着実に作業を進めていくことが、効率の良さです。完璧さを追求し、一つの作業にいつまでも時間をかけていたり、力を入れ過ぎて周りとの調和を乱したりしては元も子もありません。

完璧主義によるマイナス面

注意する男性

完璧を追い求めるがゆえに発生するマイナス面があります。皮肉なことに、自分の「完璧さ」に固執することによって、客観的には完璧性に欠けるという矛盾が生じているのです。

それらのマイナス面について、紹介していきましょう。

チャンスを失い、成功率を下げる

常に完璧を求めて失敗を受け入れらないという主義の人は、人一倍臆病であるとも言えます。完璧にできなかった時のことを恐れるあまり、腰が重くなったり、大事な決断をする時に答えを出せなくなったりなど、行動力と決断力が低くなってしまうわけです。
そうすると、当然ながらチャンスを失うことも多くなりますし、その分、成功する可能性も低くなってしまうことになります。失敗を恐れずに様々なことにチャレンジしていける人ほど、成功する可能性も高くなるのです。

途中放棄をする

先述したように、完璧主義の人は「完璧でなければ意味がない」という極端の思考を持っているため、それが達成されないようなら放棄してしまうということが起こります。

何とも無責任にも聞こえる話ですが、本人にとっては「完璧に行う」ことが責任だと思っているため、完璧に行えなかった場合は「責任を果たせなかった」ということになり、その時点で放棄しても結果は同じだという極端な思考回路なのです。つまり、過剰で独りよがりとも言える責任感の強さに、無責任さの要素も入っているという矛盾した状態であるわけです。

自己中心的になる

自分の正義とも感じられる「完璧さ」を固く信じ、それを周りの人たちにも押しつけるということは、結局のところ自己中心的な行為ということになってしまいます。

相手が同意している、賛同していることなら良いのですが、何か別の考えが出された時、別の方法で進められた時に受け入れることができず、頑なに自分の考えを押し通そうとしてしまうことによって、人間関係のトラブルにも繋がり、最終的には周りから避けられるような事態が起きてしまう可能性も高くなります。

要領が悪くなる

前項で「仕事の優先度を考えるのが苦手」という特徴を紹介しましたが、つまり一言で言うと「要領の悪さ」ということになります。
何事も優先度を変えずに同じレベルでこなそうというスタンスは、結果として要領の悪さを招きます。また、上手く力の配分ができないということがそこに拍車をかけるため、色々なことに無駄な時間がかかることにもなります。

そして、よくあるのは「他の人に仕事を任せられない」ということです。「完璧にこなすためには、自分でやった方が楽」という発想から、他の人に仕事を振れなくなるパターンもとても多いです。その結果、自分の作業が溜まっていき、一つ一つの物事がなかなか進まず、残業が増えたり納期に間に合わないといった事態を招くことになってしまうのです。

完璧主義の克服方法

休憩する女性

それでは、このような完璧主義はどのように改善していけば良いのでしょうか。

丁寧さや慎重さ、責任感の強さなどは立派で良いことなのですが、度を超えてしまうことで自分が苦しくなってしまっては本末転倒です。早めに克服することをおすすめしますので、その方法について説明していきましょう。

結果を第一に考える

作業に取り掛かる時、その目的は何なのかということを考えましょう。まず第一に優先すべきなのは「結果」となります。その結果を出すまでの経緯というものは、実際のところ重要なことではありません。もちろん、どうして結果を出せたのかというところを今後の参考のために提示したり分析したりすることはありますが、少なくともその経緯に対して完璧さは大きな要素とはなりません。結果がしっかりと出れば良いわけです。

むしろ、ペース配分に気をつけながら、ほど良く力を抜くことが大切です。完璧な経緯を辿らなくても、充分な結果を出すことはいくらでも可能です。逆に、完璧な手順にこだわりすぎてしまっては、結果を出すまでに余計な問題にぶつかってしまうリスクの方が高いので、そのあたりに留意して取り組んでいきましょう。

「必要な結果」を考える

その作業に求められている精度は、どの程度のものなのでしょうか。本当に「完璧な結果」が必要なのでしょうか。そもそもとして、その「求められている完成度」というものを今一度考えてみてください。

例えば、「ちょっと参考までに知りたいから、大体のことが分かれば良いので軽くデータを算出しておいて」という指示があったとします。この時に必要なのは「参考レベルの大まかなデータ」ということになります。しかし完璧主義な人はその精度にこだわり、「綿密で極めて具体性のあるデータ」を算出しようとする傾向があります。

相手の期待以上の結果を出すという意識は、とても素晴らしいものです。しかし、それが単なる「自己満足」になってしまっては意味がありません。ましてや、その自己満足が他の作業に支障をきたしてしまっては元も子もありません。一つ一つの仕事に対して、どのレベルの結果が必要なのかを見極め、必要な時に必要な力を出せるよう心がけてください。

優先順位をつける

一つ一つの物事に、優先順位をつけるようにしましょう。どの順番に終わらせ、それぞれにどの程度の力が必要なのかを考えて割り振り、取り組んでいくようにしてください。

時間にも人の力にも限界というものがあります。全部が全部完璧であることなど不可能です。それができると思っているのなら、驕り高ぶりも甚だしいということになります。

優先順位をつけながら仕事をこなしていくことは、業務管理としてとても大切なポイントです。すべてを完璧にこなそうともがくよりも、配分を考えながら無駄を省いて効率的にやっていく方が、結果として完璧に近くなるということを覚えておきましょう。

時間による区切りをつける

完璧主義の人にありがちなのは、一つの作業に没頭して時間をかけ過ぎてしまい、他のことが後ろ倒しになることです。そして、一息つく暇もなく動き続け、過度な疲労が溜まってしまうことにもなります。これでは結果的に、生産性が悪いということになるでしょう。

そこで、一つ一つの作業に時間の区切りをつけ、設定した時間になったら次の作業に移るという方法を取ってみましょう。今まですべてを完璧にこなそうとしていた人は、設定した時間内に終わらせることができないということが多々起きると考えられます。つまりそれは、それだけ何か無駄なことがあると自覚する良いきっかけにもなるのです。どのようにしたら時間内に終わらせることができるのかを考えながら、仕事をしていってください。

また、この時間配分には必ず休憩時間も組み込んでください。
人の集中力には限りがあります。仕事をやり続けるということが立派なわけではありません。大切なのはメリハリです。きちんと休憩を取らなければ能率が低下し、生産性の悪化に繋がります。また、心の病の発症も招くことになってしまいますので、適度に休憩を取ることは仕事の一環であるということを忘れないようしましょう。

失敗を恐れない

小さな失敗を一切することなく仕事をこなせる人など、この世にいません。故意的なものはもちろん、あまりにも大きい影響が出るような重大なミスというものは避けるべきですが、そういった事柄に関しては個人だけではなく会社全体として対応策をあらかじめ打っているものです。つまり、そのルールに則り作業することで基本的に回避することができます。

しかし、個人的な小さなミスというものはどうしても発生してしまうものです。よって、「ミスは起こり得るもの」として許容すること、そしてその範囲を決めて考慮することがポイントとなります。大切なのは「ミスを許さない」ことではなく「ミスを想定して対応する」ことです。それを覚えておくことで、自分にも他人にも寛容になれることはもちろん、柔軟性を持つことにもなるのです。

過剰な期待をしない

「完璧でないといけない」という考えそのものを解放するようにしましょう。100%、No.1ということを追い求めても、過度な重圧や責任に追われ、自分を苦しめてしまうだけです。

今のあなたが、できる範囲で誠意をもって取り組むことが重要なのです。持てる力以上のものを出そうとしたり結果を求めたりするのはやめましょう。行き過ぎた努力や期待は、最低限の結果すら出せないことを招く恐れもありますので、自分の実力を知った上で実現可能な目標を設定してください。

まとめ

完璧主義な人は、完璧を求めるがゆえに完璧が遠ざかってしまうということを知らないことがほとんどです。そもそも「完璧」とは何でしょうか。現実的な「完璧」とは、結果がしっかりと出せることですよね。精度ばかりを追い求めて時間オーバーとなってしまったり、人間関係が悪くなってしまっては、完成したもの自体が一見完璧でも、結果として環境は完璧から離れてしまうことになります。大事なのはピンポイントの品質だけではなく総合的なバランスと、求められているものをクリアしているかどうかです。それを忘れないようにしてください。

幼少期に親から厳しく指導された人ほど完璧主義になりやすい傾向にあり、自分への自信のなさの裏返しが完璧主義であるとも言えます。しかし、本当は何が重要なのかということを改めて見直し、効率良く物事を進めていくことができるよう、心がけてくださいね!