あなたのそばにいる人は、優しい人ですか?あなたの周りに、優しい人はいますか?
「本当の優しさ」というものを改めて考えてみると、とても難しいと思います。人は「相手のために」と行動しているように見えても、実は見返りを求めていたり、何か下心を持っている場合もあります。よって、困っている人を助けている人がいたからといって、絶対に「優しい」とは限らないのです。
損得勘定なく、ただただ相手のために接することができる人。見返りはもちろん、お礼さえ言われなかったとしても、色々な人たちの幸せを願って接していくことができる人。そういう無償の優しさを持っている人は、本当にあなたの周りにいますか?
すべての優しさを兼ね備えているような完璧な人なんて、実際はいないのかもしれません。人間である以上、人は皆、何かしら欲望は持っているものですし感情だってあります。それでも、本当の優しさを一つでも多く持っている人はきっと周りから「あの人は、こういうところが優しい」という印象を持たれているはず。
ここではその「本当の優しさ」について考えていき、それらの特徴を一つ一つ紹介していきましょう。
本当の優しさとは?
裏のない状態で、相手のためを思って接することが、本当の優しさです。それは「常に笑顔、やわらかい言葉、怒ることがない」ということではありません。時には厳しく叱るような場面もあります。
親が子供のために、教師が生徒のために、恋人や夫婦がお互いのために、厳しく接することだってあります。しかしそれらも相手のことを思ってやっていることであれば、必要な厳しさであり、それもまた優しさの一つなのです。
見返りを求めないこと
よく、相手のために様々なことをした人が「私があれだけしてあげたのに、あの人は感謝の一つもしない」「あんなに優しくしてあげたのに、あの人は私に全然優しくしてくれない」という愚痴をこぼしていることがあります。それって、おかしくありませんか?
自分が感謝をしてもらうため、次は自分が優しくしてもらうために相手に優しさを注いだのなら、それは真の優しさとは到底言えません。それどころか、場合によっては「恩の押し売り」にもなりかねません。
「こんなことをしてあげたのだから、こうしてくれるはず」という見返りや期待のようなものを相手に求めている時点で、驕りや下心が多分に含まれているということになります。本当に優しい人は、そういった打算的な言動はしないのです。
自分にも優しいこと
他人のために、自分にとって必要な時間を割いたり、やりたいことをやめたりなどの「自己犠牲」的な精神で周りの人たちを助けようとする人がいます。しかし、それも本当の優しさとは言えません。
「自分を愛することができなければ、他人を真に愛することはできない」という話がありますが、これと同様に「自分に優しくできない人は、他人に真に優しくすることはできない」と言えるでしょう。
なぜなら、自分への優しい気持ちに満たされており、そこから溢れ出てくる優しさを他人にも分けることで、ゆとりがあり裏表のない純粋な心で接することができるからです。
他人の痛みが分かること
様々な苦難を経験し、試練を乗り越えてきたような人は、それだけ「痛みの数を知っている」と言えます。こういう人たちはその経験から、他人が同じような痛みを受けている時に理解することができます。
そして、それまでの様々な体験をただの「苦労」で終わらせずに、「チャンス」に変えて自身を成長させてきたような人は、悲観的にならずに「強さ」を手に入れてきています。その強さこそ「優しさ」であり、他人の心を察して適切なサポートをすることができたり、同じ経験をしたからこその痛みの理解と助言をすることができたりするわけです。
優しい人の特徴
それでは、本当の優しさを持つ人にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
これらの特徴をすべて持っていなければ「優しくない」ということではありません。逆に、どれか一つでも当てはまれば、「優しい面を持っている」ということになります。繰り返しになりますが、「完璧な人間」などこの世にはいません。
人は皆、長所があり短所もあるから、お互いに助け合って生きており、成長していけるのです。そして、成長していくならやっぱり「心の広い人」になっていけたら理想ですよね。その上で欠かせないのは、本当の優しさなのです。
きちんと主張できる
「自分」というものをしっかりと持ち、自分の意見をきちんと言えること。これは、我が強いということでなく、「相手のことを考えた上で、はっきりと物事に対して意見を言える」ということです。
八方美人で、誰にでも良い顔をし、何事も怒らないように穏便に済ませようという考えは、優しさとは言えません。相手にとって大事だと思ったことであれば、厳しいことでもしっかりと伝えることができる。それが、優しさなのです。
受容する心を持つ
前項でも少し触れた、「自分がこうしているのに、相手はこうしない」といった不満を持ってしまう場合、そこには優しさが足りないということになります。見返りを求めない、期待をしない、そういった無償の優しさこそが本物なのです。
人は千差万別です。自分と他人は考え方も感性も違います。よって、自分が何かをした時に相手も同じことをするとは限りません。そういった違いを受け入れ、認めることができるかどうか。ここが、本当の優しさかどうかの分かれ目になるでしょう。
配慮と思慮の心を持つ
優しさとは、自分本位のものではありません。相手にとって適度であり適切であること。そして、それを意識した配慮があること。それが本当の優しさです。
つまり、相手にとって過度であったり余計なことであれば、それはただのお節介ということになります。
自分の視点だけではなく、相手の立場に立った上で何を必要としているのかをきちんと考えることができ、それに合ったものを提供できてこそ、優しさとなるのです。
心にゆとりがある
細かいことをいちいち気にしてイライラしているような心に余裕のない人は、他人に優しさを分け与えることはできません。また、一つ一つの失敗をくどくどと責めるような状態は、優しさとはほど遠いでしょう。
本当の優しさを持つためには、まず、自分の心にゆとりがあることがとても重要なポイントとなります。
動物や物なども大切にできる
一見、人にはとても優しく接している人がいたとして、ある時にその人が犬や猫に何か暴言を吐いていたり、物を道端に捨てたり、道具を雑に扱っている場面を見かけとしたら、どのような印象を受けるでしょうか。
優しさとは、何か特定のものだけに向けられるものではありません。本当に優しい人は、人だけではなく動物にも物にも自然にも平等に優しいのです。
逆に、人にだけ優しいようなタイプの人がいたとしたら、それは何か裏がある可能性があります。職場だったら、上司に気に入られようとしているなど、計算があるのかもしれません。男女の輪の中だったら、異性に好かれようとしているのかもしれません。
差別なく、どんなものにも常に丁寧に接することができる人こそ、優しい人と言えるでしょう。
包容力がある
親身になって話を聴くことができ、小さな失敗を責めることもなく、やることや目指すことを応援してくれるような包容力のある人は、優しさを持っていると言えるでしょう。
また、過去に大きな失態をしてしまったり、生まれつき人と違うハンディキャップを持っていたりなど、様々な事情を抱えている人たちに対して差別意識や過剰な先入観を持つことなく、広い心で受け入れることができなければ、やはり真に優しい人ということにはなりません。フラットな精神で誰にでも接することができるかどうかが、とても大切なのです。
「優しさ」を持つために
強がりがあったとしても、心から「自分は優しい人でなくたっていい」と思える人なんて、いないのではないでしょうか。本当は誰もがどこかで「もっと優しくなりたい」「心を広くしたい」という気持ちを持っているはずです。しかし、これまで説明してきたように、本当の優しさとはなかなか難しいものですよね。でも、大事なのはまずは「意識」です。意識を持たなければ、何も始まりません。
ポイントとなるのは前項で紹介した数々の特徴となりますので、これらを改めて心がけていけるよう、まとめてみましょう。
優先度の高いものから順に記載していますので、日々の意識の参考にしてみてくださいね!
【対等性と奉仕性】優しさとは「~してあげる」ものではない
優しさは、押しつけるものでもなければ、上から目線で与えるものでもありません。相手と自分は対等、あるいは、時に奉仕の心で行うものです。
相手のために善意で何かをした際に「してやった」「やってやった」という上から目線の心を持ってはいけません。対等の目線で「した」、あるいは一歩引いて「させていただいた」という精神を心がけましょう。
その時、その場で相手のために何か行動したというのは、決して偶然ではありません。その経験によってこそ感じることのできるものなどがありますので、そこに感謝の心をを持つようにしましょう。
【無償性】相手に期待をしない・見返りを求めない
何度も繰り返しお伝えしているように、相手に期待をしたり、何か見返りを求めて行う言動を「優しさ」とは言いません。損得勘定をせず、ただただ相手のことを思いやって行うこと。それがとても重要なポイントなのです。
偽善的な優しさは、残念ながら表面にも顔を出すものなので他人に察せられてしまうものです。それ以前に、そんなことをし続けていても、自分も気持ち良くはないでしょう。
あなたが純粋な心で優しさを振りまいていれば、自然と幸せな人が増えていきます。そしてきっと、その中には「私もそうなりたい」と思って周りに優しくなる人もいるでしょう。そうやって、プラスのエネルギーが広まっていくのです。これこそ、素敵な見返りだと思いませんか?
【平等性】差別をしない・贔屓をしない
過剰な先入観や偏見を持ったりせず、どんな人にでも平等に接することを心がけましょう。差別の意識は、必ずネガティブな感情や状況を生み出すことに繋がります。
もちろん、誰しも「苦手なタイプ」というものはあります。どんなに意識をしていても、どうしても完全にフラットな心で対応しきれない場面などもあるでしょう。でも、ここでお伝えしているのは「必ず相手を好きになれ」といったことではありません。平等に対応することを心がけるということです。
また逆に、自分が気に入ったタイプの人には特に積極的に優しくしたいという気持ちが生まれる場面もあるかもしれません。しかし、それも平等とは相反するものです。恋人や夫婦間など密接な関係において、より相手に大きく深い優しさを注いでいきたいという気持ちについてはまた少し別の話ではありますが、少なくとも周りの人たちに対して差別のないよう留意しておいてください。
社会経験が少ないなど、最初のうちはなかなか上手くフラットな意識を持ちきれなかったとしても、その心がけを持っていれば必ずあなたの心は広がっていきます。誰しも、最初からソツなくこなせるわけではありません。焦らず慌てず、穏やかな精神で、日々を過ごしていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事を読まれたことで、本当の「優しさ」について改めて素晴らしさと難しさの両方を感じられたことと思います。
理想を言えば、優しさとは意図的に行うものではなく自然と溢れ出てしまうものです。そういう意味では、「意識している」時点ではまだ真の優しさには辿りついていないのかもしれません。
しかし、習慣や精神とは不思議であり素敵なもので、最初のうちは一生懸命に意識してやっていたものが、いつの日か意図せず自然に行えるようになるのです。あれこれ考えを巡らせなくても、身体や口が勝手に動くようになっていくものなのです。その時にはきっと、あなたは真の「優しい人」になっているはずですよ!