ビジネスシーンにおいて、最も書く機会が多い文書と言われるのが”報告書”です。報告書には、上司に指示された仕事を報告によって締めるという大変重要な役割があります。
だからこそ、できるビジネスパーソンを目指すのであれば、”報告書”の書き方は、必須であり、また成功へのキーポイントであると言っても過言ではないでしょう。
あなたが書いた”報告書”を見れば、あなたの性格や思考までもが、鮮明に見えてくるのです。
しかし、怖がる必要はありません、”報告書”を作成するにおいて、ポイントさえ押さえれば、上司も思わず唸るような、報告書があなたも書けるようになるのです。
今回は、ダメ出しされる報告書の傾向、人に読んでもらう”報告書”の作成のポイント、そして様々なシーンにおける報告書の作成について見ていきたいと思います。
報告書とは?
“報告書”とは、簡単に言えば上司やその他の関係者にあてて、ある事柄についての経緯や結果などの情報を提供するための報告文書です。
物事をわかりやすく、そして的確に読み手に文書にして報告するスキルが必要となってきます。
あなたが作成する報告書は、上司にとってただ単に業務に活かすだけでなく、あなたの仕事ぶりを把握したり、評価する材料となるのです。
ダメ出しを受ける報告書とは?
あなたは、せっかく作成した”報告書”を上司からダメ出しされたことはありませんか?じゃあ一体何かいけなかったのだと疑問に思われる方も多いことでしょう。
しかし、ダメ出しを受ける”報告書”には、ある傾向があるのです。
◉だらだら長いだけの報告書
報告書は、ただ長ければいいというものではありません。何枚にも及ぶ報告書でも、読み手にとってわかりにくい報告書であれば、結局読み手は、書き手に質問や確認をしないといけなくなり、無駄な仕事を増やし、時間の無駄にもなってしまいます。
◉事実と自分の意見の境界線
報告書に書く事実と自分の意見が整理して書けていなければ、読み手にとって、どこまでが事実の報告でどこからが書き手の意見なのかわからず、混乱をまねきます。
◉曖昧な表現で、ポイントが分かりづらい
曖昧で抽象的な表現で報告書を書くと、具体性に欠け、何が言いたいのか分からず、読み手に嫌がられます。
◉作成に時間がかかりすぎ
ビジネスシーンにおいて、情報の鮮度は大変重要です。報告書の作成にてまどり時間をかけすぎていませんか?
報告書作成に必要なポイント
報告書を作成するよう指示され、何から書いていいのか、どのように書けばいいのかわからず、憂鬱な気分になる人も多い事でしょう。
まず報告書作成に必要なポイントをチェックしてから、始めると大変効率よく仕事がはかどります。
報告書の種類を把握し、目的にふさわしい報告書の作成を心がける
報告書作成においてまず考えなければならないことは、あなたは今どのような報告書を作成しようとしているかを把握することです。
なぜなら、報告書の種類により要点をはずしてしまうと、報告書としての価値が無くなってしまうからです。
- 調査報告書:正確な情報
- 日報/月報:作成の迅速さ
- 提案書:説得力
- 始末書:謝罪の気持ち
それぞれの報告書の目的に沿った報告書作りを念頭に置きましょう。
報告書を書く時の必要事項
書式が決まっている報告書を書く場合は、それほど気をつけなくても大丈夫ですが、書式が決まっていない報告書を作る時ほど、何を書くべきか、書きもれはないかと心配になるものです。
このような時は、全ての必要事項が書き漏れなく記入されているか、5W1Hを確認するのがよい方法です。
5W1H
- What:何を/対象
- When:いつ/時期
- Where:どこで/場所
- Who:だれが/人物
- Why:なぜ/理由
- How to:どのように/手段
上記の5W1Hに、データの分析の際には、Which:どちらが/比較・How many:どれだけ/数量 や、コスト面に重点を置く場合は、How much:いくらで/金額、明確にする対象がある場合は、Whom:誰に対して を付け加える事で、より目的に沿った報告書になります。
報告書の読み手を考慮する
報告書の作成において、考慮するべきことは、読み手が一体誰かということです。
専門用語を多用し、自己満足に終わる報告書は、読み手に不親切で、読む気さえ失ってしまうでしょう。
報告書の種類・読み手・部署・性別・年齢・知識の程度などを考慮すれば、より読み手に受け入れてもらえる報告書が出来上がるのです。
会社のトップ・役員へ提出する報告書
重要な情報・トラブル・商談などの報告を立場の上の方々にする時、まずは所見を必ずつけるという事と、出来るだけ早く作成して提出することを心がけねばなりません。
重要なポジションにいる方々は、多忙でもあるため、できるだけ短く、難しい専門用語を控え、分かりやすく書くのがベストです。
また、重要な情報は鮮度が大切なので、速やかに報告書を提出するようにして下さい。
所見は必ずつけて、上の方々に判断の助言をするようにしましょう。自分の仕事ぶりをアピールできるよい機会ですので、よく考えて書いて下さい。
部署内の上司や先輩に提出する報告書
部署内で提出する報告書には、出張・研修・業務内容・商談・トラブルなどの種類があります。
所見が必要かどうかは、指示をした人に聞きましょう。報告書は翌日か、遅くとも数日以内に提出するようにして下さい。
簡単に書くよう指示されれば、要旨のみを書けばいいですし、特に指示が無い場合は、できるだけ詳細に書いたほうがいいでしょう。報告書を速やかに作成するためには、形式や内容について、前例を参考にするのもよい方法です。
詳細な報告書を作成する時は、要旨+詳細内容の構成で、書き進めましょう。
お客様に提出する報告書
お客様(会社)に提出する報告書としては、調査報告やトラブル報告などがあげられます。文書形式は基本、要約を1枚、詳細内容を別紙として作成します。
この形式であれば、要約は提出先の会社の上司などへ、詳細内容は現場の担当者が必要とするので喜ばれます。
特に注意すべき事柄は、内容のチェックです。事実関係に間違いはないか・誤字・脱字、そしてお客様に対して失礼がないか、細心の注意が必要となります。
自己のアピール
日本人の多くが苦手とする自己アピールですが、報告書の種類によって自己アピールが必要な時もあります。
基本の報告書にプラスアルファとして、特記事項や備考欄に自分の考えや、具体的な提案を加え、あなたにしか書けないオリジナリティーのある報告書を作成できれば、あなたの印象もアップするはずです。
データーの確認とその他の注意
報告書の命とも言える、データの誤りは、特に注意が必要です。その他にも、報告書に誤字・脱字はないか、チェックも欠かせません。
報告書は、客観的な視点から作成しなければいけません。自分勝手な偏見を差し込んだり、事実やデーターの結果を曲げて報告することも避けましょう。
報告書の構成と書き方
報告書作成には、報告書のテンプレートを使うと大変便利ですが、無い場合もあります。その時は、テンプレートを応用しながら、オリジナルの報告書を作成していきます。
日付・宛名・差出人・本文中に使われる決まり文句などは、頭を悩ます必要はありませんが、オリジナルの報告書を作成する場合、構成だけはしっかりと把握しておかねばなりません。
本文
報告書の本文の構成は、上から標題・内容要旨・詳細内容から成り立っています。
①標題:報告書の概要が分かるよう、15~20字程度で、日付や具体的な報告内容を標題に入れると読み手にとって理解しやすくなるでしょう。
②内容要旨:ここでは、報告書の内容にあたる主要なポイントを短くまとめ、書き出します。要旨は、重要なことを3つ程度にし、50~100文字程度でおさめます。
簡単に言えば、この箇所を見さえすれば、その報告書の結果・結論が理解できるように書かねばならないということです。
まず最初は結論、何がどうなったのか、次にそうなった理由、最後に次にすることは何かというような、今後の課題や予定を書けば、上司にとって大変わかりやすい報告書となります。
この時、注意すべきことは、内容にしっかりと数字や固有名詞を入れておくことです。
③詳細内容:詳細内容は、内容要旨をより詳しく説明する箇所です。詳細内容も、報告書の構成と同じく3構造から成り立っています。
◉見出し:小見出しを要約したもので、10~15字ぐらいでまとめる
◉小見出し:説明文の要約したもので、15~20字ぐらいでまとめる
◉説明文:小見出しの説明であり、内容に誤認や欠落がないように気をつけましょう
所見
“所見”は、報告書の種類によって、必要な時とそうでない時があります。報告内容によって、どうしても伝えておきたい自分の意見や、一言付け加えておきたい事柄があれば、一文にして書きましょう。
しかしながら、自分の推測や主観は、入れるべきではありません。報告書はあくまで”事実”を報告するものですから、自分の意見は入れても、希望的観測は含まないようにして下さい。
添付資料
添付資料がある場合は、”添付資料”の項目をたて、資料名称と共に、作成日時・総ページ数を書きます。
また、添付資料にはベージ数を明記し、別紙1などのように表示しておくとよりわかりやすくなります。
報告書の文章表現
報告書は内容だけでなく、見ためも大切です。だらだらとした文章ではなく、スッキリとした誤解のない文章を書くことを心がけなければなりません。
一文の文字量
一文の文字量は、50~80文字程度に抑えましょう。
修飾語の位置
修飾語を使う時は、修飾される言葉に近づけて使用して下さい。離して使うと文章の意図が誤解されることがあります。
例:×迅速な営業部による商品の補充ーーーーー>◯営業部による商品の迅速な補充
体言止め
報告書における、箇条書きの箇所では、体言止めを使用すると効果的です。
例:商品管理を徹底するーーーー>商品管理の徹底(体言止め)
“など”の注意点
文章表現において、“など”は大変便利な言葉ですが、報告書においては、具体性に欠け、また曖昧さを招く恐れがあるので使わず、具体的な内容を述べるようにしましょう。
“ですます調”と”である調”の使い分け
現代の口語文の書き方である、”ですます調”と”である調”を、1つの報告書の中で混合して使用しないようにしましょう。文章に統一感やリズム感がなくなり、文章全体がうまく流れていないように感じるからです。
報告書を書き終えた後には、必ずチェックが必要です。
まとめ
多くの人にとって憂鬱な報告書作成ですが、報告書の目的を考え、所々のポイントを掴み、内容を整理してから書いていくとスムーズにできるかもしれません。
報告書は、下に行くほど説明が詳細になり書くことが増えます。もし報告書の最初でどのように書いて行くか迷ってしまったら、まず詳細内容から書き始め、徐々に上位の項目を書いていくのも1つの方法です。