劣等感とは?意味や感じやすい人の特徴、克服方法を紹介!

悩む顔

自分が他人よりも劣っていると感じる「劣等感」。直接的または間接的に周りから自分が低い評価をされ、それを受け入れることによって、劣等感が生まれます。

誰しも得意・不得意なものがそれぞれあり、活躍できる時とそうでない時は必ずあるでしょう。上手くいかない時は誰しも、少なからず劣等感を覚えることはあると思います。つまり、誰にでもある感情の一つであると言えます。

ところが、人一倍、劣等感の強い人もいます。いつもいつも劣等感を強く頻繁に感じてしまう人は、日々とても苦しい思いをしながら生活することになってしまいます。
そこで今回は、劣等感が強い人の特徴と、その克服法を紹介していきます。

劣等感とは

悲しみ

まず、劣等感には「攻撃性」「自慢話」「不幸話」という大きく3つの性質があることをご存知でしょうか。

強い劣等感を持っている人は、日常の言動からあちこちにその劣等感が表れています。これは劣等感に限ったものではなく、その人の性質は必ず言動に出るものですよね。相手と話していると、その話し方や内容から「なるほど、この人はこういう性格なのか」という印象を受けることになります。

しかし人は普段、なかなか自分を客観的に見ることはできません。特に何気ない会話や日常的な言動は、いちいち客観視していたら自然に過ごせなくなってしまいます。つまり、自分の言葉の中からどういったものが見え隠れしているかを自ら気づくことは難しいのです。

これは劣等感も同様で、自分では気づかずとも、その劣等感の強さというものは必ず相手には伝わっています。すると相手はそれを素直に受け取り、その人に対しての評価が低くなります。これにより、劣等感はさらに強まってしまうことになるのです。まさに、負のスパイラルとも言えるでしょう。

攻撃性

他人と比較した際、自分が低く評価されていて他人は高い評価を受けていると感じると、その相手に対して嫉妬心を強く抱いてしまう場合があります。すると、その人に対して批判的になり、攻撃的な態度になってしまうというケースに繋がります。これを「攻撃性の劣等感」と言います。

よくあるパターンとしては、社会的に成功を収めた人が急転落して苦しい状況になっているのを見聞きした時に「面白い」「笑える」と馬鹿にしながら“ざまあみろ”という感情を抱いたり、経緯や根拠が不透明なのに裕福な人を見た時に、対象が女性であれば「枕営業をしている」や、男性であれば「何か犯罪的な悪さをしている」といった具合に、それこそ根拠のない憶測で話したりするものがあります。こういった言動が目立つ人は、「攻撃性の劣等感」を持っている可能性があります。

軽度の攻撃的感情であればその時のテンションなどによって誰しも抱くことはあるかもしれませんが、この攻撃性の劣等感を強く持っている人の場合、自分が不当な低評価をされているという思いから、周りの人や世間に対して恨みが募り、犯罪の起因となってしまうこともあるようです。

自慢話

自分が持つ劣等感を隠したい時に真逆に自慢話を繰り広げるという言動パターンがあります。これを「優越コンプレックス」と言います。

実際の仕事でなかなか高評価をされないために、高学歴であることを自らアピールしたり、自分の度胸や勇気の無さを隠すために、あえて強い言葉で武勇伝を語ったり粋がって昔のヤンチャ話を自慢するような人は、劣等感を強く持っていることの裏返しであると言えるわけです。

本物の実力があって確かな自信を持っている人は、わざわざ自らアピールなどしません。人でも犬でも、やたらと吠える者ほど本当は弱さやコンプレックスを持っているのです。

不幸話

頻繁に自分の不幸話をしてアピールするという言動は、劣等感を直接的に相手に伝えようとしているということになります。このようにして自分の劣等感を露呈させることによって、相手からの慰めを受けようとしたり、「それでも私は平気なんだ」と相手および自分自身に思わせようとしているのです。

それが軽く終われる程度の話ならまだしも、何度も繰り返されたり頻繁に色々な不幸話をされるようだと、相手は不快感を覚えることになります。

人は「ミラーニューロン」という神経細胞を持っているため、他人の話や情報を見聞きした際、まるで自分の身に起きたことであるかのような感覚になるというメカニズムがあります。そのため、他人の不幸話を聞くと、自分が不幸であるような感覚になってしまうことがあるので、不愉快な感情が生まれてしまうのです。

劣等感が強い人の特徴

悲しみ②

それでは、「強い劣等感を持つタイプ」の特徴を見ていきましょう。
劣等感の強さをきちんと自覚している人もいれば、本当は慢性的な劣等感を抱えているのに無自覚な人もいます。
これから紹介する数々の特徴を見ていくことで、今まで気づかった人でも自分の劣等感の強さを知ることができるかもしれません。

目標や理想が高すぎる

向上心を持って高い目標や理想を描くことは素晴らしいのですが、それが現実離れしていると、そこになかなか到達できない自分に対して強い劣等感を抱く要因となってしまいます。

本来、目標というものは「現実的に達成可能だが、尽力を必要とする」ものであるべきです。簡単に達成できてしまうようなものはハードルが低すぎて向上に繋がりづらいため、「しっかり努力をすることで実現できる」レベルのものが程良いと言えるでしょう。

しかし、現在の自分に見合っていない、あるいは物理的に不可能なレベルの理想を追い求めてしまうと、その理想と現実のギャップが極めて大きくなるため不満が募るばかりで、結果的に劣等感を抱くだけになってしまいます。
自分を向上をさせるための目標なのに、ただ劣等感を強めるだけのものになってしまっては元も子もありません。

他人への評価が高すぎる

他人に対して高い評価をすると、それに引っ張られて良い点ばかり目についてしまい、マイナスの面が見えなくなることがあります。そうすると劣等感を感じやすくなってしまうのです。

他人の粗探しをする人よりも、優れている点を見つけてしっかりと評価できる人の方が素晴らしいのは間違いありません。しかし、大切なのは「正当な評価」と「バランス」です。完璧な人などこの世にはいません。誰もが、良い点と悪い点を持ち合わせているのが当たり前なのです。よって、良い点ばかり、悪い点ばかりを見るのではなく、どちらも見ることができるのが一番素晴らしいと言えるでしょう。

自己評価が低い

自己評価が高すぎて傲慢になるのはもちろん良くありません。しかし、だからと言って反対に低すぎるのも、良くないのです。

自分の短所や欠点は気になりやすいものですが、長所や素晴らしい能力には意外と目が行きません。実際、自己紹介などで「自分の短所」はスラスラと言えても、長所がなかなか出てこないという経験をした人も少なくないでしょう。特に日本人は「謙遜」を大切にする風習があるため、自分に対して高評価を出すことに抵抗感を持ちやすいとされています。

「ふつつかな嫁ですが…」「つまらない物ですが…」といった挨拶がありますが、そういった礼儀の在り方も、自分を自然に「下げてしまう」要因になっている可能性があるのかもしれません。
しかし、謙遜の姿勢と自己評価は別物。自分の価値を低く考える必要などありません。しっかりと自分の長所を知って自信を持たなければ、劣等感が強くなる原因の一つになってしまいます。

他人を模倣する

自信がなく、強い劣等感を持つ人は、ヘアースタイルやファッション、持ち物などを他人に合わせたり模倣をするということが多いとされています。

他人に憧れ、自分のセンスや考えには自信を持てないため、「この人と同じようにしていれば大丈夫!」という気持ちから、無意識的なものも含めて他人の真似をする傾向にあるのです。

批判的な言動が多い

強い劣等感を持つ人は、周りの人などを批判して低評価に持っていくことで、自分の劣等感を埋めようとする傾向があります。

本来、自信がない場合は「自分を高めて自信を持てるようにする」という前向きな意識を持つべきですが、劣等感が強い人は「他人を下げて、相対的に自分の評価を高めようとする」ことが多いのです。

劣等感の克服方法

才能

意識的に劣等感を強く持ったり、好き好んで自己評価を低くしている人などいないでしょう。そのため、「劣等感を持つな!」と言われたところで、そもそもどのようにして改善していけば良いのか悩んでしまうはずです。

そこで、効果的だと考えられる具体的な克服方法について、紹介していきたいと思います。
いきなり、すべてを実践しなくても構いません。まずは出来そうなものから、意識的に取り組んでいきましょう。

他人からのアドバイスや意見を聞く

自分だけで頭を抱えて考え込んでいても、なかなか解決できないことは多いと思います。特に、こういった心の問題はなおさらでしょう。

そのため、信頼できる先輩や上司、友人、場合によってはカウンセラーなどの専門家に相談してみて、客観的な意見やアドバイスを受けてみてください。

劣等感はそもそも「他人より劣っている」という気持ちによるものですので、そうではないという事実を実際に他人から聞けることで、過剰に低い自己評価や批判的な考え方を覆すことが期待できます。

趣味や勉学に集中する

何もしないような空き時間を下手に作ってしまうと、自分を下げたり責めるようなネガティブな思考や妄想に走ってしまいがちです。

そのため、趣味でも資格取得のための勉強など何でも良いので、集中して没頭できるようなことを探して取り組んでみましょう。

それによって余計なことを考える時間をなくすことができるのはもちろん、何か成果を得ることによって自信を持ったり能力を発見することに繋がるのです。

社会貢献活動をする

社会貢献できそうな専門分野の仕事でも、ボランティア活動でも構いません。何か、人の役に立っていることを直接感じられるようなことにチャレンジしてみましょう。

劣等感の強さの要因として、自分の存在価値の低さが挙げられますが、人の役に立っていることを実感できることで「自分が求められている」感覚を味わえ、自信を持つことに繋げていけるでしょう。

長所や能力を活かす

「長所がない」「何も才能がない」なんて人は絶対にいません。誰もが必ず、何かしらの優れている点を持っているのです。

たくさんでなくても構いません。自分の長所や能力を探してみてください。何か一つでも発見することができたら、それを伸ばして活かしていきましょう。自分の才能に基づいて能力を磨いていけば、それはいずれ他人にも誇れるような素晴らしいスキルとなるはずです。
最初からいきなり、自分が持つ才能の「正解」に辿りつかなくたって良いのです。「これか

な?」と思えることがあれば、どんどん積極的に伸ばす努力をしていきましょう。

自分を愛する

急に「自分を愛しなさい」と言われても困ってしまうと思います。それができたら、そもそも強い劣等感など持っていませんよね。よって、この「自分を愛する」というのは、ここまで紹介してきた克服方法に取り組んでいった後で辿りつく意識だと思います。

自分のことを嫌って認められていない人ほど劣等感も強くなります。自分自身と向き合って、他人と比較したりなどせず純粋に自分を評価してあげることができれば、揺るぎない自信も持てる上に自分への愛情が強まっていくのです。

様々な克服方法にチャレンジしていき、少しずつ自信を持てるようになってきたら、「私は頑張っている」「確かな才能がある」「こういうところが素晴らしい」といった優しい言葉を自分にかけてあげながら、自身をもっと愛していけるように意識していってください。
最終的に自分の劣等感を消すことができるのは、他人ではありません。自分自身なのです。

まとめ

これまで強く抱いてきた劣等感をすぐに消すというのは難しいことです。しかし、「克服したい」というポジティブな意識を持つことが、改善の第一歩となります。そのような前向きな気持ちになれたということは、その時点でもう改善への道を進み出しているのです。まずは、そこを自分で評価してあげましょう。

「自分という人間を変える」必要はありません。大事なのは、「今まで気づかなかった自分を知る」ことです。劣等感は、ある意味で「錯覚」や「妄想」であり、実際にその人自身が人間として劣っているわけではないのです。

誰もが必ず、長所と短所、優れている点と欠点、得意な分野と苦手な分野というものを持っています。マイナス面ばかり意識するのではなく、プラス面にも目が行けるように心がけ、確かな自信を取り戻していきましょう!