「今年の抱負は何ですか?」という質問。あなたはすぐに答えられますか?では「今年の目標は何ですか?」という質問ではいかがでしょう。あれ?同じ質問じゃないの?って思った方!「目標」と「抱負」は似て非なるものです!
テレビを観ていると、芸能人の方が「今年の抱負は?」とレポーターに尋ねられて「結婚することです!」と答えていますが、この答え方だと「今年の目標」答えたことになるんです。今回は「抱負」について迫りますが、まず最初に「目標」との違いをお話しましょう。
目次
「抱負」と「目標」はどう違う?
飲み会で「今年こそ、お嫁にいきます」と抱負のつもりで発表したら、先輩から「それって”目標”じゃないの?」と言われてしまいました。一体なにが間違っていたのでしょうか・・・。
「目に見えるか、見えないか」
「目標」と「抱負」の違いは、「目に見えるか、見えないか」にあります。目標には、「実現・達成をめざす水準」という定義があるように「合格ライン」が設定されたものを言います。一方「抱負」は、目に見えない気持ち、つまりは「意気込み」を表す言葉なのです。
目標は、例えるなら「的」です。的は「射抜く」ことが目標になります。矢が的から外れたら、目標を達成したことになりません。的を例にした場合の「抱負」は、「(的を射抜くために)筋力をアップさせる」となります。
さらに例えると、「今後の抱負は?」と質問に「売上を2倍にします」という答え方では「目標を答えている」ことになります。「(売上げを2倍にしたいので)昼ごはんも食べずに営業活動に専念します!」これが抱負(意気込み)です。
「抱負」を英語で表すと・・・
抱負を英語に置き換えると、「resolution」という言葉になります。この他、「解決」や「決断」「決議」「決意」「覚悟」「決心」といった意味を持つ言葉です。
「抱負」という日本語表現より英語表現の方が直接的ですし、細かいニュアンスが伝わりやすいですね。「目標」はGoal、target、objective、markと英訳されますので、英語圏でも「目標」と「抱負」は異なるものされていることが分かります。
ちなみに新年の抱負は「New Year’s resolution」となります。新年の決断、新年の決心ということですね。今年は英語で今年の抱負を述べてみてはいかがでしょうか。
「抱負」の前に「目標」を立てましょう。
あなたの今年の抱負は何ですか?具体的に決めていませんか?それなら、今から「今年の抱負」を考えていきましょう!
まずは「ハッキリした目標」を立てましょう!
ゴールが決まっていなければ、進むべき方向も定まりません。まずは「ゴールが明確な目標」がベストです。目標(ゴール)が曖昧だと、必然的に目的や、合格ラインも曖昧になります。その結果「まあ、こんなもんでいいか」と自ら合格ラインを引き下げることになります。
「幸せな人になる」とか「人に優しくなる」という言葉だと、どこまでが幸せなのか、どれくらいなら優しいのか、合格ラインがハッキリしませんよね。「10キロ痩せる」とか「新規顧客を100件増やす」などといった、数字が含まれた具体的な目標であれば、10キロ痩せるまで、顧客を100件増やすまで・・・と努力を継続することができます。
「新しい目標」でなくてもOK!
「今年は新しく、資格をとる」といった、全く新しい目標にこだわる必要はありません。前年に出来なかったことに再チャレンジすることでもいいのです。
「作成途中のプラモデルを今年こそ完成させる」や「去年達成できなかった○○を達成させる」このような「未完成のものを完成させること」も目標になります。
デキる人ほど「去年」にこだわっている!
実は、仕事が出来る人ほど「去年出来なかったこと」を目標にし、出来ない人ほど新しい目標を立てる傾向があるといわれています。確かに、達成できなかったことを放置するといつまでも「未達成のまま」ですよね。
毎年、「去年と違う1年にしたい」と願っていませんか?年が変わったら心機一転、気持ちを切り替えるよいタイミングなのは確かです。では、昨年立てた目標はどうなってしまうのでしょうか? 年が変わったから水に流してしまいますか?
人生の中で、自分自身へのリベンジをしなければならないときがあります。去年が良い年だったと思えない人こそ、去年にこだわってみてはいかがでしょうか。
「目標」ができたら「抱負」を立てましょう!
抱負とは「決意表明」です。実現できないような非現実的な内容は、いくら決意しても途中で諦めてしまいます。
「デキる人たち」の抱負の特徴
目標があってこその抱負です。デキる人たちは、目標の立てかたのコツを知っています。デキる人が立てる目標は、「具体的で実現可能」な目標です。その目標に対して、どのように動くかが「抱負」です。
目標設定が間違っていれば、実現するためのプロセスにもゆらぎが生じます。目標設定が正しければ、自ずと抱負(実現するためのプロセス)も正しいものになります。抱負が思い浮かばない場合は、目標自体に無理がある可能性があります。
「目標」と「抱負」がセットになっている
目標と抱負は、それぞれ別のものを打ち立てても間違いではありません。仕事での目標はこれ、プライベートでの抱負はこれ、と行ったような立て方でもいいですが、目標は達成するためにあることを忘れてはいけません。いくつも立ててしまうと、最悪な場合は共倒れしてしまいます。
「営業成績を去年の2倍にするために、たくさん営業ができるよう、今年は運転免許を取得します!」これは、目標と抱負のつながりもあり、なにより実現可能な内容ですよね。
ポジティブな目標を立てている
「デキる人ほど去年にこだわる」と前項で書きましたが、これにこだわりすぎる必要もありません。こだわりすぎると、「去年成目標達成できなかった」という事実に縛られ、「去年も出来なかったから、今年も出来ないかもしれない」とネガティブな感情を抱いてしまいます。
ネガティブな気持ちになるくらいなら、心機一転、ポジティブな気持ちになれるような目標を描いてみましょう。目標を達成させるコツは「ポジティブな目標を立てる」ことにあるのです。
目標を立てたことに満足していない
もっとも避けたいのが「計画倒れ」です。無理と分かっている計画やタイトすぎる予定を立てていませんか?この他、よくある失敗例は「目標を立てたことに満足してしまう」ことです。
周りの人からの注目を集めたいがための「輝かしい目標」は、その一瞬だけ注目を集めるその場限りの目標になりがちです。デキる人は、自分のことをよく理解しているので身の丈に合っう抱負しか表明しません。
方向性を1つに定めている
向かいたい方向が複数あると、必ず迷いが生じます。デキる人ほど、短くシンプルな抱負をたてています。自分がこうなりたい、と思う姿をテーマごとに分け、もっとも優先すべきなのはどのテーマなのか、自分と向き合って考えてみましょう。
みんなの「抱負」は、どんな抱負?
自分のために立てる「抱負」ですから、人と比べる必要はありません。でも、みんながどんな抱負を持っているか気になりますよね。
女性たちの「新年の抱負」とは?
「いよいよ新年が始まります。今年の抱負は何ですか?」という問いに対する調査結果(女性編)です。まずはランキングから見てみましょう!
位 お金をためる 18.8%
2位 プライベートを充実させる 18.2%
3位 仕事を頑張る 13.8%
4位 ダイエットする 12.0%
5位 結婚する 7.2%
仕事とプライベートの両方を超えて1位になったのが「お金をためる」でした。お金と抱負は似ています。しっかり自己管理をしなければ、知らない間に消えていく儚いものです。それでは、ランキング1位となった「お金を貯める」その答えを詳しく見ていきましょう。
■お金をためる
・「結婚に向けて資金を準備しないといけないので」(25歳/その他/その他)
・「消費税増に備え、貯蓄を殖やす」(27歳/学校・教育関連/事務系専門職)
・「貯金をして、住宅ローンを早く返したい」(28歳/生保・損保/事務系専門職)
・「一人暮らしができるようになりたいので」(27歳/情報・IT/技術職)
・「親に恩返しがしたいから」(22歳/その他/その他)
・「自分と同世代の平均貯金額をニュースで見て、自分は平均値に達していなかったので、来年は頑張ろうと思います」(26歳/医療・福祉/事務系専門職)
・「お給料が低い上に住宅補助が出ないので、節約術を身に付け、旅行や結婚のための資金を積み立てたいです!!」(24歳/学校・教育関連/専門職)
現在の自分の貯金額や、給料面での不安だけではなく、親への恩返しや住宅ローンの返済などの前向きな「お金にまつわる抱負」がもっとも回答数が多く、僅差で「プライベートを充実させる」という回答が続いています。
「お金」という現実と、「プライベート」その両方に重きを置く女性が多いことが分かります。意外なのが、仕事やダイエットの方が「恋愛」よりも上位だということです。
「今年の抱負」なかなか決められないときは
いきなり「決意表明」しろと言われても、なにも頭に浮かばないことだってありますよね。だそんな時は、英語や四字熟語を参考にしてみましょう!
英語やことわざで「抱負」を表明してみましょう!
英語の場合、日常英会話レベルでも「抱負」を表すことができます。英語で書いた「今年の抱負」をデスクに貼っておくのも素敵ですよね。
英語で表す「抱負」
- 「仕事を頑張る」・・・Work hard at my job
- 「転職する」・・・Change jobs
- 「昇進する」・・・Get a promotion
- 「プライベートを充実させる」・・・Lead a fulfilling life outside of work
- 「習い事を始める」・・・Learn something new
- 「ボランティアをはじめる」・・・Start volunteering
- 「本を沢山読む」・・・Read lots of books
- 「留学する」・・・Study abroad
- 「結婚する」・・・Get married
- 「親孝行をする」・・・Do something nice for my parents
四字熟語で表す「抱負」
四字熟語の本を読んでみると、人生に関する熟語が多いことに気付きます。手元に一冊、四字熟語の本を持っておくと、便利ですよ!
- 初志貫徹
- 首尾一貫
- 有言実行
- 七転八起
- 創意工夫
- 心機一転
- 奮励努力
- 現状打破
ことわざで表す「抱負」
ことわざは、人生の先輩達からのメッセージです。短いながらも、人生観がぎゅっと凝縮されています。
- 思う念力岩をも通す
- 石の上にも三年
- 当って砕けよ
- 勝って兜の緒を締めよ
- 捲かぬ種は生えぬ
- 実るほど頭を垂れる稲穂かな
- 彼も人なり、我も人なり
- 親しき仲に礼儀あり
- 我が身を立てんとすればまず人を立てよ
- 好きこそものの上手なれ
仕事でもプライベートでも使えるものをピックアップしてみました。古くからある四字熟語やことわざを「座右の銘」にしている人も多いですよね。
抱負が決まったら、あとは行動あるのみ!
営業マンは、自分が立てた営業目標に対する進捗管理をしますよね。新規営業をしている先や既営業先との交渉の進捗管理の精度が高い営業マンほど、成績が良いといわれています。顧客や見込み客との交渉を時系列でまとめ、把握していくことで次の活動の指針を決めることができます。
このように、一度決めた目標や抱負に対する「目標管理」が必要です。どれだけ自分が目標に近づいたかを日々確認しましょう。オフィスに「社是」や「今月の目標」を掲げているところも多いと思います。
社長と呼ばれている人たちの席回りには、必ず経営理念などが貼られていると思います。立てた目標や抱負を忘れてしまわないように、目の着きやすいところに「目標」を掲げておくことをオススメします。
「抱負」がもたらす効果とは?
子ども時代、学校でも家庭でも「新年の書初め」をやらされました。「新年の計は元旦にあり」といいますが、どうして1年ごとに抱負を書かされていたのでしょうか?きっと深い意味があるはずです。
「認知行動療法」との共通点
みなさんは「認知行動療法」という言葉を聞いたことがありますか?「認知行動療法」とは、「自分自身が持っている考え方や受け取り方に働きかけて、行動をコントロールする」方法論です。普段から持っている「思考のゆらぎ」に修正を加えることで、認知や感情、そして行動をコントロールしようという考え方に基づいた行動療法です。
脱サラ東大女子の方が日本版開発した、認知行動療法が学べる「SPARX」というゲームがあります。自分自身を表すアバターが、登場するキャラクターから出題される問題に回答するとストーリーが進み、遊びながら感情をコントロールする術が身に付いていくという仕組みです。
我が身を振りかえり、自己診断した結果、思考や行動の軌道修正をする・・・「目標と抱負」を掲げるときと似ていないでしょうか。年に一度、己を省みてそれに見合った目標を立てるという行動には「自分を正しい方向へ導く」、そのような効果があるのかもしれません。
まとめ
小学生のとき、冬休みが明けた初登校日に「書初め」をした経験があると思います。重たい習字セットを家から持っていかなきゃいけないし、新年早々制服が墨で汚れるし・・・。ちょっと憂鬱なイベントだったという人もいらっしゃるかもしれません。
かく言う筆者も、お習字があまり得意な子どもではなく、毎回先生に朱書で修正された記憶があります。ふてくされていた筆者に先生が、「新年の書初めなのだから、笑って書きなさい」とおっしゃったことを、覚えています。
大人になった今、ようやく先生のおっしゃった「笑って書く」という意味が理解できるようになりました。書初めとは「新しい自分と出会うこと」なのです。ふてくされながら新しい自分と出会うのはとても残念なことです。来年のお正月には、筆者も書初めをしてみようかな、と思います。
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