日本は現在、一夫一妻制ですが、世界の国々の中には一夫多妻制のところも多くあります。以外と詳しくは知られていないその結婚の制度はどういったものなのでしょうか?
成り立ちからその長所と短所まで見ていきましょう。
目次
一夫多妻制って何?
そもそも一夫多妻制とはどういったものなのしょうか。国や宗教、文化などによっても異なりますが、共通しているのは1人の男性が2人以上の女性と結婚して妻にすることを認めている社会であり、それが法律上で認められている結婚制度のことを指します。
それでは一夫多妻制をとっているところを見ていきましょう。
イスラームにおける一夫多妻制
多くの人は他人事として見ている
一夫多妻制の例としてよく挙げられるのがイスラームの一夫多妻制です。実態がどんなものかわからない場合は、既婚男性の浮気が公認されているようなイメージを持ってしまいますが、多くのイスラム教徒にとっての一夫多妻制は他人事のように扱われています。それはイスラム結婚における責任がコーランに記されていることにあります。
要約をすれば、4人まで妻を認めるけれど、どの妻も平等に扱えないのではないかと心配するくらいなら妻は1人にしておきなさい、といったものです。平等に扱うというのは、愛情を注ぐということの他に金銭的なことなどの扶養面も指します。イスラムの結婚は妻を養うことが前提になっているので、多くの妻を全く平等に養うことがいかに大変かということはすぐにわかりますよね。
そもそも一夫多妻制であったのも、戦争によって夫を亡くした未亡人を救済するものだったので、現代ではそれを忠実に守れることは難しく、他人事のように扱っているのも頷けます。
一夫多妻制は男尊女卑なのか?
一夫多妻制と言われれば、王様の周りに美女が何人も囲むようなハーレムの状態を想像してしまいがちです。でもそもそもその成り立ちが夫が戦争などで先立たれてしまい、生活に困った未亡人を助けるための社会的措置でという性質がある以上、いくつかの条件がそこにはあります。
すでに1人の妻がある夫が別の妻と結婚しようとした時に、1人目の妻はそれを拒否する権限があります。もし断りなく結婚してしまった場合は離婚するという選択肢も認められています。
つまり許可なく二人目の妻を嫁にもらうことはできないので、男の好き放題できる結婚制度ではないということです。
日本の一夫多妻はいつ始まった?
国によって始まりは違うものの、日本もかつては一夫多妻制であった時代があったのです。
かつては日本も一夫多妻制だった
日本も、明治31年に一夫一妻制が民法によって制定されるまでは一夫多妻制の結婚が続いていました。それまでは家の存続のために多くの子孫を残すべく、極端な一夫多妻制がしかれており、有名なところだと将軍家の大奥はわかりやすいですよね。時代劇として大奥一つのテーマで描かれるほど、そこには子孫を残すための戦いや、女同士のドロドロした関係がありました。
一夫多妻制が時代に合った結婚の形として、日本に長く定着したのはなぜなのでしょうか?
一夫多妻制の始まりは?
その始まりにはいくつかの説がありますが、大きく2つの説があると言われています。
男性が狩りに出かけていたような原始時代には、部族間の戦争で多くの男達が死んでいきました。戦争に勝ち抜いて、あとに残った数少ない強い男達の子孫を残していこうと女達が強い男に群がるようになり、それが一夫多妻の始まりになったという説があります。
もう1つは、過去の日本人の寿命が短かったことが挙げられます。昔の平均年齢は二十歳を越えていないので、いつ病気で夫が死んでもおかしくないような状況でした。
他にも上流階級の場合は、家を続かせるために跡取り息子を生むという名目で側室制度があったり、愛してるから結婚をしようというものというよりも、一族や家同士の繁栄のために結婚をするという意味合いが大きかったようです。
なぜ一夫一妻になった?
一夫多妻制のメリットって?
見方によっては良くも悪くも見える一夫多妻制ですが、そこにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
男性にはどんなメリットがある?
浮気や不倫が芸能界でも珍しくなってきた今、何人もの女性を好きになっても非難されないことが嬉しいと感じる人もいるようです。一人を一途に愛することが法律で決まっていない以上、毎日異なる女性と肉体関係を持ってもいいのが最大のメリットだと感じるようです。何人妻にしたかがステータスになるため、多くの女性と結婚してみたいと憧れる人も多いようです。
それでは女性にとってはどんなメリットがあるのでしょうか?
女性にとってのメリットは?
想っている相手にすでに恋人がいたり、結婚している人がいたとしてもとりあえず一緒になれる可能性が高いことが最大のメリットと感じるようです。略奪愛もすることなく、恋愛関係に発展できたり、好きな人と結婚して出生率が上がることもメリットです。
デメリットはどんなことがある?
では逆にどんなことがデメリットになるのでしょうか?そこには数多くのデメリットがあります。
男性にとってのデメリットは?
一夫多妻制のポイントは、妻にした人が何人であろうと同じように平等に愛さなくてはならないし、同じように養っていかなければなりません。妻も子供も生活をさせていくためには、出費が莫大になります。大金持ちならまだしも、そうでない場合は稼ぐために働き続けなければなりません。またお金の問題だけではなく、養っていくための責任感も1人の妻の場合以上に重くなってきます。
逆に言えば、結婚が養うことに直結するため、貧しい場合は誰も妻にできない可能性が高まります。経済的や社会的地位のある男性のところに女性が群がると、余ってしまう男性がさらに女性のと関わりを持てなくなる可能性も高まります。
女性にとってのマイナスポイントは?
それでは女性にとってのデメリットは何でしょうか?結婚をしたとしても、彼からの寵愛を求めて大奥のような争いが起こってしまうことも考えられます。
何人も妻がいることによって、1人1人の妻の存在感が薄まったり、自分の番になっていない時には寂しさを感じることもあるでしょう。
現在の日本が一夫一妻制が合っている理由は?
良いところも悪いところもある一夫多妻制ですが、現代の日本には一夫多妻制が合っているのでしょうか?合っている理由を見ていきましょう。
女性の社会進出が必要
一夫多妻制になった理由が、一族の子孫を残すためであったり、女性が安心して生活を養ってもらうためであるということは、戦争が多いなどの生き延びていくのが難しい社会にある状況から制定されたことがわかりますよね。そのような状況では、生きていくことが精一杯であるため、女性が社会進出するのもかなり難しい状況です。
現在の日本では、女性が保護されるように動いてきています。女性の社会への進出が遅れると、経済の発展も遅れます。そのため、今の日本では一夫多妻制をとる必要がないと言えます。
子供に教育費をかけるため
子供の将来を明るい未来にしたい、といろんな可能性を広げるような教育を子供にさせようとなると、莫大なお金がかかります。習い事や塾、学校に行かせることやいろんな活動をさせようとなると、どうしても費用は高くなりますよね。1人の男性が多くの子供にそのような教育費をかけるのは無理です。自然に1人の妻との間に生まれた子供に、教育費をかけるようになるでしょう。
他の女性にかけるお金がなくなる分、高い水準の教育を受けさせることができるようになります。
また、妻と共働きであれば収入がそれだけ増えて、子供にも教育費はもちろんのこと良い生活を与えさせることができます。
浮気と一夫多妻制は何が違う?
ここまでくれば、浮気や愛人を持つことと、多くの妻を持つことの決定的な違いは何なのかがわかるかもしれません。
養う気が無いのに手を出すのが浮気
生活をしっかり養うとなれば、少しのお小遣いを渡すのとは全く額が違います。安心して暮らせるように扶養していくことが一夫多妻であり、養うつもりが無いのに体の関係を迫ろうとしたり、恋愛関係に発展するのは浮気です。
一夫多妻制でも浮気がゼロではありません。多くの妻たちが夫に浮気を責め立てるということもあります。
いろんな人と関係を持っても何も口出しされないということが、一夫多妻制の全てではないことを知っておきましょう。
浮気相手や愛人のデートもオゴリじゃない?
デート代が割り勘になっているカップルも多い中、最初は羽振りよくご馳走する場合もあります。でも関係が長引くと見栄を張らない男性も増え、全額おごることもなくなっていきます。
その行動こそが相手を養う気が無いという考え方にもつながっています。
参考サイト:あなたは一夫多妻制をどう思う?今の日本ではアリエナイ?
まとめ
国や文化によって、結婚の制度は大きく異なっていきます。どんな風に結婚をとらえるかは、その当時の人の考え方も関わりますが、歴史が大きく動いた瞬間とも言えるでしょう。
浮気や愛人などの話がメディアでも大きく取り上げることがありますが、そこには日本経済に合った恋愛事情も関わってきているのではないでしょうか。
結婚の観点から国や文化、歴史を紐解いていくと面白い発見があるかもしれません。