ある年齢以上になってくると、結婚式に招待される回数も増えてきます。数々の結婚式の中でも、友人代表としてスピーチを頼まれるのは、特に大切な友人の結婚式の場合ではないでしょうか。
人前で話すことに慣れていない人や、スピーチが初めての人も失敗しないコツと注意点をまとめます。
成功のコツは事前準備にあり!
スピーチを緊張せず成功させるためには、なんといっても事前に内容をよく練り、実際に口に出して練習してみることです。
長年の付き合いがある友人の場合は、思い出話も尽きないでしょうが、スピーチ用にはひとつかふたつの心温まるエピソードを厳選しましょう。
スピーチの内容に注意する
学生時代からの仲で、いっしょにヤンチャをしてきた友人でも、今は大勢の来賓に祝福される新郎新婦です。
ゲストには、親戚や会社の上司などどんな人が招待されているかわかりません。過去の暴露話はほどほどにしましょう。エピソードはあくまで微笑ましく、友人の優しさやお茶目さを紹介するような内容にとどめます。
NG例
- 過去の恋愛遍歴
- 合コンで派手に遊んでいた等の武勇伝
- 授業をサボった、嘘をついた等のぶっちゃけ話
- 子どもの誕生を期待する言葉
OK例
- お互いが昔好きだったアイドル、スポーツ選手など
- いっしょに頑張った部活、行事
- 友人からのひとことやプレゼントなどで自分が嬉しかったこと
使ってはいけない忌み言葉
おめでたい晴れの席では、使ってはいけない忌み言葉があります。
ウェディングケーキを切り分けることを「ケーキ入刀」と言うのも「切る」という忌み言葉を避けた言い回しです。
忌み言葉は大変数が多く、全部を避けるのは大変だと思うかもしれませんが、ネガティブな印象の言葉を使わないよう心がけるだけで大半は防げます。
代表的な忌み言葉を記しますので、スピーチ原稿を書いたら下記のような単語が入っていないかチェックしましょう。
・不幸、不吉な言葉
死ぬ、負ける、破れる、病む、滅びる、壊れる、苦しい、逃げる、痛い、嫌う、割れる、悲しむ、閉じる、薄い
・別れを連想させる言葉
離れる、戻る、出る、終わる、飽きる、最後、別々、帰る、捨てる、壊れる、冷える、放す、返す
・繰り返す重ね言葉
再度、再び、再三、もう一度、よくよく、重ね重ね、ますます、たびたび、くれぐれも、いろいろ、またまた、皆々様
・縁起の悪い数字や同音意義語
四(死)、九(苦)、秋(飽き)、行く(逝く)、猿(去る)
これらの忌み言葉は必要に応じて言い換えるようにします。
例)仕事を辞める→家庭に入られる
再会する→久しぶりに会う
くれぐれも→あらためて
別々のクラス→違うクラス
最後に→結びに
帰る→帰宅する(熟語にすればOK)
紙に書いて、実際に話してみる
スピーチで話す内容が決まったら、実際の文章に書きだしてみましょう。スピーチの冒頭と結びは自分で考える必要はなく、定型文でOKです。基本的な構成と文例を紹介します。
(1)招待のお礼とお祝いの言葉
サトシ君(新郎)、ユキさん(新婦)、本日は誠におめでとうございます。
ご両家ならびにご親族の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。
(2)簡単な自己紹介
ただいまご紹介いただきました、新郎サトシ君の高校時代の友人でシマダと申します。
(3)新郎新婦の人柄がわかるオリジナルのエピソード
私たちの出会いは高校2年生のときに同じクラスになったことがきっかけでした。当時、私が好きだったバンド○○のストラップをつけているのをサトシ君が見つけて話しかけてくれました。そこからは意気投合し、初めて○○のコンサートに行ったときもサトシ君が一緒でした。
サトシ君は、読書家で成績もよく、私はテスト前はいつもサトシ君のノートを頼りにしていました。私が志望校に進学できたのも彼のおかげだと思っています。大学に進学してからも折に触れ連絡を取り合い、将来の夢を語りあった青春時代は今でも私の宝物です。
就職してからも、サトシ君と私は機会を見つけて食事やコンサートに出かける仲でしたが、そんなある日、サトシ君から「好きな人が出来た」と打ち明けられたときはびっくりしました。その相手とは、今サトシ君の隣に座っている可愛らしい新婦のユキさんです。
正直に申し上げますと、独身貴族を謳歌していた私は、その話を聞いたときはまだ結婚なんて急がなくてもいいのではないかと思っていました。サトシ君にもそうアドバイスしたと思います。
しかし、昔から決めたことに一途なサトシ君の意志は変わることはなく、あの手この手を使って見事ユキさんの心を射止めたようです。友人代表のスピーチを引き受ける際に、サトシ君とユキさんとご一緒に食事をさせていただいたのですが、待ち合わせ場所にそろって現れたふたりの仲睦まじさと、新婦ユキさんが、サトシ君に向ける笑顔の可愛らしさに私も即座に考えを改めた次第です。
そして、今日、多くの人の祝福を受け、皆様の前に座っているサトシ君は、私の知っているサトシ君より、ずいぶんと立派に見えます。サトシ君に教わることは学生時代の勉強だけかと思っておりましたが、ユキさんのような美しい女性と共に歩む人生の素晴らしさを私はこれからもサトシ君に教わることになりそうです。
(4)お祝いのメッセージと結び
ユキさん、サトシは昔から勉強も部活も何でも頑張るやつでした。仕事も同じように頑張っていますが、一生懸命になるあまり、つい遅くまで仕事をする日も多いと聞いています。ユキさんのような可愛らしい奥さんが家にいると、私なら毎日定時に上がってまっすぐ帰宅すると思いますが、サトシが頑張りすぎているときは、どうかそれに気づいてサトシを支えてあげてください。そして、たまには私と飲みに行く時間もいただけましたら幸いです。
サトシも、今日の良き日の感動を忘れることなく、ユキさんのこの美しい笑顔をいつまでも守っていってください。
おふたりの末永い幸せを心より願い、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。
本日は、誠におめでとうございます。
原稿ができたら実際に話してみましょう。スピーチの時間は長くても3分以内を目安にします。言いにくい箇所や息継ぎのタイミングなどを事前に確認しておくと安心です。
参考記事:結婚式の友人代表スピーチ、祝辞の文例や禁句、挨拶のマナーまで
いざ、結婚式本番。当日の注意点とは?
入念に準備をして迎えた結婚式当日、友人の晴れ姿に感動する人もいるでしょう。感慨にひたるのは、大役を無事に終えるまで、もうしばらくの辛抱です!
スピーチ前のアルコールは控える
普段着なれない礼服を着て、いつもと違う雰囲気でお酒を飲むと、酔いがまわりやすい可能性があります。スピーチ前のアルコールは乾杯のシャンパンに口をつける程度にしましょう。
緊張をほぐそうとして、お酒の力を借りるのは厳禁です。
当日の式次第で、だいたいどのあたりで自分の順番がまわってくるかがわかりますので、トイレ等は早めにすませておきましょう。
動作はゆっくりと、話し始めは一呼吸おいてから
いよいよ、本番です。
司会者から名前を呼ばれたら、落ち着いて立ち上がりマイクに向かいます。緊張していると動作がセカセカしがちですが、あえて意識してゆっくりめに歩くことで堂々とした印象を与えます。
友人代表のスピーチがある頃は、宴もたけなわで、会場がざざわついていることが多いです。マイクを持ってもすぐにはしゃべらず、一呼吸して会場全体を見渡しましょう。スピーチに自信がある人の場合は、会場が静かになるまで待つという手もあります。
一礼を忘れない
スピーチの前後で礼をする場面が6回あります。
- 司会者に名前を呼ばれたとき(周囲の人に向けて)
- 席を立ったとき(遠くの席の人からも見えるように)
- マイクの前に立ったとき(スタッフがマイクの高さ等を調整してくれる場合もあります)
- スピーチ冒頭でご両家に「おめでとうございます」の言葉を述べたとき
- スピーチ終了後(マイクから1歩下がり、会場のゲストに向かって1回、新郎新婦に向かって1回)
- 着席前にもう一度(同じテーブルのゲストに向けて)
一礼をすることで、自分の緊張をほぐすこともできます。堂々とスマートにこなしましょう!
紙に書いたものを見ない
スピーチ本番では、できるだけ紙に書いたものを見ずに、新郎新婦と会場のゲストに話しかけるようにしましょう。紙に書いたものを見ると、視線が下がり、声も下向きになって聞こえにくくなります。原稿通りでなくても、自分の気持ちをこめて語った言葉は相手に必ず伝わります。
どうしても紙に書いたものを見ていないと安心して話せないという人は、スピーチを手紙形式にしてしまう方法がおすすめです。
最初に「本日は大変緊張していますので、手紙を書いてきました」と言って手紙を読み上げると原稿を覚える必要がありません。スピーチの後は手紙を友人に渡すと良い記念にもなります。できるだけ手書きで、便箋やペンの使い方にも気を配りましょう。
参考記事:結婚式の友人代表スピーチのマナー 時間と構成、禁句に注意!
まとめ
大切な友人の結婚式は、自分のお祝いの言葉でも華を添えたいですよね。相手のことを考え、時間をかけて準備したあなたの気持ちは友人にとっても何より嬉しいものです。
また、ゲストにとっては、友人代表であるあなたの姿が新郎新婦の人柄を知る手がかりにもなります。
大勢の人前で話す経験は、仕事のプレゼンなどでも今後充分に役に立つはずです。
せっかくの光栄な機会ですから、自分のスキルアップのチャンスだと思って真面目に取り組みましょう。
あなたのスピーチで、素敵な結婚式だった!と言ってもらえるようにしたいものですね。