ここ最近、若者の間で「ソフレ」という言葉を耳にすることが多くなりました。添い寝をするだけの関係、添い寝フレンドの略だそうです。
友達以上恋人未満の関係といえば、セックスフレンド(セフレ)がこれまで一般的でしたが、新しい人間関係の形として、注目を集める添い寝フレンド(ソフレ)について考えてみましょう。
添い寝フレンドの実態とルール
若い男女がいっしょに同じベッドで寝れば、何かあって当然!と思われるものです。しかし、添い寝フレンドとは、そんな世間の常識とはまったく違った関係なのです。
添い寝以上の関係は求めない
添い寝フレンドは、寄りそって眠りますが、セックスはしません。軽いキスぐらいはありとするルールもあるようです。外国では友達同士でもハグやキスをする習慣がありますので、ここらへんは各自の文化や生活習慣にもよるかもしれません。
身体の関係になってしまうと、情がわいたり、避妊の問題があったり、後からいろいろと面倒なことがあります。添い寝フレンドとは、そういった不要なトラブルを最初から排除し、肌のぬくもりだけを純粋に求める合理的な関係とも言えるでしょう。
恋人がいる場合もある
添い寝フレンドはあくまで友人なので、男女の両方、もしくはどちらかに恋人がいることもあります。彼氏や彼女に会えなくてさみしいときに、その気持ちを慰めてくれるのは添い寝フレンドなのです。
しかし、「いっしょに寝ているけど何もない」というようなことを理解してもらうのは、なかなか難しいので添い寝フレンドがいることは恋人には秘密にしている人がほとんどのようです。
添い寝フレンドになるきっかけは?
添い寝フレンドはひとり暮らしの若者によく見られます。最初は友だちとして始まることが多く、家飲みの後でなんとなくそのまま同じベッドで寝た、終電がなくなった友だちを家に泊めたなど、きっかけは人それぞれです。
いっしょに寝るだけでそれ以上のことをしてこないと相手を信頼できたら、恋人のような束縛がない気楽な添い寝フレンドは、ひとり寝がさみしいときに安心して部屋に呼べる関係なのです。
関係が解消するタイミングとは?
お互いにとって都合のよい添い寝フレンドの関係が崩れるのはどんなときでしょうか。一緒に過ごす時間が長くなり、肌のぬくもりを頻繁に感じることによって、どちらかに恋愛感情らしきものが芽生えたときが、添い寝フレンド解消のときです。
中にはそこから本当の恋人になるケースもありますが、添い寝フレンドにとって、セックスをしない、恋人に求めるようなことを求めないというルールは、かなり厳格なのです。このほかにも、ある年齢以上になって結婚を考えるようになると関係は自然消滅することもあります。
添い寝フレンドとは独身のひとり暮らし男女にのみ許された不思議な関係と言えるでしょう。
添い寝フレンドが増える理由は?
添い寝なんて、いっしょに寝るだけで満足できるの?手を出したくなってしまわないの?と思う人も多くいると思います。添い寝フレンドが増えてきた背景はなんでしょうか。
草食系男子、絶食系男子、セックスレス夫婦の増加
日本家族計画協会が2014年に行った調査によると、全国の16歳から49歳までの男女1134人のうち、49.3%が過去4週間のうち1度もセックスをしていないと回答しています。恋愛に消極的な草食系男子、恋愛そのものに興味がない絶食系男子という言葉が登場してきたように、現代に若者は、昔に比べて性欲が淡泊になってきたのかもしれません。
事実、男性の精子数は年々減少しているという報告もあるくらいです。
性欲減少の理由として考えられるのは、長時間労働が習慣となって疲れていること、大豆や味噌などの女性ホルモンを含む食品を多く食べる食文化で男性が女性化しやすいこと、恋愛以外の娯楽が豊富にありすぎることなどが挙げられています。
したがって、男女の関係に必ずしもセックスを必要としていない若者が増えてくるのも自然な流れなのかもしれません。
性欲を解消する手段が豊富すぎる
食欲、睡眠欲と並んで、性欲は人間の3大欲求のひとつです。
サントリーの前身である壽屋(ことぶきや)が赤玉ポートワインの宣伝のために、日本初のヌードポスターを作ったのは1922年ですが、このときはヌードといっても女性が着物を脱いで肩をあらわにしただけのものでした。それでも当時の日本では大胆だと大騒ぎになり、モデルとなった女優さんは親から勘当までされたそうです。
現代の日本ではどうでしょうか。肩どころか乳首やヘアーまで見せた写真はコンビニで売っている週刊誌でも見ることができますし、スマホやPCの普及によってアダルトサイトのコンテンツにも簡単にアクセスできるようになりました。
さらに、日本にはたくさんの風俗店や水商売のお店があります。恋人や友だちにセックスを求めなくても、性欲を解消する手段や場所はいくらでもあるので、添い寝フレンドとは純粋に肌のぬくもりによって安らぎたいと考えている若者が多いのです。
添い寝フレンドによって得られるもの
人によっては理解に苦しむこともある添い寝フレンドですが、そのメリットはなんでしょうか。
肌のぬくもりを感じることができる
赤ちゃんは、お母さんに抱っこされるのが大好きです。大人になっても、家族や恋人に抱きしめられたときや、ペットの犬や猫に寄り添っているときに幸せを感じる人は多いでしょう。こうした肌のふれあいによって私たちの脳内に分泌されるのが、「幸せホルモン」の別名を持つオキシトシンです。
オキシトシンが分泌されると、ストレスが緩和され、免疫力は強くなり、学習意欲や記憶力も向上するなど、さまざまな効果があることがわかっています。日本人は欧米人ほど頻繁にハグや握手をする文化がなく、現代社会では人との交流もPCやスマホの画面越しにできることが増えました。産まれたときからデジタル製品に囲まれている日本の若者は、血の通った肌のぬくもりに飢えているともいえます。
家族や恋人やペットはいつもそばにいてくれるとは限りません。そんなときにお互いの身体の体温を感じ、オキシトシンを分泌しあうのは、ストレスの多い現代社会の新しいサバイバル術なのかもしれません。
恋人では埋められない心の隙間を埋めることができる
恋人同士は、浮気をしない、定期的にデートをするなどお互いに束縛を許しあう関係です。また、セックスも愛情を確めあう大切な行為です。好きだから毎日会いたいと思っいても、仕事や勉強の都合で思うようにならない日もありますよね。一方で、恋愛の濃密な人間関係そのものが面倒くさいという人もいます。
しかし、どんな人でも疲れたときや心が弱るときは訪れるものです。セックスする元気はないけれど、誰かそばにいてほしいと思ったとき、これまでなら、抱き枕にしがみついたり、お酒を飲んだり、妄想で現実逃避したりというような解決方法しかありませんでした。添い寝フレンドはそんな現代人の心の隙間を優しく埋めてくれるのです。
また、恋人のように別れることを恐れなくいいので、本音で語り合えることも多いでしょう。
修学旅行の夜に、同じ部屋のメンバーで消灯後に語り合い、翌日からすごく仲良くなったという経験をしたことのある人もいるのではないでしょうか。同じ布団にくるまり肌のぬくもりを感じながらだと普段よりもリラックスできるので、他人には話せないようなことを打ち明けられるかもしれません。
コンプレックスを気にしなくてよい
男性の中には、自分の身体能力に自信がない人もいます。あまり大きな声では語られませんが、20代男性のED(勃起不全)も増加しているようです。同じように女性の中にも自分の身体に自信がない人や、セックスそのものに興味がないため異性と親密な関係になることを避ける人がいます。
添い寝フレンドとは、そんなコンプレックスを気にすることなく付き合える安心できる関係なのです。
添い寝フレンドによって失うもの
癒し効果のある添い寝フレンドですが、デメリットもあります。
理解されにくい
異性が横で寝ていたらムラムラするに決まっている!という昔ながらの健康的な性欲を持つ男女にとっては、ただいっしょに眠るだけの添い寝フレンドは理解できないものです。
そのため、恋人はもちろん周囲の友人にも添い寝フレンドの存在を秘密にしている人は多く、悪いことはしていないけれど、なんとなくやましいという少しスッキリしない部分も残されているのです。
完全にリスクがないとは言いきれない
人間はロボットではありません。また人の心や身体は曖昧で複雑なものです。いっしょに眠るだけという暗黙のルールで成り立っている添い寝フレンドの関係も、ふとしたことで崩れてしまう可能性もないとはいえません。
どちらか一方が恋愛感情を抱いてしまった場合は、添い寝フレンドとしても友人としても相手を失ってしまう可能性があります。また、なんらかのきっかけで一線を越えてしまった場合、合意ではないセックスとして心に傷を残す場合もあるでしょう。
まとめ
ストレスの多い現代社会では、癒し効果のあるものが注目され続けています。添い寝フレンドは新しい人間関係として、若者を中心に癒しをもたらしているようです。
バブル景気の頃には、アッシー君、メッシー君というような人間関係を示す造語が流行りました。
(知らない人のために解説しますと、アッシー君は車の送迎を頼むだけの男友達、メッシー君は食事をおごってもらうだけの男友達のことです)
添い寝フレンドという言葉も10年後、20年後には、すっかり定着しているかもしれません。今後の動向をチェックしておきたいですね!
関連記事として、
・友達の作り方ってある?絆の深め方や実践方法を知っておこう!
これらの記事も合わせてお読みください!