社内・社外に関係なく取引先や上司とのビジネスメールや会話のやり取りの中で、相手にどうしても自分にできないことを「お願い」するシーンがあると思います。
そんなときにどんな言い回しにしようか、正しい敬語表現が使えているかどうか不安になったことはありませんか?
ビジネスシーンでの敬語をしっかり間違いなく使いこなせる様、「お願い」の正しい敬語表現についてまとめましたので、参考にしてみてください。
「お願い」の敬語表現
敬語は現在五5つの用言方法に分類されています。
謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ・丁寧語・尊敬語・美化語の5つです。まずは基本的なこの5つの表現方法を用いたときの「お願い」という言葉の変化について紹介していきます。
尊敬語
尊敬語は丁寧な表現で相手を敬い・尊敬の念を言葉に込めて表現する言葉です。
尊敬語はもっとも頻繁に使用する表現補法なので覚えておきましょう。
「お願いいたします」
「お願いします」のはそのままでも十分尊敬語として正しい表現ですが、さらにかしこまった表現をするのであれば「お願いいたします」と表現するといいでしょう。
「お願いします」だけですと相手に失礼になる可能性があるシーンは、あまり相手との親密度が高くない場合です。「お願いします」は「〜してください」の常套句として使われますが、初対面の人にとっては馴れ馴れしく失礼に感じられてしまう場合があります。
ですのでその場合にはより丁寧な「お願い致します」を使用することをオススメします。
謙譲語Ⅰ・Ⅱ
謙譲語は自分がへりくだることで相手に対して自分は敬意を持っていると言うことを示す言葉です。Ⅰ・Ⅱが別れているのは、目の前の人に対してへりくだった表現をする場合と、話の行き先に対して敬意を示している場合とで表現方法がことなるからです。
例えば上司に向かって「先生の所に伺います」と言うのは正しいですが「弟の所に伺います」と言うのは間違いです。これは謙譲語Ⅰの表現です。先生は敬意を示す対象として正しいですが、弟に敬意を示す言葉を使うことには違和感があります。
次に謙譲語Ⅱは目の前の人に対して「先生の所に参ります」と報告するときに用います。この場合「弟の所に参ります」と言っても正しい表現となり、目の前の人に対して敬語を使用していることがわかります。
同じ「〜〜の所に行く」という表現でもへりくだる言葉の表現は数通りあるのが謙譲語の特徴です。
「お願い申し上げます」
「お願い」を謙譲語に言い換えると「お願い申し上げます」となります。
「お願い」に謙譲語表現の「申し上げます」をつけたシンプルな形になります。さらにかしこまった言い方をするのであれば「何卒」を頭につけて「何卒よろしくお願い申し上げます」とさらにかしこまった表現にしてもいいでしょう。
しかし現在では相手にお願い事をするときにあまりへりくだった表現をしなくなっている傾向があり、少し表現を変えた「お頼み致したく存じます」「お頼み申し上げます」などの表現はあまり使われなくなっています。
丁寧語
丁寧語は言葉の語尾に「です」「ます」「ございます」をつけた簡単な敬語で、「こちらです」「こちらでございます」など一般的な表現方法として使用されます。
「お願いします」
いたってシンプルな形が敬語が丁寧語です。
何気ない会話や、身近な先輩や上司との会話での使用から、丁寧な表現への応用まで幅広く使われる表現方法でしょう。
美化語
単語の初めに「お」「ご」をつけた言葉が美化語になります。
「おかず」「ごはん」「おにぎり」などの言葉が美化語に当たります。その単語にそのまま言葉を付け足す場合もあれば、トイレ(便所)=お手洗い、腹=お腹と言葉自体が変わってしまう場合もあります。
に由来するものが多く、丁寧語や尊敬語に応用して含ませる場合も多くなっています。
「お願い」も願望や願うの美化語でもあります。
「お願い」メールの例文
メールで何か頼みごとをする場合に「お願い」を使用するときの文章の参考としていくつかの例文を紹介していきます。
フレーズやメールマナーを参考にして上司や取引先とのメールを作成する場合の手がかりにしてください。
例文1・初めての会社への取引願い
初めてご連絡させていただきます。OO社のOOと申します。
以前○月○日に開催されました〇〇ジャパン(イベント/セミナー)にて御社製品の「〇〇」という商品を拝見させていただきました。
そのときに会社案内等の資料をいただいたのですが、弊社での〇〇開発の効率化のため、この商品の使用を検討したいと考えています。
つきましては、より詳しい資料等ございましたらお送りいただきたくお願い申し上げます。
来月の〇〇日までに会議の中で実際の使用についての話し合いを行う予定であります。説明内容把握のために〇〇日までに当社までデータでも構いませんので資料を送っていただくことは可能でしょうか?
ご多忙の中お手数おかけしますが、何卒よろしくお願い致します。
株式会社OO
〇〇部〇〇課(名前)
会社住所
例文2・上司への確認願いメール
お疲れ様です。
先日〇〇社との会議で決定した会議内容のまとめ資料が出来上がりましたので、お忙しい所恐縮ですが確認お願い致します。
〇〇社にも確認を取りたいので、○日までにご返信いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
例文3・他者へのお願いメール
拝啓 〇〇の候、貴社におかれましてますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、〇〇様にお願いいたしました弊社の新サービス「〇〇」の感想を
◯月◯日までにご指定させていただきましたアンケート用紙にご記入の上、
お返送願いたく存じます。
アンケート用紙のデータを紛失された場合はこちらにデータがございますのでご活用ください。(データ添付)
お忙しいところ恐縮ですが、何卒ご協力のほど、よろしくお願い位申し上げます。
敬具
「お願い」メールを送るときの注意点
「お願い」メールを相手に送る場合の注意点として以下のポイントが上げられます。
文章を構成するときに以下の点に注意してメールを送信するようにしましょう。
メールの情報は正確に漏れなく記入すること
- 会社の名前が間違っている
- 相手の名前を間違えている
- 予定の日付が誤っている
- 誤字がある
- データの添付ミスがある
- 送っているメールアドレスが間違っている
これらのミスが特に頻繁に発生しやすい傾向があります。忙しい中でメールを作成していると、これらのいずれかのミスをしたまま流れ作業でメールを送信してしまうことが多々あります。
ちょっとした確認を怠っただけで、大きなマイナス印象がついてしまいますので、しっかり何度か確認しメールを送信するようにしましょう。
二重敬語に注意
敬語の中には畏まりすぎて違和感が発生してしまうものがあります。それが二重敬語です。
例としては「お伺いいたします」「ご覧になられました」「お越しになられました」「拝聴させていただきました」などの言葉が該当します。
全てを正しい言い方に言い換えれば「お伺いします」「ご覧になった」「お越しなさった」「拝聴しました」となります。
特に年配のかたや言葉に厳しいアナウンサーや報道関係の仕事に従事している人に使用する場合には注意しましょう。
時間や期日を明確に
時間や期日を明確に記していないといつまでにお願いメールの返信をしなければいいのかがわかりません。
取引先があとで返せばいいやと、ズルズル返信が遅れて忘れてしまい、サイド連絡をするということもあり、二度手間になってしまいます。
相手にしっかり”いつまで”に”どんな”内容を返信して欲しいのかを明確にして、自分が行おうとしている仕事や案件の内容もできるだけ開示してイメージを共有するとさらに良質な返信が期待できるでしょう。
まとめ
正しい言葉を使用して「お願い」をすることができる社会人はそれだけで一目置かれ認められる存在になります。
普段デスクワークや営業の仕事をしていると、このように社内外問わずに「お願い」をするシーンは増えてきます。正しい言い回しで敬語を使用してお願いをすれば、相手もそれに答えてくれるはずです。
メールや会話で誠実さと敬意を示すためには言葉も重要な一つのスキルとなります。
しっかり敬語を習得して認められる存在になりましょう。
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