始末書とは、主に職務で間違い・失敗をしてしまったり、規定通りに職務をこなさなかったりした場合、どのような事実があったのかをはっきりさせ、再発防止のために書く書類として知られています。
積極的に書きたい書類ではないのですが、いざ始末書を書くとなった場合、どのような点に注意して書いたら良いのでしょうか?この記事では代表的な始末書の書き方を中心に御紹介いたします。
目次
どのような状況で始末書を書くのか?
では「職務で間違い・失敗をしてしまったり、規定通りに職務をこなさなかったりした」の内容としてはどのような状況が考えられるのでしょうか?何でも自分が失敗したから始末書という訳ではなく、会社にとっての重大な過失に当たる内容であるかを考える必要があります。
重大な書類・会社の備品などを紛失した場合
会社のお金を紛失してしまったといったような、金銭に関わるトラブルを引き起こした場合は始末書を書く事が多いです。金銭以外にも会社で扱っているデータや備品の紛失などに対しても当てはまります。
失くしてはいなかったとしても、壊してしまったり、事故を起こしてしまったりというような器物破損も始末書の作成例に該当します。
社内の規定に違反した場合
それぞれの会社によって定められている社内規定に反した場合や、一般的に定められている法律に違反した場合、一般常識として考えて明らかに不適切な行動をした場合などにも始末書の提出を求められる場合があります。
また、会社に対して重篤な問題を引き起こしたり、起こしたミスが社会人としてあるまじき行動であった場合には、始末書の提出なしに解雇などの処分が下される場合も考えられます。
会社に対する世間のイメージを著しく悪くした場合
商品の不備(不良品あり、納品数が発注数と異なる等)や、お客様への対応の不備(適切なサービスを行なわなかった)など、会社の一員として対応している以上責任を持つ必要があります。場合によっては金銭が動く取引なため、損害賠償を求められる事もあります。
この場合は上司に賠償すべき金額を確認し「その一部を給料から天引きで支払います」といった処理を行なう事が多いです。
顛末書との違いとは…?
始末書と同じ類の書類には顛末書と言う物があります。2つ共何かトラブルが起きた場合、事の一部始終の報告をするために書かれる書類という点では共通ですが、厳密な違いを理解しておく必要があります。
始末書とは、物事の事実関係をはっきりさせる他に、謝罪の意味を込めた文章として扱われるため、トラブルに対する適切な解決策を述べ、今後二度と同じ間違えをしないよう誠意を伝えるものになっています。そのため、自主的に書くのではなく、会社の上司やお客様より提出が求められた場合に書きます。
顛末書とは、トラブルが起こった原因の一部始終の詳細を伝える書類であり、謝罪の意味を込めた文言は使用されないものが多いです。始末書と同様な二度と同じミスを犯さないように…という意味が込められた顛末書の場合は使用される事もありますが、一般的には謝罪の文言はなくても良いとされています。
始末書ほど深刻な事態でない場合は顛末書を書く…というようにして使い分けられているようですが、始末書は謝罪に重点を置き、顛末書はトラブルの詳細に重点を置いているという点で異なるという事を、理解しておく事が大切となるでしょう。
始末書を書く際の注意点
手書きで書く
始末書は一般的に、便箋に手書きで記載するのが正式なものだと言われています。会社によってはパソコンやワープロによる始末書の記載が求められる場合もありますが、その場合も基本的には白無地もしくは白地の紙に、罫線が入っている地味なものが適切です。
大きさとしては、B5もしくはA4サイズがふさわしく、黒か紺のインクを使用して書きます。決してカラーのペンなどを使わないようにしてください。パソコンやワープロによる作成が許されている場合でも氏名は自筆で記載し、その横に捺印したものを作成します。
茶色い封筒ではなく、白い長形4号サイズの封筒に入れ、もし可能ならば袋が二重袋になっているものを使用します。封筒の真ん中に「始末書」と黒インクで縦書きに記入し、封筒の裏左側には自分の名前や部署名を書き提出します。
会社や上司の指示の元で作成する
始末書は自らの判断で勝手に作成するものではありません。通常は会社や上司の指示により作成するものです。そのため、自分が書こうと思っていようが思っていなかろうが、会社側より指示がある場合は書かなければなりません。
通常何かトラブルがあった場合、そのトラブルの修復が念頭にあるため、修復終了後に会社側に対する重大な過失に当たる場合に記載を求められる事になります。間違ってもトラブルが解決していないのに、自己判断で勝手に書いたりはしないようにしましょう。作成の指示があった場合はその当日か遅くも翌日には作成し提出できるよう、迅速な対応をするよう努めます。
ビジネス文書であることを意識して書く
始末書はビジネス文書の1つです。そのため時候の挨拶を記載する必要はありません。また、頭語と結語(拝啓と敬具)も不要です。言い切り形である「~だ」は使用せずに、ですます調である丁寧語での作成が基本となっています。
始末書の構成
始末書の構成としては
- 実際にあった事実や原因を簡潔に述べる。
- それに対して反省して、お詫びする。
- 今後は二度としません、といった決意表明および再度のお詫びをする。
始末書を書くにあたり、色々と思う事が多くだらだらと書いてしまいがちですが、ポイントとしては事実関係を正確かつ簡潔に述べる事が大切です。「いつ?どこで?誰と?誰が?何をした?」といった5Wの内容がポイントで、言い訳はせずに正確な内容を書く事を心がけます。
言い訳や正当化した始末書よりも、正直に素直に書いた始末書の方が、受け取る側にとって好印象を与える場合が多いそうです。自分ではない第三者の立場にとなって客観的に書くようにする事で、適切な始末書に仕上がる傾向にあります。
また再発防止を伝えたい訳ですから、適切な情報分析が大切になってきます。トラブルの原因となる問題点をしっかり把握する事によって、それに対する解決策も見えてくるものです。万が一、個人の不注意など解決策として適切な方法の記載が難しい場合は「細心の注意を払います」といった文言を用いる事が多いようです。
同じミスを二度と起こさないという意味を込めて、再度お詫びの言葉を述べます。始末書の最後には「今回このようなトラブル・ミスを犯してしまったが、許して欲しい」と請うような寛大な措置を依頼する文言や、決意表明・誓いの言葉を含んだ文言で締めくくります。
部下のミスに対して始末書を書く場合
新入社員を始め、部下が会社に対して重篤なトラブルを引き起こした場合には、上司として始末書を書く必要がある場合があります。部下がミスをしたという事は、上司として部下の管理が行き届いていなかったと判断されるため、直接自分はミスをしていなくても管理職として責任の一端があるという判断をされるのです。
誤ってしまったのは部下なのですが、一方的に部下がやった事がいけないという点を全面に出した始末書とならないようにします。部下にもどのような経緯があるのかをしっかり確認し、言い訳をしたり、部下のせいにしたりといった内容にならないよう注意する必要があります。
決意表明としては、トラブルを引き起こした部下だけでなく、上司として管理下にある部下全体の再教育をも徹底するといったニュアンスのものがふさわしいでしょう。影響が大きく出てしまった場合は、ミス発覚後に迅速な対応を行なわなかった事で問題を大きくしてしまった、といった内容の一文で謝罪します。
始末書を提出される側はどの部分を見ているか?
始末書を受け取った側としては、起こしてしまったトラブルを的確に分析出来ているかどうかを見ています。自分がしてしまった事を誠実に非として認めているかどうか、事の重大さを理解し引き起こした問題に対してどのように責任をとるのかなどがポイントであり、これらの問題を解決出来るような始末書の作成を心がけます。
ただ、事の重大さを意識するあまり、度を越えた謝罪をしてしまったり、感情的に訴えかけるような始末書になってしまわぬよう意識する必要があります。簡潔な文章が求められますので、文章がしつこくならないよう注意して作成する事が大切だと言えます。
そして一番は、同じ失敗を二度としないような再発防止のための対策が大切です。同様な不始末を二度と引き起こさないようしっかりと分析し、最善の方法を決意表明としましょう。
まとめ
始末書の書き方について御説明いたしましたが、参考になりましたでしょうか?誰でも始末書を書くような事態に遭遇したくないでしょうし、いざそのような事態に遭遇した場合には混乱してしまう事も多いでしょう。書く機会も少ないビジネス文書なだけに、ルール等しっかり把握出来ていない方も多いのではないでしょうか?
今そのような問題が発生していない場合でも、いざという時は迅速な対応が求められますので、知識として学んでおく事をおすすめします。そして一番は始末書を書くような事態とならぬよう、上司や周りの社員と報告・連絡・相談をしっかり行ない、トラブルを引き起こさないように作業する事が大切です。