子どもが大きくなり、手が離れることは親にとって喜ばしいことです。手が離れると子育てに専念していた専業主婦は、自分の時間が増えることになります。
自分の時間が持てるようになった専業主婦が考えるのは「仕事を持つこと」ではないでしょうか。しかし、急に朝から晩まで、家を空けることは主婦にとって簡単なことではありません。子どもが学校から帰って1人にさせることへの不安、家事と仕事の両立の不安などがあります。
このような「家事と仕事の両立」を目指す人にはパートタイムの仕事が最も適しています。
仕事を持つことは、自分にとっても自信につながりますし金銭的にも余裕がうまれます。しかし長い間のブランクを気にして、「面接に行く勇気がない」となかなか一歩を踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
今回は、パートの仕事を探す主婦の方へ向け、「パートの面接について」お話します。
目次
働く主婦の数は、増加している
近年の経済状況の影響もあり、主婦も外で働くのが当たり前の時代になりました。今から10年程昔は、「女も男に負けないくらい働くもの」という価値感が強かった時期です。
このようにバリバリと働き、キャリアをもった女性たちの子育てが終わったのが、まさに今なのです。
パートの仕事も、業務の種類が増えている
かつてのパートの仕事は、スーパーや飲食店などのサービス系の職種が大半を占めていました。今は事務系や営業職、専門職でもかつてのキャリアやスキルを活かせるものが多いです。なぜなら、先述のとおり10年前のキャリア女性たちが社会に復帰し始めるため、潜在的になっているスキルを呼び戻そうとしているためです。
以前のスキルが活かせて、その上短時間で働けるならと社会復帰をする女性が増えてもおかしくない状況なのです。これからパートタイムの仕事を得ようとする人にとってはライバルが多いということです。
多数の応募者の中から、確実に採用されるためにはどのように取組んだらいいでしょうか。
仕事を探す前に確認しておきたい3つのこと
「働こう」という気持ちはとても尊いものです。「思い立ったが吉日!」とばかりに就職活動の準備を始める前に、やっておかなければならないことがあります。
1.「働きたい」自分の意思はどれほど固いのか
家庭をもつ主婦が企業に採用されるためには「休まずに出勤できるか」が重要なポイントになります。当然のことですが、仕事に穴を空けない人を企業側は求めます。
家庭内の突発的なアクシデントに対応しなければならないのが、主婦です。子どもの病気や、介護を必要とする家族の存在などがその1つです。
子どもがすぐ熱を出す子であったり、予後が不安なお年よりが家族にいたりなどの心配はないのか?もしもの場合、自分のの代わりを務めてくれる人はいるか?「外部のサービスに依頼をしてでも、働きたい」という強い意志があるのか?そのように自問自答してみましょう。
2.家族の理解が得られているか
まず、夫が働くことに対して理解を示すか確認をしましょう。
夫の許可を得なければ働いてはいけないのではなく、計画性をもって働き始めなければ、いずれ軋轢が生じます。せっかくよい仕事にありつけても、夫や家族に嫌な顔をされてしまうと、働きづらくなる一方です。
3.仕事内容・勤務条件などに無理がないか
企業側が提示している勤務条件を正しく理解出来ているでしょうか。業界によっては土日の出勤や、残業があたりまえの仕事もあります。
仕事内容と自分のスキルに大きな開きはないでしょうか。「一から丁寧に指導します」なのか「経験者優遇」なのか、募集要項をよく確認しておきましょう。
主婦に対して企業側が思っていること
独身の人と、家庭をもつ主婦に対する企業の意識は大きく違います。主婦は「一旦社会から離れた人」という意識を持たれてしまいます。
「この人、本当に使い物になるの?」
企業側には、主婦が働くことに対して「一回社会から離れた人を、親切心で使ってやる」という上からの意識がまだまだあります。
「パートさん」という呼び名や「誰にでも出来るカンタンなお仕事です!」という求人のうたい文句からもその傾向がうかがえます。その為、面接の時、「私は主婦ですが、雇ってください」という弱気な気持ちでは、どんどん足元を見られてしまいます。
少しコワイですが、企業のもつ「裏の顔」を知っておきましょう。
暇つぶしのために働くのではないか
子どもが手から離れないと、主婦は働くことはできません。仕事を始めようと思った理由も、「子どもに手がかからなくなったから」です。しかし、志望の動機が「手がかからなくなったから」だけでは、「ヒマになったから働くんですか?うちの仕事はヒマつぶしですか?」と言う意地悪な企業もあるようです。
すぐ辞めるのではないか
夫の存在があれば、なにもわざわざ働かなくてもいいじゃないかという目で見られるのも主婦のつらいところです。イヤなことがあったらすぐ辞めるんじゃないか、辞めても生活に直結しないだろうという考えです。
休みがちなのではないか
学校行事だとか子どもの病気をタテにして休むだろう、と思われています。だからパートで仕事をするんじゃないかと言いたいところですが、グッとこらえましょう。
「子どもの病気だと言って仕事を人に任せて帰って気楽なもんだ」という人は実際に病気の子どもを看病している姿を想像できない人です。
責任感や意欲、向上心はあるのか
パート社員は、基本的に正規社員より早く帰るため「頑張っている」イメージがもたれにくいのです。
確かに、会社にいる時間が短いのでパートの人が大活躍を見せる場面は少ないです。業務も社員のサポート的なものが多いため、一戦力としてカウントしてもらいにくいのです。
「あとはよろしくお願いします」と言って帰る姿を「無責任だ」と受け取る人もいます。
そもそも、スキルがあるのか
特に中年以降の主婦に対しては、パソコンのスキルやオフィス器機が使いこなせないだろう、という印象をもっています。
主婦上がりは、なにもできないと決め付けている場合もあります。「どうせ新聞も読んでいないだろう」「どうせ甘えた人生を送ってきただろう」「旦那と子どもだけの限られた世界でいきてきたはずだ」
企業側は、このような感覚をもっています。いささか納得がいかない内容のものもありますが、「夫がいるので辞めても生活には困らない」と思われてしまうのが、主婦の現実です。
そんなことはない!と言いたい気持ちがあるでしょうが、これら全てを、強い気持ちを持って、面接でクリアしなければなりません。
面接ではこんなことを聞かれます!質問例と回答例
パートタイマーの採用にも履歴書や面接があります。面接で質問されることをあらかじめチェックして答え方や対策法を考えておきましょう。
1.ご主人は、あなたが働くことをどう考えていますか?
主婦が家を開けて働くには、家庭という世界のパートナーである夫の理解は不可欠です。
- NG回答例:「まだ主人には話していませんが、採用していただいたら説得します。」
- OK回答例:「主人は応援してくれていますし、家事にも協力が得られそうです。」
面接を受けて、採用されたら夫に説明すると考えているようでは良い印象は持たれません。「もし雇ってもらえるなら・・・」これでは「働きたい」という意欲が感じられません。
2.お子さんの預け先はありますか?もし病気やけがをしたらどうしますか?
近くに両親がいる、祖父母と同居である、学童保育や保育所に行かせる、ひとりで大丈夫な年齢であるなど、自分の代わりになる人がいることを伝えましょう。
NG回答例:「たぶん、大丈夫です」
OK回答例:「自宅の隣が祖父母の家で、子どもを預けたいことは了承してくれています。万が一の場合は、近くに病児保育をしている保育園がありますので、そちらにお願いする方法もあります。」
「たぶん」ほどアテにならない言葉はありません。一企業の門を叩くのに「運任せ」のような回答では採用されません。仮に採用したとしても「これから預け先を探します」と出勤までに準備期間を要する可能性が高いからです。
3.あなたの長所と短所を教えてください
どれくらい自分を客観的・社会的な目で見ているかを観察されています。家庭内に限られた長所短所ではなく、社会人としてどう自分をとらえているかを答えましょう。
NG回答例:「子どもを可愛がるところが長所で、短所は掃除が苦手なところです」
OK回答例:「粘り強く、何度でもチャレンジをすることが長所です。短所はマニュアルを読んで理解するまでに時間がかかってしまうことです。」
NGの回答は、「家庭の中だけ」のものです。お母さんとして面接をしているのではなく、働く人として面接をしています。OK例では、仕事に差し支えそうな短所を答えていますが「社会的な目で短所を自覚している」という判断につながります。
4.今回の応募までブランクがありますが、その間なにをされていましたか?
採用担当者は、答える内容からどんな人なのか、仕事に対してどんな価値観を持っているかを見抜こうとしています。
NG回答例:「とくにこれと言ってはありませんが、子どもの教育には力を入れました。」
OK回答例:「子どもの学校行事に積極的に参加しました。PTAでは議長を務めたこともありますので、ここで新たな社会的経験が積めたと感じています。」
専業主婦として何を頑張ったか、と言われても回答に困るので、NG回答例のような答えが出てしまいそうですが、なんらかの”社会との関わり”をPRしましょう。
子どもの教育に力を入れたのであれば、良い塾を探すために情報を集めたとか、勉強を教えられるように子どもの教科書を読破した、など何らかのPRをするべきです。
5.1週間のうちどれくらい働けますか?残業はできますか?
採用担当者は、実質的な勤務時間を聞くという目的のほかに「どれだけ融通性があるか」を観察しています。
NG回答例「3時までには絶対家に帰らないといけませんので残業はできません。火曜日と木曜日は絶対に出勤できません。」
OK回答例「朝8時から15時までの範囲での勤務を希望していますが、月曜日と水曜日に限っては、子どもが部活動をしていますので、1時間程度帰宅が遅くなっても大丈夫です。」
NG の回答は、「絶対に」と断定して否定しているのがネックになります。OKの回答のように代替案を立てるといいでしょう。
または、「どうしても残業することができませんが、朝1時間早く出勤することは可能です。残業が必要な場合、翌日早く出勤するというのはいかがでしょうか。」など、こちらから話してみてもいいでしょう。
6.なにか、質問はありますか?
事前に知っておきたいことがあればここで聞きましょう。相手が話している途中で、そのつど質問することは避け、まとめて質問できるようメモをとっておきましょう。
NG回答例「とくにありませんが、突然休む時はどなたに電話したらいいでしょうか」
OK回答例「職場のみなさんの年齢層はおいくつくらいですか。職場の雰囲気はどのような感じですか。」
NG回答は、家庭を持つ主婦には最も大事なことなので、つい確認をとってしまいたいところですが、「休まなくてもよい環境があるから働く」ことを前提に話を進めていることを忘れてはいけません。
OK回答例は、自分がその職場に馴染めるかという、採用された後の視点の質問ですので、質問するに相応しい内容です。採用されてから「人間関係は・・・」と質問することもできないので、この質問は面接時に必ずしておきましょう。
真剣に書こう!履歴書の書き方解説
履歴書を手書きする場合、アルバイトやパートのフリー雑誌にも添付されていますが書き損じた場合を考えてコンビニや書店で購入しましょう。修正液を使用するのはもってのほかです。
手書きの履歴書orパソコンの履歴書?
少し前は、「心がこもっているから」という理由で手書きを推奨する企業が多かったです。手書きは当然手間がかかりますので、好感度としては高くなります。
しかし今はパソコンスキルがどの程度あるかを知る手がかりにもなりますので、パソコンで作成された履歴書でも違和感を持つ企業は減りました。そもそもマナー違反でもありません。
データ入力などでパソコンを使う業務、IT系企業の場合はパソコンで履歴書を作成すれば、パソコンスキルのPRになります。「エクセルは使えますか?ワードは使えますか?」という質問に対する回答の裏づけにもなります。
記入する際のポイントは「わかりやすく・読みやすく」
面接に至る前に、履歴書で選考する企業もあります。履歴書の時点で採用を見送られることがないようにしっかりと記入する必要があります。「詳しいことは面接で話そう」と考えてはいけません。
わかりやすく、読みやすく記入する
- 携わってきた仕事(経験職種)の内容を、古いほうから順に記入する
- 勤務した会社名、配属された部署まで記入する
- 昇進、特別な実績があればその年月も交える
- 表現は簡潔、箇条書きにする
- 所有している資格は正式名称で記入する
職務経歴書の提出は、求められない限り提出する必要はありませんが、専門職や経験のある業種へ応募する場合は「経験者」として判断してもらえるよう、職務経歴書を添付したほうが良い場合もあります。
大きなことは書いたら失敗?!「志望の動機」
具体例のように、明確な動機を簡潔に書きます。
・以前から〇〇の仕事に就きたいと思っておりました。求人情報誌で御社の募集を拝見し、勤務時間や休日などの条件も合うことで、応募させていただきました。
・結婚する前に〇〇の仕事をしておりました。また同じ業界で働きたいと思い志望致しました。勤務時間や休日などの条件も合うことで、応募させていただきました。
よくある失敗例には、「社会貢献がしたい」「御社の将来性に魅力を感じたから」「御社で自分の夢を叶えたいと思ったから」など、広義すぎて明確でない動機があります。
「どれだけ会社を理解して、成長してくれるか」実は、パートの面接ではこれは必要とされていません。また、大きな野望のような内容を書くと「若手社員とうまくやっていけるのか(説教などをしないか、昔の成功例や古い価値観を振りかざさないか)」というマイナス要素になってしまいます。
リクルートスーツは○か×か?!面接時の服装
スーツを持っているのであれば、スーツを着用するに越したことはありません。しかし、年齢に合わない、リクルートスーツの場合は反対に違和感を与えてしまうことがあります。
まだ20代や30代前半の主婦が着用する場合は、リクルートスーツでもいいですが、30代後半以降の場合は、年齢に相応しいスーツを着用しましょう。このような違和感も「社会的なブランク」「世間を知らない」と捉えられてしまいます。
子どもの入学式に来たスーツなども、デザインによっては仕事の面接には「とんちんかん」な印象を与えてしまうことがあります。スーツではない場合、ジャケットは必ず着用しましょう。なにより清潔感のある服装を心がけ、ジーンズにスニーカーなどのラフすぎる服装は避けましょう。
まとめ
企業が社員に求めるもの。新卒採用の社員には、「フレッシュさ」を求め、中途採用者には「即戦力」を求めます。では、ブランクが開いた主婦には何が求められるでしょうか。
フレッシュさも、即戦力のどちらも自信を持って「自分は持ち合わせている!」と答えられる主婦はどれだけいるでしょうか。
しかし、主婦には主婦の強みが必ずあるはずです。ビジネス的な要素では、現役の人に太刀打ちできないかもしれません。しかし、子供の学校行事や地域の人との関わり方で得た経験も、立派な社会経験だと自信をもちましょう。
採用担当者はそのような「主婦の人生経験」の部分もしっかり観察しています。自分を差し置いて、夫や子供たちのケアによって鍛えられた「面倒見のよさ」は、新卒社員たちにはない、高い人生スキルなのです。
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